Record China 2021年3月15日(月) 18時20分
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米国の華字メディアである多維新聞は、ベトナムはASEAN加盟国の中で唯一、中国製の新型コロナウイルス用ワクチンの導入の動きを見せていないベトナムについて、その思惑を分析する記事を発表した。
米国に拠点を置く華字メディアの多維新聞は13日、ベトナムは東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の中で唯一、中国製の新型コロナウイルス用ワクチンを入手する動きを見せていないとして、その理由を分析する記事を発表した。
ベトナムのワクチン入手の動きとしては、例えばアストラゼネカとオックスフォード大学という、英国の製薬会社と大学が共同開発したワクチンが2月24日にベトナムに到着した。同月26日には、ベトナム政府がロシア製のワクチンスプートニクVを承認した。最大で1億5000本を輸入するとされている。
また、ベトナムのグエン・タイン・ロン保健相は2月19日、ベトナムは新型コロナウイルス用ワクチンの公平な入手を目的とする世界的な取り組みであるCOVAXを通じて、ワクチン3000万本を入手することを明らかにした。
このように、ベトナムはさまざまな経路を通じて、ワクチンの確保に努めているが、中国製ワクチンを求める動きは見られないと言う。カンボジアとラオス、ミャンマーはワクチン提供で中国の支援を受け、インドネシアとシンガポール、マレーシアは中国製ワクチンを購入しているが、これら他のASEAN加盟国とは対照的な動きだ。ベトナム外務省の報道官は2月26日、中国の名は出さずに「ベトナムは現在、世界のその他のパートナーと交渉しており、そのことによって国内の需要を満たす」とだけ説明したという。
多維新聞の記事は、ベトナムが中国製ワクチンの入手に動かない理由として、安全性に対する警戒を挙げた。これまで全世界におけるワクチンの研究開発と生産は主に欧米の国に集中しており、中国は「重要なプレーヤー」ではなく、そのために、中国が新型コロナウイルス用ワクチンを全世界に提供すると表明したことについて関心が集まり、場合によっては疑念も生じると指摘した。
記事はさらに、フィリピンが中国製ワクチンの導入を決めた際に、同国国内で多くの反対の声が出たと紹介。ベトナムにも同様の事情があると推察した。
記事は次に、「ワクチン問題」はすでに科学の問題を超え地政学の色合いを帯びていると指摘。中国製ワクチンを導入するだけで「中国陣営」のレッテルを貼られかねず、特に中国とインドが東南アジア諸国に援助を提供していることも、中国とインドが「ワクチン外交戦」を展開していると見なされていると論じた。
記事はさらに、ワクチン提供について中国はいかなる政治的条件も付け加えないと強調しているが、外部の疑念を打ち消すことは難しいと主張。ベトナムが中国製ワクチンを導入しないことには、外交戦の渦に巻き込まれたくないとの考慮があるとの考えを示した。
記事は続けて、ベトナム外部に対して「中国を追随している」との印象を外部に与えたくないとの理由を挙げた。ベトナムの中国に対する感情は複雑であり、中国を必要としており、腐敗撲滅や改革開放で中国の経験を学ぶ半面で、中国の「弟分」にはなりたくないとの感情があるという。
ベトナムは2020年1月末から2月にかけて開催した第13回党大会で、45年には「国民が高収入を得る先進国」の仲間入りをする目標を採択した。多維新聞は、「そのような強烈な民族の自尊心を持つ国は、事あるごとに中国に目を向けることに甘んじることはない。場合によっては、拒絶という態度も発生しやすい」と論評した。(翻訳・編集/如月隼人)
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