人民網日本語版 2020年7月10日(金) 8時50分
拡大
新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済は深刻な打撃を受けており、海外直接投資FDIも大幅に減少するとみられている。写真は中国。
新型コロナウイルス感染拡大により、世界経済は深刻な打撃を受けており、海外直接投資(FDI)も大幅に減少するとみられている。国連貿易開発会議(UNCTAD)は、今年、世界のFDIは2019年比で約40%減となり、2005年以降で最低の水準になるだろうと予想している。世界で新型コロナウイルス感染が拡大を続け、直接投資が低迷を続けるというダブルのプレッシャーがかかる中、今年4月と5月、中国の外資流入は流れに逆らって2カ月連続で上昇した。では、外資はなぜ、中国市場の成長を見込んでいるのだろうか?(文:趙萍・中国貿易促進会研究院国際貿易研究部部長。人民日報海外版に掲載)
中国経済が急速に回復し、外資の信頼度が高まっている。
世界2位のエコノミーで世界2位の消費市場、そして世界一のEC市場である中国の市場規模と成長のポテンシャルは巨大で、産業チェーンは整っており、世界で唯一、国連の国際標準産業分類(ISIC)に列挙される全ての工業ジャンルをカバーしている国であるため、中国は外資にとって以前から非常に魅力のある市場となっていた。中国の外資導入額の規模は毎年のように過去最多を記録し、世界2位の外資流入国の地位を安定してキープしている。
新型コロナウイルスが発生して以降、中国は率先してそれを抑え込み、今では企業活動・工場操業が全面的に再開され、世界の投資のリスク回避先となっている。今年5月の時点で、中国の社会消費財小売総額の減少幅は3カ月連続で縮小し、一部の消費高度化系商品の売上高は成長のペースを上げた。消費市場の急速な回復により、生産サイド、製造業の安定した回復をもたらし、ファンダメンタルズは継続的に改善している。5月、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の利益総額は5823億4000万元(約8億7300万円)に達し、4月には減少していた前年同期比が、6.0%増へと増加に転じた。業界の景況指数は継続して上昇し、6月には、製造業の購買担当者指数(PMI)が50.9%に回復、非製造業景況指数も4カ月連続で回復して54.4%に達した。主要産業は景気拡張区間で推移している。
需要と供給が引き続き回復を続けるのにつれて、外資の信頼度や投資の規模も並行して上昇し続けている。経営コンサルティング会社・A.T.カーニーが発表した報告によると、中国のFDI信頼度指数は、発展途上国の中でトップに立ち、中国は世界の投資先トップ10に入った唯一の新興市場国となっている。中国商務部の統計によると、今年5月、中国全土の実行ベースの外資導入額は前年同期比7.5%増だった。特に、ハイテク産業の実行ベースの外資導入額の増加幅が大きく、1月から5月にかけて、情報サービス、ECサービス、研究開発・設計サービスの成長幅が前年同期比で42.3%増、67.9%増、49.8%増となった。
ビジネス環境が改善し続け、外資の参入の機会が増えている。
長期にわたり、中国は改革を深化させ、開放を拡大することにより、公平、透明、予想可能なビジネス環境づくりに力を注いできた。世界銀行の「ビジネス環境の現状2020」によると、中国は2年連続で、最もビジネス環境の改善が見られた上位10カ国・地域にランク入りしている。中国のビジネス環境改善は、外資系企業にも高く評価されている。2019年の中国・EU(欧州連合)商会の調査報告によると、企業の40%が中国市場は対外資企業の制限を緩和しているとの見方を示し、81%が中国のイノベーションの道がビジネスチャンスをもたらすと考えていた。
今年1月1日、「外商投資法」とその実施条例が正式に施行され、法律・法規の面で、参入前内国民待遇とネガティブリストによる管理モデルが確立され、外資の中国における利益が強力に保障されるようになった。世界銀行が発表した「ビジネス環境の現状2020」において、中国は、司法行政の質改善指標において17ポイントを獲得しており、世界の他の全てのエコノミーを上回った。最近発表された2020年中国全土外資ネガティブリストは、40項目から33項目に減り、自由貿易試験区の外資参入ネガティブリストは37項目から30項目に減った。
中国の対外開放水準が向上を続けるのに伴い、多くの多国籍企業がビジネスチャンスを速やかに手にしている。昨年、3期にわたる重大外資プロジェクトが実施されたのをベースに、今年も中国は第4期の重大外資プロジェクトを実施している。例えば、エクソンモービルが100億ドルを投じた広東省恵州市のエチレンプロジェクトは最近、クラウド着工セレモニーを開催した。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策と対外開放を両立させているのを背景に、外資は中国の成長を見込んでいる。
対外開放は中国の基本的な国策で、新型コロナウイルス流行下でも、中国は依然として国の扉を開けて、建設を続け、外資参入と外資企業の企業活動・操業再開のための条件を整えるために全力を尽くしてきた。中国が新型コロナウイルス感染拡大の防止対策を実施する山場となっていた時期も、ビジネスや科学関連の活動をするために中国に来る必要のある外国人には査証(ビザ)を発行してきた。そして、中国が感染拡大を封じ込め、海外からの感染者進入を防ぐ水際対策が重要となっている状況下でも、中国は、感染拡大防止対策と経済社会の発展を同時に推進できるよう計画し、開放を拡大しながら、企業活動・操業再開推進を堅持し、「グリーンチャンネル」などを設置して、ビジネス関係者が往来できるようサポートしている。中国・米国商会が5月に発表した「中国にある米国企業」白書によると、新型コロナウイルス感染が世界中で拡大している中、ほとんどの米国企業は依然として中国市場の成長を見込んでおり、長期的に中国市場に戦略的投資を行う価値があると考え、対中国投資を増やすことを検討している。
世界で新型コロナウイルス感染が拡大している中で、中国は対外開放の歩みのペースを決して緩めていない。中国は投資・貿易の自由化を積極的に推進し、ビジネス環境を継続的に改善しているのを背景に、中国国内市場は急速に回復している。これが、外資が中国市場の成長を見込んでいる根本的な原因と言えるだろう。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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