Record China 2020年9月30日(水) 19時40分
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タイで生活中に夫に崖から突き落とされたものの奇跡的に一命をとりとめ、回復した中国人女性がこのほどメディアのインタビューに応じ、心境を語った。
タイで生活中に夫に崖から突き落とされたものの奇跡的に一命をとりとめ、回復した中国人女性・王(ワン)さんがこのほどメディアのインタビューに応じ、心境を語った。鳳凰網が29日付で伝えた。
■妊娠中の妻を崖から突き落とした夫
2019年6月9日、当時妊娠3カ月だった王さんは、タイ・ウボンラーチャターニー県の国立公園内の高さ34メートルの崖から夫である愈(ユー)被告に突き落とされた。王さんは全身を骨折したものの奇跡的に生還。大きな傷は16カ所に上り、最も大きな傷は90針を縫うものだった。お腹の子どもも助かったが、その後治療の過程で命を落とした。
王さんは当初、警察に対して「めまいがして崖から落ちた」と話していたが、その後の調べで愈被告が突き落として殺害しようとしたことを告白。愈被告は入院中の王さんを「しゃべったら殺す」などと脅していた。愈被告には多額の借金があり、比較的裕福な家庭で育った王さんに借金の肩代わりを求めていた。
このほどインタビューに応じた王さんは、松葉づえをつき登場。痛々しい傷跡も見せた。手術の際に使われた6つの金属片が、まだ体内に残った状態だという。
■出会ってから2カ月足らずのスピード婚
2人が知り合ったのはタイ。2017年に行われたとあるパーティーの席だった。それから、愈被告は王さんの通学の送り迎えをするようになり、積極的にアプローチした。チャットを通じて「君にひと目惚れした。付き合うだけだなんて考えていない。結婚したいと考えている。一生守っていく。一緒に最高の家庭を築こう。子どもの成長を一緒に見守りたい。これが、僕たちが出会った意味だ」などと甘い言葉を並べた。
王さんは、思い返してみると愈被告に何か別の目的があったと考えられなくもないとし、アプローチの中で愈被告が王さんの過去のSNSをくまなくチェックしていたこと、欲していることをよく理解していたことなどを挙げた。付き合い始めると、王さんは愈被告が社会とかかわりを持ちたがらないことに気付いたという。犯罪歴があるのではとも疑ったが、愈被告は強く否定した。付き合い始めて1週間で、愈被告は王さんに熱烈にプロポーズするようになった。結婚願望があったという王さんだが、早すぎるからと最初は断り続けていた。しかし、度重なるプロポーズを受けて根負けし入籍。出会って2カ月も経っていなかった。
2人は結婚式を挙げず、王さんの両親にも入籍を伝えていなかった。王さんは「彼も一緒に生活すれば、私が何かおかしいと気づくことを分かっていたと思います。だから早く結婚したかったのだと。入籍してしまえば、言い出しづらくなるだろうという考えだったと思います」と語った。結婚を決意した理由については、「結婚前までは彼の印象はすごく良かったんです。自分を律することができて、健康的で、礼儀正しくて、紳士的でした。考え方もポジティブで、暗いところは感じられませんでした」と話した。
■結婚後に露呈した愈被告の本性
王さんは結婚するまで、愈被告はタイにやってきたビジネスマンと認識していた。普段から羽振りがよく、ブランド品を身に着け、食事代はいつも愈被告が払っていた。しかし結婚してから1年、愈被告はろくに仕事もせず、徐々に借金があることを打ち明け始めた。また、ギャンブル好きで借金を増やしてくる有様。王さんは「私がどんなに頑張ってもあなたの借金のスピードに追いつかないわ」と訴えたが、愈被告はあの手この手で金をせびり、けんかの頻度も徐々に増えた。王さんが「結婚前と結婚後では全くの別人」と表現するほどの変わりようだった。
「彼(愈被告)はなぜあなたを殺害しようという段階にまで発展したと思いますか」と問われた王さんは、「その質問を私にしますか?私もその答えが知りたいです。最初から、お金を目的に命を奪うつもりだったのか、それとも結婚生活の中でそういう考えに至ったのか。分かりません」と答えた。
王さんが妊娠してからも愈被告の態度は変わらなかった。妊娠を伝えると、愈被告は全くの無表情で「君が(子どもを)いるかいらないか。いるなら産めばいいし、いらなければ後で中絶に付き合ってあげる」と言った。
■急に優しくなった愈被告
ところが、事件発生の2カ月ほど前から愈被告の様子が変わった。王さんに対して急に優しくなり、けんかすることもなくなった。妊婦検診にも付き添うようになった。買い物をして食事を作り、散歩にも付き合うようになった。王さんは「関係が結婚前に戻ったようだった」と振り返った。
しかし、それはすべて愈被告の計画だった。王さんは「彼はこのままでは私の財産を手に入れられないと分かっていたのでしょう。いくら口論しても無駄だと。だから彼は策略を変えたのです。おそらく、その時には私を殺して遺産を得ようと考えていたのだと思います。お互いに関係が悪いと分かり切っている時に『ねえ、旅行に行こうよ』なんておかしいですよね? 今思うと、彼は一つ一つ計画を進めていたように思います」と語った。
愈被告はその後、王さんに多額の保険をかけ、旅行に誘った。自分を殺害する計画が進んでいるとは知らない当時の王さんは、これから始まる新しい結婚生活に期待を寄せていた。そして、事件の現場となる国立公園を訪れる。
■後ろから抱きしめキス、耳元で「死ね」
王さんは「訪れたのは夕方でした。私は周りを見渡したり、上の方を見たりしていました。当時は夕方でしたから、普通は夕日を見たりしますよね。彼の反応は違いました。ずっと下を見ていたんです。崖の下を。彼はずっと(自分を突き落とすのに)ちょうどいい場所を探していたのでしょう。あの場所は切り立っていて高さも十分で、隠れるのにも十分。監視カメラもありません。崖下には草もなく、落ちたら死ぬ確率がかなり高い場所です」と説明した。
突き落とされた瞬間にどんなことを考えたのか聞かれると、「何も考えられませんでした。ドラマや映画で高い所から落ちる時に過去の思い出がよみがえるという描写がありますが、私は全くそんなことはありませんでした」とし、当時の状況について「夫は後ろから私を抱きしめて、手は私のお腹に置いていました。それから右の頬にキスをすると、手を背中の肩甲骨のあたりに移して耳元で憎々しげに『死ね』と言いました。とてもはっきりとした口調で。そして、後ろから(押される)強い力を感じました。私は本能的に許しを求めて『嫌』と言いましたが、それっきりでした」と語った。
王さんは奇跡的に通りかかった人に発見され、救助された。9時間にわたる手術の末、何とか一命をとりとめた。ベッドで目を覚ました時にすべてを理解し、絶望に打ちひしがれたという。また、お腹の中の子どもが無事かどうかが一番に気になったといい、まだ生きていることが確認されたことが「唯一の慰めでした」と話した。
しかし、お腹の子どもは治療の過程で結局、命を落とした。王さんは「子どもはずっと私に寄り添ってくれました。夫に崖から突き落とされた時も、崖下で救助を待っている時も、病院で治療を受けている時も。子どもが強くなければ、私も生きてはいなかったでしょう。だから、子どもにはとても感謝しています。でも、残念なのは、あの子が生まれてくるまで待つことができず、会うことができなかったことです。あの子は先に、別の世界に旅立ちました」と涙ながらに語った。
■殺人鬼はまだ「夫」
王さんはまた、「彼の呼び方については悩みます。内心では彼のような殺人鬼を『夫』とは呼びたくありませんが、離婚が成立していないので『元夫』と呼ぶのは適当ではありません。まだ婚姻関係にあるからです。離婚は遅かれ早かれすることになります」とした。愈被告は今年3月にタイの裁判所で行われた一審で終身刑が言い渡されたが、即日控訴している。
事件を受けて、結婚や恋愛感情、男性について、考え方が変わったことがあるかと聞かれた王さんは、「幸いにも命をとどめることができて、今日ここに座ってお話しできたことをとても好運なことだと思っています。何か一つでも悪い方向に行けば、私は生きることができなかったでしょう。私は自分が極端な状況で、極端な人に出会ったと考えています。この世界で、ほとんどの人はみんな善良だと思っています」「私は愛情を信じます。以前も信じていましたし、今も信じています。これまで(良い人に)出会えなかったのは、少しだけ運が足りなかったのだと思います。もしこれからの生活の中で、神様が誰かに私を愛させてくれるなら、私はそれを受け入れたいと思います」と語った。(翻訳・編集/北田)
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