人民網日本語版 2020年4月29日(水) 9時20分
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新型コロナ拡大以来、中国の飲食業界では料理を1人分に取り分けるスタイルがトレンドとなっている。各地の飲食店は商機を逃すまいと、「一人前」や「ミニサイズ」などのメニューを打ち出し、注目を集めている。
新型コロナウイルスの感染が拡大して以来、中国の飲食業界では料理を1人分に取り分けるスタイルがトレンドとなっている。そして、各地の飲食店は商機を逃すまいと、「一人前」や「ミニサイズ」などのメニューを打ち出し、注目を集めている。筆者はこのほど、甘粛省蘭州市で取材を行った。新華社が伝えた。
■みんなで箸をつつく文化が陰ひそめる
蘭州市の人々にとって、煮込んだ牛肉入りの中華麵料理・牛肉麺は、食習慣において重要な位置を占める。正午になると、同市にある蘭州張国仁牛肉麺館の入り口付近のレジでは、注文する客が長蛇の列を作っており、店内には一人用のテーブルが並べられていた。昨年、同店が打ち出した3~4人前のビッグサイズの牛肉麺がネット上で大きな話題となった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ビッグサイズの牛肉麺を注文する人はほとんどいなくなる一方で、普通の1人前の牛肉麺が大人気となっている。
蘭州東方宮清真餐飲集団の馬俊(マー・ジュン)経理によると、一人分の牛肉麺は最も一般的であるものの、新型コロナウイルス感染拡大防止対策実施期間中は、周りの人から少し離れて立ち、少し離れた席に座る「離立離席」が飲食店でも徹底され、牛肉麺にとっては「試練」の時期を迎えている。 「当店には300席あるが、今は指示に合わせて最多で50人しか座れない。客が並ぶ時間を短くするために、店員は注文、料理提供、片付けをスピーディーにするしかない」と話す。
蘭州市のいくつかの中華料理店を取材すると、ほとんどの店では客が一席間を取って座るようにしたり、向かい合わせにならないよう同じ方向を向いて座るようにしたりし、テーブルには、取り箸を使うよう注意を呼びかける表示が置かれていた。客の2割ほどは、「各料理を小分けに取り分けてほしい」と希望しているのが現状だ。
飲食店で「各料理を取り分けるスタイル」には主に「厨房で取り分けてから提供」、「ホールスタッフがテーブルで取り分けて提供」、「客が自分たちで取り箸を使って取り分ける」の3つのスタイルがあり、なかでも「厨房で取り分けてから提供」と「客が自分たちで取り箸を使って取り分ける」スタイルが多い。
ある関係者は、「食卓を囲んでみんなで食事をするというのは、中国の飲食文化における重要なスタイル。これまで、人々は料理をテーブルにたくさん並べ、みんなで会話をしながらそれらを食べて絆を強めたり、友情を深めたり、さらに商談を行ってきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大がこうした人々の生活に大きな影響を及ぼし、取り箸を使ったり、間隔を空けて座ったり、料理を取り分けるのが『トレンド』となり、伝統的な飲食文化ににわかに変化が生じている」との見方を示す。
■「一人前」と「ミニサイズ」の春到来?
ある事業者は、「現在、取り分け制の導入にはネックも存在している。新型コロナウイルス感染拡大により飲食店の売上高は激減しているうえ、各料理を取り分けるには、さらに多くの労働力と物的資源を必要とし、コスト的負担が重いため、事業者はあまり積極的とは言えない。取り分け制は、伝統的な中国料理を食べる習慣とは異なるため、市場の反響や長期的な発展に関しては予測が難しい」との見方を示す。
〇一人で火鍋料理楽しむ「一人用鍋」も大人気に
食事の時間帯になると、蘭州市の火鍋レストランチェーン・呷哺呷哺(国芳百貨店)では、何人かで一緒に来た多くの客たちは、「一人用鍋」エリアで食事することをすすんで選択しており、以前人気だった4人で一つの鍋を食べるエリアはすっかり不人気になっていた。ある客は、「『一人用鍋』の方が衛生的。それぞれが『一人用鍋』で食べても、会話するのには何の影響もない」と話した。
姜旭店長によると、最近、「一人用鍋」エリアを選ぶ客が以前に比べると50%増えたとし、「店にとってはコストがかかるが、例えば、セットに割引きを設定したり、クーポン券を配布したり、『一人用鍋』エリアを拡張して店内で食べる客を増やすなど、他の部分でバランスを取ることができる」とした。
そして「各種飲食業は現在、全体的に売上高が縮小している。当店にとっては、4人用鍋でも、一人用鍋でも、客が来てくれるだけで、閑古鳥が鳴いているよりよっぽどいい」と姜店長。
〇人気上昇中の「ミニサイズ」
蘭州市万輝国際広場でミニサイズの料理を提供しているあるレストランを取材すると、店主の張慶(ジャン・チン)さんが、デリバリーを十数件分準備していた。張さんによると、同店は昨年オープンしてから1カ月までは、鳴かず飛ばずの状態で、「『ミニサイズの料理』は安かろう悪かろうというイメージがあり、その場しのぎに一口食べるぐらいで、きちんとした食事として食べに来る人はあまりいなかった」という。
しかし、最近1カ月、予想を上回るほど状況が好転している。商業圏全体の客数は激減しており、その影響を受けて同店の売上も15%減少したものの、そのメニューの栄養バランスが良い点や取り分けられているため衛生的で、量もちょうど良い点が気に入った客も多く、デリバリーの注文数が逆に10%増加し、リピーターも増えているという。
■飲食業界にとって分岐点となるか?
最近、世界中餐業聯合会と中国国際貿易促進商業行業委員会は共同で、業界基準「中国料理の取り分け制、取り箸スタイル、箸2セット制(各自が食べる時に使う箸と取り箸を使うスタイル)のサービス規範」を起草した。
蘭州馬有布餐飲管理有限公司の馬明(マー・ミン)董事長は、「取り分け制が再び流行していることで、飲食業界のサービスマニュアル再作成が促され、この局面を乗り切ることができるかは、企業が積極的に細かな点にまで気を配りサービスを向上させるかにかかっている」との見方を示す。
現在、スタッフの研修や新たなポストの設置、食器の配置、メニューの設定などの面で調整やイノベーションを図っているレストランも多い。蘭州市にある弄堂小館(国芳百貨店)のホール責任者・劉宏斌(リウ・ホンビン)さんによると、料理を運ぶスタッフを増やし、厨房と協力して料理を準備するようにするほか、シフトや店内移動ルートを調整するなどして、料理をできるだけ早く提供できる体制を整えている。
蘭州市の敦煌路にある四川料理店は、各貸し切りルームに、取り分けた料理を冷めないように入れておく保温ボックスを設置した。また、客が注文した後、スタッフはお手拭きを配り、お茶を注ぐなど、料理が出てくる前のサービスを増やすことで、厨房が料理を取り分けるための時間を確保している。
甘粛省烹飪協会の趙忠禄(ジャオ・ジョンルー)会長は、「取り分け制は飲食消費の新たなトレンドで、今後の商機となるだろう。大衆化飲食企業において、調整し対応するのが早い企業が、その商機をものにすることになるだろう」との見方を示した。(提供/人民網日本語版)
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