石川希理 2020年4月3日(金) 23時50分
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揚子江は「長江」が正しい言い方である。チベットから流れ出て、6300キロの長さと言うから、日本列島の倍以上、楽にはいる。
揚子江は「長江」が正しい言い方である。チベットから流れ出て、6300キロの長さと言うから、日本列島の倍以上、楽にはいる。河口の幅は40キロという。「海」のようなものだ。北にある黄河の河口幅は18キロ程度だから、揚子江(長江)は世界の大河川の一つだ。
比較した黄河自体も大河川である。中央アジアの黄砂を東シナ海に運び、そこは黄海と呼ばれる。黄砂で海に色がついている。因みに、この黄砂は、偏西風で日本にも飛んでくることがある。スケールの大きな話だ。「揚子江(長江)」「黄河」それぞれで、古代文明が生まれている。
タイトルの「五月雨を集めて早し揚子江」は、言うまでもなく、松尾芭蕉の句、「五月雨を集めて早し最上川」からとっている。この最上川は230キロほどの長さだ。河口は300-400メートル。日本の利根川、淀川は、それぞれ長さは332キロ、75.1キロ。河口の幅は、大雑把に1キロメートルほど。まあ、川幅は上流が広いところもあり、河口幅というのは堤防間の幅であったりするらしい。この利根川、淀川も河口に平野を作り、都市が発展している。
「しかし、まあ、中国とは桁違いですなあ…」
中国と日本を比較しただけだが、日本の川は、世界の大河川から見ると急流の小川のような感じがしないでもない。なにせ列島自体が、海の底の山頂部分が海面に出たような場所である。山ばかりで、平野は少なく、川は短く急流だ。
アメリカはもとより、ヨーロッパでも、川は長く、ゆったりと流れている。ヨーロッパの中央平原など、川の水面が大平原をうねうねと流れる。日本のように深く抉られた場所は、源流に近い所以外、少ない。ヨーロッパで「洪水で困るだろう」と目をさらにして、驚いて道路との堤や、堤防のない河川を見ていた。が、考えてみると、日本のように急峻な山からほとんど河口まで急流、時にあっという間に増水して大洪水を起こすと言うことがないのだ。
雨もまた少ない。日本の年間降水量は世界平均の2倍だ。アメリカやフランス、中国の2.5倍くらいある。「五月雨を集めて早し最上川」とは、日本の風景である。この短い急流は、日本の文化、日本人の感覚に大きな影響を与えている。因みに、中国では揚子江(長江)以南の海岸部に梅雨は見られる。といっても奥地はともかく文明を育んだ中部・沿海部の川は急流ではない。五月雨を集めて急流になる場所がない。
我が国の、何もかも「水に流す」というのは「禊ぎ」から来ているとも言われる。狭い国土で、「水に流す」ことがないと、いがみあっていられないからでもあるだろう。また、洪水により総てを押し流して「無」に帰してしまう、無常観のようなものの背景かも知れない。こう言う意味で、中国や、大陸諸国の感覚から見ると、日本・日本人というのは、こだわらない民族に見えるのだろう。新型コロナにしても、余り慌てない。災害に対して、諦めと、全員の協調があって、暴動はほとんど起こらない。もっともこの理屈が隣国や世界に通用するわけでもないので、それは心して行動しないといけない。世界の手本にもなりうるが、十分に説明し、「狭い地球」の住人として相互理解と寛容の民族になりたいものである。
■筆者プロフィール:石川希理
1947年神戸市生まれ。団塊世代の高齢者。板宿小学校・飛松中学校・星陵高校・神戸学院大学・仏教大学卒です。同窓生いるかな?小説・童話の創作と、善く死ぬために仏教の勉強と瞑想を10年ほどしています。明石市と西脇市の文芸祭りの選者(それぞれ随筆と児童文学)をさせていただいています。孫の保育園への迎えは次世代への奉仕です。時折友人達などとお酒を飲むのが楽しみです。自宅ではほんの時折禁酒(笑)。中学教員から県や市の教育行政職、大学の準教授・非常勤講師などをしてきました。児童文学のアンソロジー単行本数冊。小説の自家版文庫本など。「童話絵本の読み方とか、子どもへの与え方」「自分史の書き方」「人権問題」「瞑想・仏教」などの講演会をしてきました。 ブログはこちら
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