映画監督チャン・イーモウに一人っ子政策違反で1億3000万円の罰金=なお残る罰金逃れ疑惑

Record China    2014年1月15日(水) 20時40分

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映画監督チャン・イーモウの一人っ子政策違反の罰金額が決定しました。3人の子どもを生んだ罰金として30日以内に748万元(約1億3000万円)を一括払いしなければなりません。

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中国の映画監督チャン・イーモウの一人っ子政策違反の罰金額が決定しました。3人の子どもを生んだ罰金として30日以内に748万元(約1億3000万円)を一括払いしなければなりません。

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「子どもを産んだ罰金が1億3000万円?!高すぎる!」という印象を持った方もいるでしょうが、中国での一般的な反応は真逆。「そんなに安いわけないっしょ。やっぱ名監督だからまけてもらったんじゃないの」というものです。一人っ子政策の罰金(社会扶養費)は年収に応じて決まるのですが、名監督チャン・イーモウの年収はおいくらだったのか?が焦点となります。

■一般的な罰金の算出方法

では罰金の算出方法を見てみましょう。チャン・イーモウは前妻との間にお子さんが1人います。再婚後に生まれたお子さん3人が罰金対象となりました。本来ならば再婚後1人目のお子さんは罰金の対象とならないはずなのですが、入籍せずの出産だったため罰金の対象となりました。

罰金の算出方法ですが、基本的には現地平均可処分所得の2〜4倍を支払うことになっています。例えば平均可処分所得が100万円の地方では200万円から400万円の罰金です。平均的な人にとってみれば、2〜4年分の所得を収めなければならない、貧乏人ならばそれ以上というわけで大変重い罰金です。

もっともこの計算式だとお金持ちが有利すぎます。というわけで平均可処分所得以上の所得を持つ場合には、超過分の1〜2倍を追加で収めなければなりません。平均可処分所得100万円の地方で1000万円の所得を持つ人の場合には、「200〜400万円+900〜1800万円」の罰金というわけです。

■チャン・イーモウの罰金内訳

ではチャン・イーモウの場合はどうだったのでしょうか?

江蘇省無錫市濱江局人口・計画生育局の調査によって、チャン・イーモウ、陳[女亭]夫妻の出産前年度の収入は以下のとおりと認定されました。

2000年:2760元(約4万7000円)

2003年:106万2760元(約1810万円)

2005年:251万8590元(約4280万円)

で、この収入に基づいた罰金は以下のとおりとなります。

2001年:7万1928元(約122万円)

2004年:221万8696元(約3770万円)

2006年:519万7230元(約8830万円)

年収5万円弱の年の罰金が120万円。年収1800万円、4000万円の年がそれぞれ3800万円、8800万円ということに。比率から言うと貧乏人ほど厳しい状況です。

■年収5万円はないっしょ

さて問題はチャン・イーモウの年収はこれで正しいのかという点です。チャン・イーモウ夫妻はこの収入が正確なものと約束する書面を提出したそうですが、果たして信じられるのかが話題となっています。特に2000年の収入が5万円弱ってありえるのかという点が。

チャン・イーモウが商業的に大成功を収めるのは2002年の「HERO」以降だと思われますが、1997年の「あの子を探して」はベネチア映画祭金獅子賞、1999年の「初恋のきた道」はベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞しています。

まあ中国には「灰色収入」というステキな言葉があります。ブラックではないけれども怪しげな収入という意味で、給料とは別に講演料やら広告出演料やら各種付け届けとかは把握されないへそくりとなっている可能性が高いのです。

というわけでやっぱり金持ちは得しているんじゃないのという疑惑の視線が突きつけられることに。まあチャン・イーモウの場合には有名すぎるので、どっかのメディアが「本当はもっと収入があったんやで」とすっぱ抜く可能性も否めませんが。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)

翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。

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