高級日本料理の価値はどこにあるのか―中国

Record China    2013年11月3日(日) 1時35分

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1日、客単価800元(約1万3000円)以上の日本料理に行ったら、実際は食べられない部分に金を支払うものだ。写真は上海の日本料理店。

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2013年11月1日、客単価800元(約1万3000円)以上の日本料理に行ったら、実際は食べられない部分に金を支払うものだ。経済参考報が伝えた。

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日本料理は飲食業界では異端だ。見た目が豪華なレストランもあることはあるが、総体的には料理が食べきれないほど並び豪華な装飾と高級酒が並ぶような中国の高級レストランとは違う。高級レストランは「冠婚葬祭」、「接待」、「商用」と言った概念と結びつくことが多い。

中国のグルメサイト・大衆点評網をみると、上海には日本料理店が2213軒あり、その中で客単価が800元以上の店は9軒だった。場所から見ると2種類に分類できる。ひとつは外灘(バンド)のような場所にある豪華なレストランで、一方はほとんど「目立たないこと」が究極の目的になっているような横丁にひっそりある店だ。これらの店は中もほとんど目立つところがなく、暗くて狭いことがよくある。

こうした店が驚くほど高い理由は、「細やかさ」と「サービス」という2つのキーワードに総括することができる。

ほとんどの高級日本料理店は昼営業はしていない。その理由は食材の新鮮さを保証するためだ。最も新鮮な魚介類はその日に日本の長崎空港から上海に運ばれてくる。その到着時間は基本的に毎日午後1時から2時だ。長崎は日本の水産物の主要な市場で、上海から800キロしか離れていない。2005年から長崎の魚市場は週3回中国に魚介類を空輸しており、2012年の輸出量は100トンだった。北京の日本料理店はほとんどの魚介を上海経由で輸送している。これは日本からその日のうちに空輸した新鮮な魚を売り文句にしている店が、その日の昼に提供するとしたら一晩前の残った食材になるということだ。だから、経験豊富なグルマンは「昼は生魚を食べてはいけない」というのだ。

価格の高さを決定づけるのは主に選びぬかれた食材を使うためだ。これは食材の新鮮さのみならず、魚の部位にもこだわりがある。この点ではほとんどの日本料理店にすでに普及しているようだ。たとえばマグロで最も良い部分とされるのは背中と腹の部分だが、腹部はトロと呼ばれ、これがまた脂肪分が最も多く中に筋がある大トロと、筋はほとんどないもののあぶらは大トロほどのっておらず口当たりが若干劣る中トロに分けられる。このため、最高の日本料理店は「大トロ」、「中トロ」の間の部分を寿司にし、背中の肉は赤みがあり、刺身に最適とする。マグロの種類は必ず最高級の本マグロだ。総合すると、100キロのマグロから選りすぐられる部位は5−6キロになる。食材のコストはほとんどがこうした日本料理店のコスト全体の40%を占め、全体的な利益率はおよそ10%から15%の間で維持されている。

日本料理の真髄をわかっている人はいつもこのような知識を楽しんでいる。マグロは本マグロなのか、寿司に使われている米は北海道のものか、わさびは新鮮な本わさびをゆっくりとすりおろしたものか、のりは炭火で両面炙っているか……中には水にまでこだわる人がいる。まさにどのような美食も作り方が正統かどうか、日本料理を味わう人はいつも最も正統派の料理とサービスを求めている。

日本料理はさまざまな複雑な奥義があるようだが、世界で有名な寿司はシンプルすぎる食べ物だ。魚の刺身に白米、つけてもひとはけの醤油だ。最も一般的で最も正統派の江戸前寿司は日本の江戸時代の握り寿司に由来している。当時は冷蔵庫がなかったため、魚の保存にはとても難しい技術を必要とした。人々は酢や塩をつかって漬けたり、昆布でくるんでご飯の中において自然発酵で発生した乳酸菌で魚の変質を遅らせようとしたりした。のちに、米飯に酢を加えると発酵を促せることや、手で寿司を握ると発酵時間を減らせることに気づいて、現代の握り寿司のやり方が出来上がった。

このような料理をうまく作ることが、日本料理の料理人にとって最大の試験になっている。しかも、お客に食べ物を提供するだけのことが一つのプライドとなっているのだ。美食の定義は人によって違うが、料理人によって同じ魚と米を使っても出来上がってきた寿司は違う。ある意味から言えば、高級寿司を購入することは、寿司を作った人がこの技を獲得するために使った時間をも購入することだ。一人の寿司職人が独り立ちするには少なくとも10年間の修行が必要だ。

たくさん触れることが、寿司を理解するために最も大切で確実な道だ。この道30年以上の寿司職人である小林さんは「寿司の良し悪しは作り手の経験による。美味い寿司のためには何度も試食することです。何がいいかわかれば、体も心もこの点を会得できます」と語る。

日本料理を通して経営者の客に対する尊敬や謙遜を感じることができる。有名な「割烹雄」という日本料理店では、門を入ると赤いお面がみえる。これは日本の伝統的なもので「天狗」という人物だ。長い鼻が傲慢な性格を表しているが、だがここの割烹雄のお面は鼻がとても短く、永遠に傲慢にならないことを表しているという。顧客第一で和服を着たスタッフは客を門の外に送り出すまでサービスが行き届いている。

Sushi Oyamaの経営者である大山武雄さんの話では、来店する顧客の多くは日本料理がわからないので、品質とサービスはもちろんこの食事の体験と身分や購買力とのマッチングに気をつけているという。(提供/人民網日本語版・翻訳/EW・編集/TF)

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