〈一帯一路実践談39〉我慢する 国際協力実践のヤマ

小島康誉    2020年10月17日(土) 16時0分

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文化・文化財分野の人材を育成する一環としての「小島新疆文化文物優秀賞」は2013年が契約期限であった。写真は日中関係悪化で2年間中断後に更新した「新疆文化文物優秀賞」協議書。

ささやかな国際協力実践10カ条を紹介中、その8は我慢。外国は異国である。立場が異なるのは当然のこと。一例をあげよう。先に紹介した文化・文化財分野の人材を育成する一環としての「小島新疆文化文物優秀賞」は2013年が契約期限であった。その前年に延長を提案した。その後に沖縄県尖閣諸島が国有化され、日中関係はいっきに冷え込んだ。中国の多くの都市で反日デモが繰り広げられた。

筆者が実践してきた協力活動にも各種影響が出た。本賞延長も同意はえられず、やむなく第15回で終了した。事態が好転すればまた復活の機会も来るだろうと我慢した。2016年に新疆側から延長提案があり、筆者はもとより異存なく同意、9月訪問した際、延長・増額協議書に調印した。


(「新疆文化文物優秀賞」の2017年授与式)

大戦末期、空襲で真赤になった空が脳裏に焼き付いている。戦争は悲惨だ。避けねばならない。しかし人類の歴史は戦争と平和の繰り返し。国家の主張はぶつかり合い、最終的に戦争に至る。戦争を避ける方法のひとつが国際協力。国際協力は戦争を抑止し平和を維持する活動でもある。一庶民の筆者も細々と実践してきた。実践通じて対日感情改善めざす筆者の立場は難しい。外国での活動は容易でなく、一方で国内から批判もいただく。

国際協力は外国が主舞台であるからには、双方が相手の意向を重視する必要がある。日本流だけでは進まない。中国流だけでは進まない。今日にも回答があってしかるべき事柄も数日あるいは数週間を要する。我慢を重ねたうえで催促するようにした。

我慢は沙漠での大規模調査でも必須能力である。無人地帯であり、食糧や調査機材などを沙漠車やラクダで運び込まねばならない。天候上調査時期が限られ、10~11月の一カ月ほどしか適しておらず、長年を必要とした。一日の温度差は約40度、シャワーもない3週間の沙漠生活、毎日同じ食事、体力を要する発掘、意見相違も度々の外国隊との共同活動…といった厳しい条件であり、堅固な使命感・強靭な精神力・体力と協調力がないと耐えられない。日中双方隊員は努力を積み上げた。


(ダンダンウイリク遺跡目指し、灼熱をさけ休憩する2006年隊)

筆者は企業経営者時代にインド仏跡巡礼「霊鷲山」での不思議な宗教的体験が縁となり得度し、知恩院「伝宗伝戒道場」を満行した僧侶でもある。日に5万6万回念仏唱えつつ日本縦断したこともある。野宿を想定し、夏に行い熱中症で倒れたことも。鹿児島佐多岬から北海道宗谷岬まで約3200キロ80日。阿弥陀様と一緒のありがたい念仏旅であった。新疆訪問時もホテルの部屋に小仏像を安置し、誦経している。そんな立場からいえば、国際協力実践は「修行道場」ともいえる。

■筆者プロフィール:小島康誉 1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。 ブログ「国献男子ほんわか日記」 書籍はこちら(amazon)

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