過去2カ月間に、世界の株式市場は大幅に下落し、世界の多くの富豪の資産も大幅に目減りした。中国証券報が伝えた。

胡潤研究院が今月6日に発表した「新型コロナウイルス肺炎発生から2カ月後のグローバル企業家の資産の変化についての特別報告」によると、2020年1月31日から3月31日までの2カ月間に、世界トップ100社の経営者の資産の損失は2兆6000億元（約39兆円）に上り、1人1日あたり4億元（約60億円）以上を失った計算になる。

この100人のうち、過去2カ月間に資産が増加した人は9人しかおらず、その中には邁瑞医療の徐航氏、海天味業の厖康氏、新希望集団の劉永好氏の名前があった。馬化騰氏が初めてジャック・マー（馬雲）氏と並んで中国の富豪ナンバーワンとなり、資産額はいずれも2900億元（約4兆3500億円）だった。

このほか同研究院のまとめたデータによれば、粉飾決算が明らかになった瑞幸珈琲（ラッキンコーヒー）は先週株価が80％近く下落し、陸正耀会長（51歳）と銭治亜最高経営責任者（CEO）（43歳）の資産が大幅に減少して10億ドルを下回った。

■LVMH会長、1日30億元以上を失う

フランスのルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー（LVMH）グループのベルナール・アルノー会長はこの2カ月ほどで資産が最も大幅に目減りし、2000億元（約3兆円）を失った。1日あたり30億元（約450億円）あまりを失ったことになり、資産額は現在5500億元（約8兆2500億円）だ。

インドのエネルギー大手リライアンス・インダストリーズの筆頭株主のムケシュ・アンバニ氏は1290億元（約1兆9350億円）の資産を失い、過去2カ月間に毎日20億元（約300億円）あまりを失った計算で、資産額は3400億元（約5兆1000億円）となり、世界の企業家トップ10から脱落した。

ウォーレン・バフェット氏は約2カ月間で資産が1200億元（約1兆8000億円）目減りし、1月末の統計データに比べて20％近く減少し、現在の資産額は5900億元（約8兆8500億円）まで減少した。ビル・ゲイツ氏、マーク・ザッカーバーグ氏の資産額もそれぞれ900億元（約1兆3500億円）目減りした。

その他の富豪で資産が大幅に減少した人には、電気自動車バッテリーメーカーの寧徳時代新能源科技の実質的支配者である曽毓群氏、百度（バイドゥ）の李彦宏氏と馬東敏氏夫妻、安踏スポーツ用品の丁世忠氏らがおり、曽氏の資産額は24％減の740億元（約1兆1100億円）、李氏・馬氏夫妻は22％減の590億元（約8850億円）、丁氏は20％減の295億元（約4425億円）になった。

新型コロナウイルス肺炎の打撃により世界の企業家トップ10の並び順にも変化が生じた。ウォルマート創業者の長女であるアリス・ウォルトン氏は資産額4100億元（約6兆1500億円）で世界8位になり、アリス氏の兄でウォルマートの現社長のジム・ウォルトン氏は3980億元（約5兆9700億円）で9位になった。

■馬化騰氏が馬雲氏と並び初めて中国富豪トップに

この2カ月間には、中国の企業家上位10人が合わせて2890億元（約4兆3350億円）の損失を被った。馬化騰氏が初めて馬雲氏と並んで中国の富豪トップに立ち、資産額はいずれも2900億元（約4兆3500億円）だった。しかしながら、馬化騰氏の資産は約2カ月で7％目減りし、馬雲氏も9％目減りした。江蘇恒瑞医薬と翰森製薬のトップの孫飄揚氏および鍾慧娟氏夫妻は許家印氏と李嘉誠氏を抜き、資産額2020億元（約3兆300億円）で3位になり、順豊速運の王衛氏はベスト10圏外となった。

■富豪9人の資産が流れに逆らって増加、全員中国から

同報告の指摘によると、世界トップ100社の経営者のうち、この2カ月ほどで資産が減少した人は86％を占め、現状維持が5％、増加した人は9％しかいなかった。そしてこの9人はすべて中国出身の富豪だ。

このうち中国の豚肉メーカーの新希望集団の代表を務める劉永好氏の資産は20％増の1050億元（約1兆5750億円）となり、牧原股フン（フンはにんべんに分）の実質的支配者の秦英林氏と銭瑛氏夫妻の資産は16％増加して1550億元（約2兆3250億円）になった。

世界で人工呼吸器やその他の医療機器への需要が激増していることから、邁瑞医療の実質的支配者の徐航氏の資産も26％増加して950億元（約1兆4250億円）に達した。

過去約2カ月間で資産が急速に増加した経営者には、Web会議プラットフォームzoomの会長を務めるエリック・ユアン（袁征）氏（50歳）がおり、資産は77％増加して565億元（約8475億円）に達した。1月31日から3月31日までの間に、zoomの株価は91．51％上昇した。

公務員試験のカリキュラムからスタートした中公教育集団の李永新社長と李氏の母親の魯忠芳氏は、最近2カ月で資産が20％増加して820億元（約1兆2300億円）に達した。これは主に予想を上回る好調さだった決算と感染症の爆発的流行期間のネットワークマーケティングの後押しによるものだ。1月末から3月31日までで、中公教育の株価は51％近く上昇した。（提供/人民網日本語版・編集/KS）