<緊急事態宣言下の東京五輪>「無観客」開催、感染阻止へやむを得ない―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2021年7月11日(日) 6時10分

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東京五輪は緊急事態宣言下での開催を余儀なくされることになった。五輪競技のうち1都3県はいじめ大半の開催分は無観客で行われるという。開閉会式を含め大半の競技が無観客という異例の大会となる。写真は東京。

開幕を23日に控えた東京五輪は緊急事態宣言下での開催を余儀なくされることになった。五輪競技のうち1都3県と北海道、福島での開催分は無観客で行われるという。開閉会式を含め大半の競技が無観客という異例の大会となる。観客を入れることで多くの人が集まり、爆発的な感染につながるリスクを考慮したというが、やむを得ない決断だろう。

菅首相は7月8日の記者会見で、感染力の強いインド由来の「デルタ株」拡大を警戒したと緊急事態宣言の発令理由を説明した。国、都、組織委のトップらは、コロナ禍に伴う緊急事態宣言下での五輪の意義について、内外の人々が納得するよう説明を尽くすべきだ。同時に、大会を契機とした感染の広がりで、経済や暮らしに影響が及ばぬよう、遺漏のない対策を進めてほしい。

無観客が決まった1都3県と北海道では、今後、選手や大会関係者への対策に重点が置かれることになる。入国する選手については、空港のほか滞在先での連日の検査の実施や、行動範囲を限定して外部との接触を最小限にする「バブル方式」を採用している。ところがウガンダ選手団の入国では、陽性者が出た後の対応を巡り、ホストタウンの職員らが相次ぎ濃厚接触者となった。バブルに穴があるなら自治体の負担に考慮しつつ改めるべきだ。

コロナ禍で無観客という未曽有の開催には、数々の難題が出てこよう。大会ボランティア、チケット購入者、宿泊施設、鉄道事業者など、振り回された人たちは相当数に上るという。問題なのは、そのボランティアや警備・輸送の体制も再構築を迫られ、運営が文字通りぶっつけ本番になることだ。五輪の新たなモデルを示すべく関係者は取り組んでほしい。

パラリンピックには選手の健康管理をはじめとして、五輪とは異なる開催の難しさがある。五輪以上に入念な準備と対策が必要である。

<直言篇165>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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