2020年3月10日、韓国・デイリーアンは、大統領府が新型コロナウイルスに関連した「偽ニュース」に極度に敏感な反応を見せていると報じた。記事は、この要因について「新型コロナウイルスの拡散に国民の不安感が最高潮に達している状況で、偽ニュースまで広がれば、社会にさらに混乱を引き起こすことを恐れている。（4月15日実施予定の）総選挙への悪影響を警戒しているという見方もできる」と分析している。

記事によると、文在寅（ムン・ジェイン）大統領の妻、金正淑（キム・ジョンスク）夫人が先月18日にソウル市内の総合市場を訪れた際に着用したマスクが日本産だという話が、オンライン上に出回った。これに大統領府は、「明らかな偽ニュースだ」とし、法的対応を取る方針を明らかにしたという。

また、北朝鮮の金正恩（キム・ジョンウン）朝鮮労働党委員長が、4日に文大統領に送った親書で「新型コロナウイルスの防疫協力を依頼した」とする、同国の主要紙・朝鮮日報の報道にも「典型的な虚偽報道」と断じたという。

記事は「（政府は）偽ニュースが多くなるほど、政府の防疫対応の信頼度が低下するばかりか、『国民的団結』が難しくなることを恐れていると解釈される」と分析。また、政治評論家の話として「文大統領を弾劾すべきという話が出てきている状況で、偽ニュースに無反応であれば総選挙にも悪影響を及ぼすだろう」と指摘している。

これに、韓国のネットユーザーからは、「政府が国民相手に法的対応をちらつかせるなんて。国民は敵か？」「法的対応を取ろうとすることは間違っている」「選挙の票にだけ関心があるのだな。新型コロナウイルスの拡散で苦労している国民たちが目に入らないのか？」などと、偽ニュースに敏感な政府の姿勢に、批判の声が上がっている。

一方、「偽ニュースを作る者は懲らしめないと」「偽ニュースを流す人は社会悪。厳罰を科すべき」「悪意的な偽ニュースに敏感になるのは当然だ」「国民に混乱を与える偽ニュースを信じてコメントを投稿する人は多いね」などと、偽ニュースの発信者に厳しい目が向けられているほか、それに惑わされる受け手の姿勢を指摘するコメントも寄せられている。（翻訳・編集/関）