<コラム>香港版路線バスの旅で海鮮料理を堪能、香港人の食へのこだわりを見た!

茶妹小丸子    2020年3月5日(木) 23時40分

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今回の香港滞在中の食事の中で一番のびっくりは友人数人が新界区にある海鮮市場と海鮮料理の店に連れて行ってくれたことだ。

今回の香港滞在中の食事の中で一番のびっくりは友人数人が新界区にある海鮮市場と海鮮料理の店に連れて行ってくれたことだ。香港でここと同じような感じの場所があるが、外国人でも知っている場所は西貢などが有名だが、今回行ったところは私は初めてだった。

午前中は香港島で友人たちと飲茶をしていた。飲茶が終わって周囲の町並みを案内してくれ、これが終わると電車で移動するという。一体どこへ行くのか?私は全く聞かされていなく、言われるままに地下鉄に乗り、降りた駅でバスに乗るというので言うとおりにしてバスに乗ったら、いつの間にか長いトンネルに入っていった。トンネルを抜けたらそこは九龍区だった。そして、ここで降りるよ!と言われて降りたら、さらにここで別のバスに乗り換えるというので皆さんに着いていった。そしてしばらく窓の外を見ていると賑やかな景色とは全く違う田舎のような風景が目に飛び込んで来た。バスに30分以上乗っていただろうか?まるで香港版路線バスの旅だった。そして、しばらくして降りたところは田園風景のようなところだったが、目の前には海が見えていた。

着いて看板を見ると「青山海鮮坊牌楼」と書いてあった。友人に「ここはどこ?」と訪ねると、「香港の新界区(ニューテリトリー)だよ」と。えーーー!いつの間にそんな場所に?新界区はもう上が深セン市だ。

友人の話だと、今日のメンバーの数人が一度ここに下見に来て食べたということだ。当初はここではない場所を決めて予約をしていたそうなのだが、変更してここに決めてくれたそう。きれいなおしゃれなレストランではないが、おいしいから!ということだった。日本から来る私と娘のために、コロナウイルスのこともあり、人が密集していない静かなところを選んでくれたのだろうと思った。

案内されて入ってみると、そこには水槽がずらっと並んでいた。水槽の並んでいるところに行って見てみると、まるで水族館だ。しかも日本にはないような海鮮モノが沢山あった。売られていた海鮮類を見てみると、皆デカい!どうしたらこんなにデカくなるんだ?と思うほどにデカい!そして、水槽にはアフリカ、カナダ、オーストラリアなどから輸入されている魚介類がたくさんあった。

友人が私に「何をどうやって調理して食べたい?」と聞いてきたので、「何をどうやってと言われても私には全くわからないからおまかせしちゃう!」とおまかせした。そうしたら女性たちの目は真剣だ。どの材料でどう調理してもらうか?女性数人で会議が始まった。私の長年の友人はもう自分の友人たちにお任せといった感じで会議には参加していなかった。

さあ、ここからが香港人こだわりのところだ。人数、大きさ、量、価格、調理法を決めるのだ。香港人はこういうところに来たら妥協はしない。自分たちが納得するまでとことん話し合って決める。せっかく新鮮な海鮮類を買ったのに不味く仕上がってはたまらないので、こうしたことには時間をかけるのだ。そして、もし、出てきた料理に不備があれば、例えば貝類の料理に砂抜きがきちんとされていないものが出てこようものなら、クレームをつけて取り替えさせるのだ。

女性数人と男性二人と皆さんでどの材料にするか、何やらお店の人といろいろと駆け引きをしていたようだ。そして、数十分たった頃に決めた材料をお店の人がどんどん袋に詰めていた。私はその光景を見て、こんなにたくさんのものを8人で食べ切れるのか?と目が点になった。

そして、最後にデカい魚一匹を買ったらしく、その時に友人たちが私に「この魚の食べ方は2つあるんだけど、一つはこのデカい魚を同じ調理方法にしてまるまる一匹食べる方法、そうしてもう一つの方法は“1条2食”という方法」と言う。これはつまり一度で二度おいしい食べ方で、デカい魚を2種類の調理方法で食べる方法だ。私はせっかくだから、「じゃあ、1条2食にしましょうよ」と言ったら、「好ホウ(広東語でOKの意味)」と意見が一致した。

袋に詰められた魚はその市場と提携しているレストランへと運ばれる。そして、レストランについてからもまたお店の人と女性陣との会議が始まった。調理方法と味付けの話し合いだ。そうしてやっと次のステップ、注文だ。友人たちがお店の人たちと何やら相談し始めた。私はもうお任せ状態なので横で聞いているだけに徹した。何やらいろいろと話している。香港の人たちは食には妥協しないのと、日本から来た私と娘のもてなしのために皆さん目が真剣だった。日本から来た私と娘のためにおいしい香港の料理をごちそうしたいとのおもてなしでもあった。

そして、香港ではレストランで席についたらまずやることがある。それは食器や箸の消毒である。香港ではこうした食器の消毒はレストランでもきちんとなされてはいるが、衛生概念の賜物なのか、消毒用のお茶のデカい急須とボールが用意されている。この消毒用のお茶で食器を洗うのが香港流だ。医学的科学的根拠は不明だが、お茶のカテキンだと思われる。

どうやら一段落したようだった。そして料理が来るまで、私が持参したお土産を渡したら、皆でテーブルに広げてそれぞれ好きなものをとってもらった。みんなもそれぞれお菓子を持ってきていてそれもテーブルに広げた。

こうしてワイワイと盛り上がっていたら料理がついに来た。料理は運ばれて来た時にすでに良い香りを放っていた。

1品目に来た料理は日本語でマテ貝というものだった。割り箸を太くしたような細長い貝で、それは本当にちょっと太くなった割り箸だ。真ん中から割られて出てきたのは醤油とニンニクのオイルで仕上げた良い香りだった。マテ貝なんて日本ではおよそ食べたことがなかったからとても珍しかった。マテ貝の特徴を活かした調理方法になっていた。

2品目はエビ料理が来た。見てみると高温でエビを素揚げにしたものを醤油と調味料であえたソースをさっとかけていたようだった。エビは殻ごと食べられるほど高温で揚げてあった。

3品目ははまぐりのスープだ。中にはセロリや生姜も入っていた。そして、ここが普通と違うのが、スープの横に何やらエビだの魚だのの物体が入った皿が横にあった。聞いたらこれがはまぐりスープを作った時のだしだそうで、これも食べられるので出しているということだった。食べ物を無駄にしない香港人の知恵だろうか?

4品目に出てきたのはシャコだ。しかも一匹がデカい!日本のシャコの何倍の大きさだろうか?そのデカいシャコが人数分大きなお皿にドーンと盛られてきた。それは私が大好きな味付けだった。一度揚げたシャコにニンニクと唐辛子をみじん切りにものが揚げたシャコの上にたっぷりとかけてあった。「避風塘」と言う名前の料理だ。

5品目はあの大きな魚の1条2食方法で調理すると言っていた1食目だ。「西芹炒東昇班球」という名前の料理で、魚をぶつ切りにして、セロリとパプリカと一緒に高温で炒めた料理だ。高温でさっと炒めているから魚の身も崩れずにきれいな形が保たれていた。日本の家庭でやっても高温ではできなく、混ぜたりする必要があるので身が崩れやすくなる可能性がある。

6品目はアワビの醤油煮込みだ。またこのアワビもデカい!土鍋に入って出てきた。ちゃんと人数分の個数があった。

7品目はホタテにたっぷりのニンニクと春雨が入った料理だ。「芙蓉粉絲扇貝」と言う名前だそう。

最後は1条2食の二食目の料理だ。魚を蒸して、醤油とごま油などを熱したものを蒸した魚にかけた料理だ。「蒸頭喃」と言う料理名だそう。

これら8品の料理は一部を除いてほとんどきれいさっぱりなくなった。そして、残った料理はお持ち帰りができる。数人がお持ち帰りをしていた。香港ではお持ち帰り用の使い捨ての容器をレストランは用意してくれるのだ。

それにしても皆さんおしゃべりしながらよく食べる。参加したメンバーの年代は私の10代の娘以外、私も含めて皆50歳以上だ。でも、皆さんよく食べる食べる!今回集まった皆さんは同じサークルのお仲間だそうで、集まると香港の郊外の山登りに行くそうだ。体は皆さん丈夫なのだそうで、とても若々しく元気だ。そして、中華民族の特徴なのか、よく食べる。きっとこれが全て体が元気になる元と考えているのだろうと思った。

そして今回は香港版路線バスの旅を体験できたのも楽しかった。賑やかな場所が我々日本人の香港の印象だが、奥に行くと自然や田園風景もたくさんあり、都会の生活に疲れたらこうした郊外に行く人も結構いるそう。こうしたいろいろな顔を持つ香港はやはり面白いところだ。そして、料理もおいしい。

今回食べた料理の数点を日本に帰ってきて再現してみたが、火力が家庭用なのでなかなかうまくいかなかったが、味はまあ、食べたものに近い味になった。香港で調味料を数点買ったのでこれらを使って再現してみた。

また落ち着いたら香港でいろいろな食べ物にチャレンジしてみようと思う!

■筆者プロフィール:茶妹小丸子

1967年生まれ。千葉県出身。中国浙江省杭州大学(現浙江大学)漢語進修コースに1年留学。広西チワン族自治区外貿公司駐日本代表事務所に5年の勤務、上海に4年間駐在した経験を持つ。バリバリのキャリアウーマンでもない、半分パートタイムで半分専業主婦が30年間自分の目で見て聞いた事を日本の皆さんに紹介できたら!と思っている。

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