パナソニックが撤退表明、プラズマの「死刑」宣告?―中国メディア

Record China    2013年11月14日(木) 17時36分

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12日、パナソニックは先月31日、今年12月にプラズマディスプレイの生産を停止し、2013年の財政年度となる来年3月末までにすべてのプラズマ関連事業を取りやめると発表した。写真は山東省で売られるパナソニック製テレビ。

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2013年11月12日、パナソニックは先月31日、今年12月にプラズマディスプレイの生産を停止し、2013年の財政年度となる来年3月末までにすべてのプラズマ関連事業を取りやめると発表した。業内関係者によると、今回の措置はパナソニックにとって不可避の措置だが、これまでどうにか持ちこたえてきたプラズマ陣営はこれで急速な崩壊を迎える可能性がある。

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▽栄光の過去、無残な撤退

わずか3年前まで、パナソニックやソニーなどの日本の家電メーカー大手は、優秀な技術とすぐれた工業デザインによって、家庭用電子機器の分野を席巻していた。このうち、液晶やプラズマフラットテレビの世界的な販売好調は、日系家電メーカー大手の売上の重要な部分となっていた。パナソニックのテレビ事業は2010年にピークを迎え、営業収入は100億ドル(約1兆円)を超えていた。

だが好景気は長くは続かず、フラットテレビ市場が飽和に向かい、国際金融環境が悪化し、コストが上昇し、液晶テレビが急速に発展するなどの複合的な要素の作用を受け、パナソニックのプラズマ事業は急速に下降に転じた。まずはプラズマ事業への投資が引き締められ、今年初めには上海のプラズマ工場が閉鎖し、さらに今回のプラズマ事業撤退の宣言に至り、投資額2000億円余りの兵庫県尼崎工場も手放すこととなった。財務報告によると、パナソニックの2012年度の総収入は7兆3030億円で、前年より6.9%低下した。純損失は7543億円で、2011年度の純損失7722億円とともに2年連続の大赤字となり、パナソニックが再編・復興の道を歩むことを決心するきっかけとなった。まず取り掛かることとなったのが「止血」措置であり、利益をあげていないプラズマ事業からの完全撤退などが進められつつある。

▽「死因」分析:液晶の猛攻、プラズマ技術の閉鎖性

プラズマテレビはかつて、大画面やハイエンドの代名詞だった。液晶テレビが大画面の良品率とコストの問題を解決できなかった2005年から2008年の頃は、プラズマテレビはほとんどすべての大画面市場のシェアを独占していた。その優れた動態効果や高いコントラスト、色彩の自然さなどの多くの強みは、現在最高級の液晶テレビをもはるかに上回っており、さらにプラズマテレビメーカーではパナソニックが間違いなく群を抜いていた。

産業研究に長年にわたって携わってきた中国家電網の馬聡(マー・ツォン)副編集長は、「パナソニックのNEOPDPの技術は現在もトップレベルにある」とパナソニックのプラズマテレビを評している。だが時は過ぎ、市場では現在、プラズマテレビの姿を見ることはほとんどなくなった。プラズマテレビの市場シェアは10%、さらには5%以下にまで低下した。記者が北京市の家電売場を調べたところ、90%以上のテレビブランドは液晶テレビしか売っておらず、プラズマテレビを売っているのはパナソニックと長虹、サムスンだけだった。パナソニックを含め、すべてのメーカーは液晶テレビが主力商品となっており、長虹とサムスンはプラズマテレビをローエンド製品や補充型製品として売っており、販売員は液晶テレビの販売に力を入れている。

プラズマテレビの衰退の原因は液晶テレビの猛攻にあるが、一方ではプラズマ陣営の保守性が自己の消滅を早めたとも言える。業界に詳しい楊帆(ヤン・ファン)氏は、プラズマの失敗の最大の原因は、技術があまりにも閉鎖的であったことにあると見ている。プラズマのキー技術を把握していたのはパナソニックや日立、パイオニア、サムスンなど数社だけで、日立とパイオニアが相次いで撤退した後も、パナソニックはこれに対処することなく、ほかの企業との協力の提案にも乗らず、プラズマ陣営の急速な萎縮を招いた。これに対して液晶分野は、LGやサムスン、奇美などのメーカーが開放的な態度を取ったため、市場が急速に発展し、液晶とプラズマの両陣営の攻勢を逆転させた。「理由は簡単です。消費者が売場に行って、テレビのブランドが10あるうちの1つしかプラズマを売っていないのを見たら、企業がどんなに宣伝していても、ほとんどの消費者は液晶テレビを買うことになるでしょう。消費者は専門家ではないので、群集心理が強く働きます」と楊氏は説明する。

馬副編集長によると、パナソニックのプラズマ事業からの撤退は、プラズマの旗を掲げる旗手が不在となることを意味する。プラズマの良さを知る人はどんどん少なくなっており、知っている人もほとんどがパナソニックのプラズマファンと重なる。液晶が不断に進歩するなか、プラズマは、パナソニックの撤退によって前進する力を失い、市場の隅で生き残るチャンスさえも失いつつある。

▽市場への影響は限定的、中国企業は長期的展望を

テレビ市場の大きなシェアを握っていたパナソニックのプラズマ撤退は、世界のテレビ産業にいかなる影響を与えることになるのか。

霊基コンサルティングの胡洪森(ホー・ホンセン)総経理によると、世界の映像産業の重心が液晶へと移っていくなかで、パナソニックはすでに2年前からプラズマ市場撤退の兆候を見せていた。プラズマ市場の比率がフラットテレビの10%に満たないうえ、パナソニックが段階的撤退の戦略を取り、そのプラズマ撤退が時間の問題であることが業界で知られていたため、パナソニックの今回の正式撤退がフラットテレビ市場に与える実際の影響はそれほど大きくないと考えられる。

胡総経理によると、サムスンと長虹にとっては、プラズマ陣営の盟友を失うことは確かに惜しいことだが、各企業の戦略から考えると、今回のパナソニックの撤退は本質的な影響は及ぼさないものと見られる。まず、長虹は2、3年前にすでに重心を液晶へと移しており、プラズマテレビが占める割合はまだ大きいものの、新製品の開発と市場のプロモーションについて言えば、プラズマはすでにその重心ではなくなっている。サムスンのプラズマテレビはもともと戦略の補充であり、一部の消費者のニーズを満たすものにすぎず、主流の消費者によって認められることは目指されていない。

楊氏は、中国企業はパナソニックのプラズマ失敗から教訓を汲み取り、長期的な展望を持つべきだと呼びかける。それには一時的な利益のために前進をやめることなく、幅広く協力を展開することが重要となる。現在の家電産業においては、融合と相互乗り入れが主流となっており、企業間における関係は、単純な競争関係というよりも競合関係という色彩が強い。中国の現在のテレビメーカーの多くは、注意をスマート性能とネットワーク性能に傾けており、技術でリードする日韓企業がすでに曲面OLEDテレビの開発に取り組み、その歩みを速めていることに注意していない。このままでは依然として遅れを取ることが不可避となる。(提供/人民網日本語版・翻訳/MA・編集/武藤)

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