<直言!日本と世界の未来>米中参加へ、4月の環境サミットに期待―立石信雄オムロン元会長

立石信雄    2021年1月31日(日) 6時20分

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バイデン米大統領は「気候変動は人類の存亡に関わる脅威」だとして、対策を指示する大統領令に署名。4月22日に気候変動問題を議論するサミットを開くことを表明した。写真は中国・広州市。

米国バイデン大統領は就任以来、世界の安定と発展につながる多くの大統領令を発出するなど、精力的に活動している。中でも気候変動問題への並々ならぬ決意表明は心強い限りである。気候変動は「人類の存亡に関わる脅威」だとして、外交と安全保障政策の中心に据え、対策を指示する大統領令に署名。温室効果ガス削減に向けた世界的な機運を高めるため、4月22日に気候変動問題を議論する首脳会議(サミット)を開くことも表明した。

バイデン大統領は「最大の脅威である気候変動問題に立ち向かう時だ。これ以上放置できない」と訴え、環境問題を軽視したトランプ前政権からの全面的な転換方針を打ち出した。バイデン氏は就任直後に国際的枠組み「パリ協定」への復帰を表明した。

気候サミットの開催は大統領選で掲げた公約の一つという。欧州や中国、日本などの主要国に参加を呼びかけており、この面でも世界をリードする姿勢を鮮明にしたと思う。

バイデン氏は大統領令で、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を示し、気候サミット開催前に当面の削減目標を公表する方針を表明した。再生可能エネルギーの普及に向け、連邦政府の公有地での新たな石油・天然ガスの掘削制限に加え、30年までに洋上風力の発電量を倍増させることも指示した。

また、大統領特使として気候変動問題を担当するジョン・ケリー元国務長官も「中国が世界の温室効果ガスの排出量の約3割を占める」と指摘し、世界最大の温室効果ガス排出国の中国にも対策強化を促す考えを示している。

ブリンケン国務長官は就任後の記者会見で、「米中関係がこれからの世界で最も重要な関係であることは間違いないと思う」と指摘。中国との関係について「競争的な側面があると同様に、協力的な面もある」と指摘し、地球温暖化対策など両国の利益となる分野では協力できるとの考えを強調したという。

中国の習近平国家主席は、2060年までに二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする目標を表明。「世界経済の『緑の復興』を後押しする」と述べている。「CO2の排出量が30年までにピークを迎え、60年より前に実質ゼロを実現するよう努力する」とも主張している。

米中2大大国が「自国中心主義」から脱皮し、厳しい対立から協調路線へ進むことを期待したい。地球温暖化対策で連携すれば、他の分野でも世界全体の安定と発展をリードすることができるだろう。

<直言篇148>

■筆者プロフィール:立石信雄

1959年立石電機販売に入社。1965年立石電機(現オムロン株式会社)取締役。1995年代表取締役会長。2003年相談役。 日本経団連・国際労働委員長、海外事業活動関連協議会(CBCC)会長など歴任。「マネジメントのノーベル賞」といわれるSAM(Society for Advancement of Management)『The Taylor Key Award』受賞。同志社大名誉文化博士。中国・北京大、南開大、上海交通大、復旦大などの顧問教授や顧問を務めている。SAM(日本経営近代化協会)名誉会長。エッセイスト。

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