<コラム>地球文明の国になれるか日本 その2

石川希理    2020年4月7日(火) 23時20分

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日本は、もう長い間経済成長から遠ざかっている。「失われた20年」とか表現される。中国から見てもそうらしい。写真は神戸。

私の母国、日本は、もう長い間経済成長から遠ざかっている。「失われた20年」とか表現される。中国から見てもそうらしい。が、「ちょっと違うな」という感じを持つ人も中国には多いらしい。私もちょっと違うな、と思う。中国などとの関係を見ながら考えてみたい。

我が国は成熟している。そして固まりつつある。1963年に製作・公開されたアメリカ合衆国の映画。『北京の55日』は、清朝末期、騒乱の中、北京の外国人居留地を各国の軍隊が守るためのお話である。亡くなったがチャールトン・ヘストンという稀代の名俳優が主演だ。この映画、日本からも故・伊丹十三がでている。日本人の軍人役である。

日清戦争以後、後発の帝国主義国家「大日本帝国」は大陸に植民地を求めた。韓国・台湾を植民地化し、中国に侵攻した。以後、第二次大戦で敗戦するまで、中国を侵略したので、中国人からすれば「嫌な小日本」という感情は、私たちが逆の立場になって考えると当然だろう。

この小日本。このところ、「大日本」ではなくても「誇るべき日本」になってきたらしい。まず、近・現代の歴史に驚く。特に1945年の第二次大戦の敗戦後である。東京はじめ、大都市は前に少し触れた「焼夷弾」という、日本の木造家屋を焼き尽くすため使用された爆弾を中心に完全破壊された。当時、日本は全国で7-8000万程度の人口だった。植民地だった朝鮮・台湾を入れたのかどうかは定かではないが、戦時中のスローガン「一億火の玉」は景気のいいかけ声である。

さてこの第二次大戦での死者は、統計に幅があるが、おおよそ軍人と民間人あわせて3-400万人前後だ。人口の4パーセント。人口の4パーセントというのは、40人の中学校の学級で、2人ほどが亡くなったと言うことである。「小さな数字だな」そう感じられたら困る。どの学級でもクラスの子が2人亡くなるのだ。昨日までいた子が戦争が終わってみると、いなくなっていると考えてもらえばよい。

そして注意すべきは、農村部ではなく極めて狭い都市部に爆撃は集中したから、東京・大阪はじめ人口集中地帯は壮絶なことになった。クラスにしたら7人も8人もが亡くなったという事だろうか。登校したら隣の席の子も、後ろの席の子も亡くなっている。想像して欲しい。工場は破壊され、焼け野原である。

有名な「スタジオジブリ」のアニメにもなった、野坂昭如著『火垂るの墓』を是非、観ていただきたい。もちろん、この小説を読まれてもいい。直木賞を受賞されている。選考で誰も反対しなかったと言われる。登場してくるのは14歳の兄と4歳の妹だが、妹は亡くなり、兄は現在も神戸市の中心駅「三ノ宮」で餓死する。75年前のことだ。

神戸は私の故郷なので、具体的な状況が胸に迫り、読むのが辛かった。二度と「見たいけれど見たくない」。歳を取ると涙もろくなる。終戦直後である。誰も手をさしのべない。餓死者が巷にあふれる。

このような中で、「もう二度と日本は立ち上がれない」といわれた。その中で、団塊の世代は生まれた。戦争が終わって、海外から軍人が帰ってくる。しかし、若い結婚適齢期の男性が100万人ほども亡くなっているから、女性の数に合う男性がいない。「婿一人にトラック一杯の花嫁」と極端に表現されるほどの状況になった。でも結婚ブームである。

1947-1949年のベビーブームが団塊の世代だ。年間270万人の出生というのは2020年現在の約3倍である。食糧が不足して、国連軍と言いつつ、実際は主体のアメリカ占領軍司令部は、出生を抑制することにした。結果、1950年からは出生数が減っている。

注意していただきたいのは、72歳の私が生まれた時期は、日本は占領され独立国家ではなかったのだ。連合国軍最高司令部(GHQ)が東京都千代田区有楽町の第一生命ビル(第一生命館)に置かれていた。

つづく

■筆者プロフィール:石川希理

1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。

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