任天堂「あつまれ どうぶつの森」はなぜこんなにも人気なのか―中国メディア

人民網日本語版    2020年4月9日(木) 22時20分

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「リングフィット アドベンチャー」に続き、任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」が人気を集めている。

「リングフィット アドベンチャー」に続き、任天堂のゲーム「あつまれ どうぶつの森」が人気を集めている。

■思いがけない「どうぶつの森」人気の理由

シミュレーションゲームの「どうぶつの森」は架空の小島でスタートする。プレイヤーは速いリズムの仕事を終えると、このゆったりしたペースの「癒やし系」ゲームの世界に没入し、虫取りや釣り、化石探しを楽しみ、家を建てたり借金を返したりする。

この見たところ癒やし系のゲームが、3月20日の発売から3日間で、日本では実物パッケージ版が188万本以上売れ、ゲーム機「スイッチ」のゲーム発売第1週の売り上げ記録を更新した。この1週間で実物版にダウンロード版を加えて約250万本が売れ、スイッチの売り上げも大幅増加して約40万セットに達した。前の週のスイッチ売り上げは5万7000セットだった。

「どうぶつの森」は英国で発売第1週に最も売れたスイッチのゲームになっただけでなく、米国のアマゾンでも売上トップに立ち、中国市場でも次々にファンを獲得した。微博(ウェイボー)の「どうぶつの森」のファンの交流の場である「超級話題(スーパートピック)」は閲覧件数が2億7000万件を超え、淘宝(タオバオ)では実物版の価格が2倍に跳ね上がった。

しかし「どうぶつの森」が人気検索ワードに登場し、「社会現象と呼ばれるゲーム」になった原因はこれが「癒やし系」だからではなく、開放度と自由度の高さでプレイヤーが「遊び倒すこと」ができるからだ。プレイヤーは次々に新しいシーンを創造し、新型コロナウイルスによる肺炎の流行期間に心温まるストーリーを紡ぎ出した人もいる。

たとえばこんなクリエーションがある。支付宝(アリペイ)や微信(WeChat)の送金用QRコードをレンガにして入り口のところに敷き、本当に送金ができるようにした人がいる。自分の島を果樹園にして、「もいだ方に実物を送ります、歯触りのよい甘い果物、順豊で送料込み」と書いた広告の看板を掲げた人がいる。釣った魚を集めて、「シーフード取引市場」を作った人もいる。感染症の影響で実際の結婚式を予定通り挙げられなかった海外の新婚カップルは、友人たちに集まってもらい、架空の島で結婚式を挙げたという。

■「どうぶつの森」はなぜ中国でこれほど人気か?

「どうぶつの森」の中国での人気の背後には、同シリーズが初めて中国語対応になったこともあれば、感染症の影響による「おうち生活」が後押しをしたこともある。

また、ここ数年のカジュアルゲームの成長によるところも大きい。アプリ市場調査会社の米アップアニーの「2020年モバイル市場報告」とモバイルネットワーク製品のベンチマーク分析を手がける易観千帆のデータによると、モバイルゲーム産業で最も成長が著しいのはカジュアルゲームで、月間アクティブユーザー数は4億人に達したという。ダウンロード件数も最多で、ゲーム全体のダウンロード数のうち47%を占める、女性ユーザーの増加と消費パワーの発揮が、カジュアルゲームの発展に極めて大きなユーザーの基数と基盤を提供している。

さらに現実生活との類似性やほのぼのとかわいらしい作風により、「仏系(仏のように物事に拘泥しないこと)」青年の社交生活で話題になったこと、ショート動画で活発な告知活動が繰り広げられ、友人からの口コミやおすすめがゲームの主要な発信ルートになったこともある。

■現実逃避のユートピア

「どうぶつの森」には一応メインストーリーがある。借金をしてより大きな家を建てて、借金を返すというストーリーだ。ただ借金には利息も期限もない。

「どうぶつの森」プロデューサーの野上恒さんは取材に答える中で、こんな話をしてくれた。「残念なことに、『あつまれ どうぶつの森』を発売した時、世界ではこんなに大変なことが起きていて、次々降りかかる災難にすっかり元気をなくし心を痛めていた。このような状況であるので、『どうぶつの森』の大勢のファンにはこのゲームを一種の逃避場所としてもらいたい。大変な時期だからこそ、楽しく遊んでもらいたい」。

何もかもがファンのために創造された「リアルな島での暮らし」だ。ゲームの中で、島にやって来た背景には「現実の生活からの逃避」があり、ゲームが進行すると本当に現実生活からの出口が提示される。

「どうぶつの森」には四季があり、毎日太陽が昇り月が沈む時間の流れがあり、現実世界と同じペースで進んでいく。夜になれば店は閉まり、動物たちはねぐらに帰って眠る。時間や季節ごとに違う生き物が登場し、天気やイベントに合わせて装飾が変わる。北半球と南半球の季節の違いまでも考慮され、北半球と南半球のプレイヤーはそれぞれに合った産物や生態環境が設定されている。それだけではない。「どうぶつの森」は細かいところにも配慮が行き届き、歩く床の材質が異なれば足音が変わり、家の明かりは2種類あり、動物の友だちの前で虫をつかまえると拍手してくれる設定もある。

毎日のノルマをこなし、いろいろな遊び方を試す中で、「どうぶつの森」の世界に隠されたディテールが想像をはるかに超えていることに気づくだろう。砂浜で水をはき出す小さな穴を掘ってみると牡蠣がいたり、木の枝に蓑虫が揺れていたり、蜂に刺されて顔が腫れたり、毒グモに驚いて気絶したり…。

現実生活の中で、私たちは身の回りのことは何でも知っていると思い、生活は無限の繰り返しに思える。しかし「どうぶつの森」でもう一度虫や魚を仲間ごとに分け、その習性を追いかけていると、子ども時代に返ったような気持ちになり、あらゆることに強い好奇心を抱くようになる。

ゲームは社会心理の投影であり、社会的な属性と心理の投影がプレイヤーを深く引きつける重要な要素だ。感染症が導火線になった背景には、「旅かえる」と同じように、シンプルでほのぼのとした作風が現代の若者の孤独感、仕事の無味乾燥さ、生活の中で感じる大きなストレスを解消したこと、暮らしの中の「小確幸」(小さいけれど確かな幸せ)を求める心理的ニーズに合致したことがある。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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