【観察眼・2020総括編】(2)コロナ禍の危機にもチャンス掴んだ、Eコマースの急成長

CRI online    2020年12月23日(水) 16時40分

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激動の2020年が終わりを迎えようとしています。世界は様々な未曾有の事態に直面しましたが、危機の中でも相互に理解することが大切なのだと、改めて噛み締める一年でもありました。写真は中国の下町。

激動の2020年が終わりを迎えようとしています。世界は様々な未曾有の事態に直面しましたが、危機の中でも相互に理解することが大切なのだと、改めて噛み締める一年でもありました。

日本語部オリジナルの評論コーナー「観察眼」ではこの一年、中国国内の話題を紹介し、中日間の問題や国際問題への見解を示すことで、読者の皆様に中国への理解を深めてもらおうと努めて参りました。

2020年の締めくくりとして、今年のキーワード「新型コロナ」、「中日関係」、「環境保護」、「電子ビジネス」、「対外開放」、「貧困脱却」をテーマに、評論員たちがこの一年を総括します。

第二回テーマ「電子ビジネス」

コロナ禍の危機にもチャンス掴んだ、Eコマースの急成長

多くの中国人にとって2020年はサッカーの逆転劇のような一年だった。前半戦は新型コロナウイルスの猛攻に抗うことに専念したが、後半になると「操業再開+リベンジ消費」の攻勢に転じた。この試合のピッチで最も目立ったのが、「Eコマース(EC、ネットショッピング)」の存在だ。

ロックダウン前から高まっていたEC需要

中国の人々は、感染拡大の初期――つまり、武漢市のロックダウン前からすでに自主的な感染予防策として外出を控えるようになっていた。まだスーパーやコンビニが営業している時期であったが、少しでもリスクを回避しようとネットショッピング需要が高まっていた。どの家庭でもネットショッピングの利用数が増加し、それまで全く利用したことがなかったという年配者であっても、何かしらの買い物アプリを使えるようになったという人が多い。また、こうしたアプリには、本人の代わりに注文をして離れて暮らす家族や知人の家に宅配してもらう機能も備わっているため、デジタルディバイド対策も十分であった。データを見れば、感染拡大期にEC大手・京東(JD.com)の利益率は安定した成長を遂げており、感染拡大が最も深刻だった時期でもその成長が中断されることはなかったという。そればかりか、EC企業がこれまで築いてきた物流システムが、医療物資と生活物資の支援を行う上での大きな力にもなった。

“逆転の後半”でもECの活躍は緩まず

前半戦で中国の苦境を支えたEC業界、その活躍の勢いは、逆転の後半戦でも緩むことはなかった。事態が収束に向かい、人々の平穏な生活が戻ってくると、消費が国内経済成長の第一のけん引力になった。その重要部分は、言わずもがなオンライン消費だ。消費促進と地域経済振興の面で、ECは多大な貢献をした。元々ブームになっていた「ライブコマース(動画の生配信を通して、商品の紹介・販売をリアルタイムに行うマーケティング手法)」が、コロナ禍に伴う「リモート」の風潮との相乗効果で一大ムーブメントとなり、主流メディアのキャスターから、地方政府の関係者まで、様々な人々がライブコマースに出演して各地の商品販促に力を添えたことで、あらゆる物が売れに売れた。その結果として、全国的な消費イベントデーである6月18日の「618」、11月11日の「ダブル11」、12月12日の「ダブル12」での各ECプラットフォームの売上額は次々と更新され、まさに自粛の反動の「リベンジ消費」を体現した。

ソーシャルECの目覚ましい成長

コロナ禍により実態店舗が受けたダメージは大きかったが、それ以上に「ソーシャルEC」の急成長には目を見張るものがある。売り手と買い手が動画とコメントを通して交流できるライブコマースや、“オンライン上の誰かと一緒に買うと安くなる”仕組みの共同購入など、ECにSNS要素を加えた「ソーシャルEC」は、オンライン小売全体に占める割合が30%近くになっている。これらのプラットフォームにおいては、職業も住む地域も関係なく活躍できる機会が得られるため、国家の「郷村振興戦略」と農業振興による貧困脱却政策にとっても、ソーシャルECは大きく貢献した。商務部によると、2020年1月から9月までの全国の農村地域でのオンライン小売の売上は1.2兆元(約19兆円)に達し、前年同期比7.8%増となった。特に最も目立ったライブコマースについては、2020年にユーザー規模が6億人を超え、販売規模は9610億元(約15兆2194億円)になると見込まれている。

越境ECの成長、立役者はライブコマース

中国でのライブコマースの爆発的な成長は、越境EC(クロスボーダー電子商取引)の成長をも推進した。広州市で11月に開かれた 「2020年世界越境EC大会」にて発表されたデータによると、2020年の全世界におけるオンライン小売の売上高は5兆ドルに達し、その中でも越境ECが世界の経済成長の新たなけん引力になったという。税関総署によると、今年1月から9月までに税関の越境EC管理プラットフォームを通じた輸出入額は1873億9000万元(約2兆9676億9600万円)となり、前年同期比52.8%成長している。

越境ECの利用とはつまり海外からの商品購入であるため、金額や配送、品質について不安があり、敬遠していた消費者も少なくない。ライブコマースはそうしたユーザーに対しても動画越しに販売側の顔を見せ、商品を見せ、使ってみせることで、安心感を与え、越境ECをぐっと身近なものに変えた。企業側にしてみれば、店舗も持たずにローコストで、不特定多数のネットユーザーに対面販売を行えるという、新たな販売ルートを持つことができたのだ。

“逆転の後半戦”、その勢いは2021年へ

急速に成長をするECについて、中国では物流や法律の枠組みの中で整備すべきとされる課題も残されている。しかし、経済成長の促進におけるその役割の重要性は、コロナ禍を経ることで一層示される結果となった。この揺るぎない成果を踏まえて、中国は新たなイノベーションと産業変革の推進の中で、ECをさらに成長させる具体策を打ち出していくことだろう。

ピンチの中にこそチャンスはある。コロナ禍により一旦は躓き、防戦を強いられもした中国だが、一年足らずで回復するどころか、急成長したEC業界という強力なツールをも手に入れた。このツールを活用して、2021年はどう成長していくのか、そして世界経済にどう貢献していくのか。少なくとも今年下半期の発展を見る限り、その前途は明るいと言えよう。(CRI日本語部論説員)

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