デリバリーが日本の飲食店の苦境を救うか―中国メディア

人民網日本語版    2020年5月25日(月) 19時50分

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安倍晋三首相が新型コロナウイルス感染症で「緊急事態宣言」を発表すると、外食産業は営業時間が短縮され、歌舞伎町にも驚くべき変化が見られた。

歌舞伎町は東京都新宿区にある繁華街で、名実ともに不夜城であり、また外国人観光客が必ず訪れる人気の観光スポットでもある。安倍晋三首相が新型コロナウイルス感染症で「緊急事態宣言」を発表すると、外食産業は営業時間が短縮され、歌舞伎町にも驚くべき変化が見られた。暗いネオンの光、まばらな通行人、職を失った若者、イライラしている業者…。新民晩報が伝えた。

数十年にわたり居酒屋を経営してきた女性オーナーは、「こんなに閑散とした歌舞伎は初めて。うちの店の売り上げが90%減少して、1日にお客さんが1人あればいい方」と話す。71歳の今も店を切り盛りするオーナーは、常連客から「心配しないで、新型コロナが収束したら、また飲みに行くから」といったショートメッセージを時々受け取るという。

■自分で台所に立つ、健康的な生活に注目

感染症の中、日本政府は国民に不要不急の集まりを控え、不要の外出を減らすよう呼びかけ、テレワークを推奨する。そこで自分で台所に立つ、持ち帰りをする、デリバリーを頼むのが、食事という生きる上で真っ先に必要なことの主な選択肢になった。

レシピアプリを開発運営する株式会社ギークワークスがこのほど10歳から60歳までのユーザー1043人を対象に行った、新型コロナの食生活への影響についての調査によると、70%が、「新型コロナの流行中に台所に立つ回数が増えた」と答えたという。第一生命経済研究所が男女1000人を対象に行った、新型コロナが生活スタイルや生活意識に与えた影響についての調査では、50.2%が「外食の回数が減った」と答え、「家で食事をする」とした人が37.0%増加した。やむを得ず台所に立った多くの家事音痴はだんだん料理が好きになり、中には「食習慣や生活習慣が大いに改善した」という人もいる。

証券会社で働く佐々木さんは入社して2年目になったばかりだ。普段は仕事が忙しく、シングルということもあって、「とりあえず何か食べればOK」という食生活だった。新型コロナのため家でテレワークになり、ほとんど家事をしたことのない佐々木さんも自分でなんとかすることになった。「2カ月ほど頑張ってみて、料理の腕前が大いに上がった。より大切なことは健康な食生活の重要性を体でわかったことだ。今は台所で過ごす時間を楽しんでいる。新型コロナが終わっても、この生活習慣を続ける」と語った。

日本のラグビーナショナルチームの元選手の金正奎さんは、SNSで栄養バランスの取れた簡単なメニューを積極的に発信している。金さんは早稲田大学の2年生だった時から食生活に気をつけるようになり、新型コロナで家にこもるようになると、栄養と健康に配慮した簡単なメニューを紹介することにし、自作レシピを「きんめし」と名付けた。ネットユーザーの間で「作ってみた」と人気になっている。

■外食産業が苦境に、オーナーから悲鳴

日本フードサービス協会が発表したデータによると、今年3月の外食産業の売上高は前年同期比17.3%減少し、1994年に調査を始めて以来、減少率が最も高い月になった。業態別にみると、ファストフードが6.9%減少、和食レストランが7.2%減少、ファミリーレストランが21.2%減少、高級レストランが40.5%減少、バー・居酒屋が43.3%減少と大幅に減少したが、持ち帰りとデリバリーは6.9%の減少にとどまった。

東京商工リサーチの調査では、4月27日までに、新型コロナの影響で破産した企業は100社に達した。月別にみると、2月が2社、3月が23社、4月が75社だった。このうちホテル・外食産業が40%を占め、破産の原因は資金繰りが行き詰まったためというのが多い。

大阪府にあるミシュラン三つ星レストランのHAJIMEは予約が取れない店として知られ、米田肇シェフは「伝説のシェフ」と呼ばれる。新型コロナの影響で、この三つ星レストランでさえ営業が困難になり、4月は200人分以上の予約がキャンセルになり、売り上げが2000万円減少する見込みだ。米田氏は同業者とともに政府に要望書を提出し、家賃と従業員の給与の補助を求め、これにはわずか2週間で12万筆を超える賛同の署名が集まった。

■政府からの支援金、デリバリー・持ち帰りを奨励

経済産業省、都道府県庁、地方自治体は相次いで支援政策を打ち出し、外食産業が試練を乗り越えられるようサポートする。

経産省が店舗向けに拠出する支援金は総額1兆6000億円に達し、売り上げに影響があったレストランは特別貸付を申請できる。東京都は企業に協力金を支給するとし、1店舗の経営者は50万円、複数店舗の場合は100万円を受け取れる。

また、日本政府と地方自治体は持ち帰りとデリバリーを推奨し、店の売り上げを伸ばそうとしている。大阪府は日本最大のデリバリー予約サイトの一つである「出前館」、NTT、通信アプリのLINEと協力し、オンラインでデリバリーを注文した注文額1000円以上の客に500円分のポイントを還元することにした。ポイントの半分は府が負担し、最大で1億5000万円まで負担するとしている。

神戸市とグルメデリバリーサービスのウーバーイーツが協力し、ウーバーに登録する中小の飲食店560店舗の割引サービスに対し、市の予算で1500万円を補助するとした、同市商業流通科は、「デリバリー配達を通じて売上高を確保すると同時に、市民が自覚的に外出を減らすことにもなる」と述べた。

これまで日本でデリバリー産業が発達しなかった理由は3つある。1つ目は日本は人的資源が乏しく、人件費が高く、デリバリーの料金が高止まりしていること。2つ目は日本人は冷たい食べ物が好きだが、デリバリーは温かい食べ物が多く、においも強く、人に迷惑をかける可能性がある。3つ目は日本は至る所にコンビニがあり、デリバリーを頼むよりコンビニまでちょっと歩いて弁当を買う方がましだ。新型コロナの感染拡大前には、日本の飲食店はアルバイトの学生を雇って配達業務を担わせるところが多かった。労働力市場の競争が激しいこと、及び高齢化が進行していることから、デリバリー配達員を始めた高齢者もいる。

国方雅美さんは岡山県岡山市でカレー店を経営する。新型コロナの影響で、店に来る客が3割前後減り、一度は一時休業にしようかと思ったが、デリバリーの需要が増加し、常連客からの注文も激増した。国方さんは、「皆さんに支持していただければ、店を続けていく」と話す。今はデリバリーに適したカレーの新メニューを考案中で、注文してくれた人にはおまけとしてサラダをつけるという。

喫茶店のオーナーの鈴木智美さんは、「人類は必ず新型コロナに勝つことができると信じる。今は毎日なんとか店を開けて、自分の希望にしたいし、お客様にもホッとしてもらいたい。店が開いていて、明かりがともっていれば、みんなが希望をもてる」と話す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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