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中国が南シナ海の警察権強化条例を施行?!いっぱしの国際問題のしょぼい内実

Record China    2014年1月18日(土) 14時15分

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「おまえが何をやったかはわからんがともかく許せん」というナイスな抗議声明を台湾外交部が発表しました。写真は台北市の青天白日満地紅旗。

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「おまえが何をやったかはわからんがともかく許せん」というナイスな抗議声明を台湾外交部が発表しました。

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今月9日の発表ですが、その大意は「外国メディアによると、中国は南シナ海における警察権を強化したらしいけど、そんなん許さへんで」というもの。何をやったのかよくわからないがとりあえず抗議しておく、という異例の声明です。

実際は何があったのかというと、「海南省、『中華人民共和国漁業法実施』弁法修正案の発効」であります(11月29日可決、1月1日発効)。本来は11月のネタなのですが当時はほとんど盛り上がることなくスルーされていました。今回、英語圏で取り上げられたことで蒸し返され、フィリピンのロサリオ外相が注視するとコメント。台湾が抗議声明。そして中国外交部報道官もコメントというそれなりの騒ぎに発展しています。

■いっぱしの国際問題の、非常にしょぼい内容

というわけで、いっぱしの国際問題となったこの修正案なのですが、実は内容が非常にしょぼいのです。

英語圏の報道についてブログ「海国防衛ジャーナル」のエントリー「中国 南シナ海の3分の2にわたる海域の支配強化へ」が取り上げています。ポイントは「南シナ海の3分の2という巨大な『海南省管轄海域』で漁業または調査を実施する際には国務院関連機関の認可が必要。違反すれば強制退去、拿捕、罰金などの措置をとる」というところ。

これだけ見ると、中国が南シナ海の支配を強化しようとしている!と騒ぎたくなる気持ちも分かります。ですが、改訂前のバージョン、すなわち2008年改訂版の「海南省、『中華人民共和国漁業法実施』弁法」でも外国船の許可を得ない操業、調査活動は違法行為とされていまして。罰金額が具体化されたなどの違いはあるにせよ、基本的にはあまり変わっていないのです。

中国外交部記者会見でも華春瑩(ホア・チュンイン)報道官は「漁業法と海南省条例の歴代文面を見返してくだされ」と切り返しています。

■中国にイヤミを言うチャンス、だったのに…

そもそも海南省管轄海域とは、中国側の主張する排他的経済水域(EEZ)のこと。海南省の条例があろうがなかろうが、EEZ内の漁業と資源調査には許可が必要です。もちろんフィリピン、ベトナム、ブルネイ、台湾などの関係国・地域は「そこは中国のEEZじゃない」と対立しているわけですが、問題は領土、領海、EEZの線引きであり、海南省の条例なんぞどうでもいい話でしかありません。

もっとも、東シナ海防空識別圏の公表が11月23日。海南省条例可決が29日という日程を考えると、何か裏があるのではと考えるのも致し方ないところ。華報道官は「漁業資源の保護や漁業生産者の権益保護が目的」と説明していますが、本当にそうなのでしょうか?まあごく普通のことしか書いていない条文を眺めたかぎり、本当にそうかもしれない…とも思ってしまうわけですが。

ただ痛くもない腹をさぐり、ちくちくイヤミを言うのが正しい外交。特に今は中国が南シナ海防空識別圏を設定するのではないか、強硬に南シナ海の支配を確立するのではないかと疑念が持たれているタイミングです。それなりに騒いだり抗議したりイヤミを言ったりして中国を牽制するのが正しい外交的態度というものでしょう。

そういう観点から考えると、なんとも惜しまれるのは安倍首相の靖国参拝。参拝がなければ今回のような小ネタでもそれなりに盛り上げられたと思うのですが、それ以上の大ネタである靖国参拝の盛り上がりが去っていない以上、このネタが早期に立ち消えしてしまうのは避けられないように思われます。日本外交の視点に立てばちょっと残念という結論になるでしょう。

◆筆者プロフィール:高口康太(たかぐち・こうた)

翻訳家、ライター。豊富な中国経験を活かし、海外の視点ではなく中国の論理を理解した上でその問題点を浮き上がらせることに定評がある。独自の切り口で中国と新興国を読むニュースサイト「KINBRICKS NOW」を運営。

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