ペット栄養士、密室ゲームデザイナー…新職業は若さが売りか?―中国メディア

人民網日本語版    2021年3月20日(土) 23時20分

拡大

柔軟な働き方ができる「ギグエコノミー」の時代が到来しつつある。

柔軟な働き方ができる「ギグエコノミー」の時代が到来しつつある。よく知られたデリバリー配達員が、「ネット注文配達員」という名称で人的資源・社会保障部、国家市場監督管理総局、国家統計局が昨年発表した新職業に加えられた。今や、「ギグ(バイト)」の概念はどんどん広がり、配信パーソナリティー、ペット栄養士、密室脱出ゲームデザイナー、漢服(伝統衣装)スタイリスト、ミルクティー試飲担当者、デリバリー運営者、整理収納アドバイザー、創客(アイデアを現実に変える人)アドバイザーといった新職業が、若者の職業選択をますます多彩なものにしている。中国人民大学国家発展・戦略研究院が発表した報告書によると、このような即興性、創造力、柔軟な対応を強調した柔軟な仕事は「霊工」と呼ばれている(霊は柔軟、工は仕事の意味。ギグを示す「零工」にかけたしゃれ)。中国青年報が伝えた。

李克強(リー・カーチアン)首相は5日午前の政府活動報告の中で、「各種の労働力市場、人材市場、ギグエコノミー市場の建設を支援し、雇用のルートを広げ、意欲と能力のある人のために公平な雇用チャンスをより多く生み出す」と述べた。

■新職業は若さが売りか?

全国人民代表大会代表を務める騰訊公司(テンセント)の馬化騰(マー・ホアテン)取締役会代表は、「当社の調査研究によると、現在、中国には柔軟な働き方をしている人が約2億人おり、そのうちのかなりの人がインターネットを利用した新職業を選択しており、これにはEC・物流、ネットデリバリー、オンライン配車サービス、ライブ配信、ネット文学、個人メディアなどの職業が含まれる」と述べた。

馬氏からみると、「こうした新職業スタイルには雇用創出キャパシティーが大きい、参入・撤退のハードルが低い、柔軟性が高いといった特徴があり、今や全国民の雇用の『貯水池』と『緩衝装置』になっている」という。

若者は「ギグエコノミー」時代の中心だ。関連企業のまとめた統計によると、滴滴出行プラットフォームのオンライン配車サービスの運転手の平均年齢は37歳。オンラインフードデリバリープラットフォーム「Eleme」のドライバーはさらに若く、平均年齢は31歳で、このうち90後(1990年代生まれ)が47%を占め、95後(1995年から1999年生まれ)の増加率が最も高い。新型コロナウイルス感染症が発生してから、00後(2000年代生まれ)の大学生1万2千人がデリバリー配達員を始めた。このほかライブ配信、動画撮影、密室脱出ゲームのデザインの仕事を選択する若者もたくさんいる。

中国共産主義青年団中央委員会青少年権利保護部が中国社会科学院社会学研究所と共同で、ネット注文配達員、ライブ配信パーソナリティー、オムニメディア運営者、ネット文学ライター、eスポーツプレイヤー、新興インターネット科学技術担当者、新型職業農民の7つの新職業の若者層を重点的に取り上げて、専門的な調査研究を行い、「新職業若者の成長発展の促進に関する提案」をまとめた。同提案は、若者の新たな「ギグワーカー」たちは、社会からの要求が非常に細分化している、社会保障が不十分、成長・発展にかかるプレッシャーが大きい、社会の認知度が低いといった現実的な困難に直面している。あるライブ配信パーソナリティの話によると、「最初にこの業界に関わるようになった頃、いつもマイナスの声が聞こえてきた。若さや美しさでお金をもらっているだけだとか、こんなのまともな仕事じゃないとか言われた」という。

また調査研究によると、新職業に従事する若者の半数近くが、「これから6カ月以内に仕事を失う可能性がある」と考えており、この割合は全国の働く若者全体の21.8%を大きく上回った。

馬氏は、「柔軟な働き方をする人々を支援しようとするなら、若さが売りで終わらないようにする必要がある」とした上で、次のように提言した。▽柔軟な働き方をする人々の社会保障への加入の道を開く▽柔軟な働き方に関する統計と総合的評価メカニズムを整備する▽新職業というスタイルの情報、認定、関連サービスを最適化する▽デジタル社会に対応した生涯学習と職業訓練のシステムを構築する▽就職が困難な人々のために無料のオンラインカリキュラムと就労指導サービスを提供する▽労働者の生涯学習のための「デジタル学堂」を構築する、などだ。

「ギグエコノミー」の台頭は、中国政府と中国社会に新たな課題を突きつけると同時に、新たなチャンスももたらしている。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

この記事のコメントを見る

ピックアップ



   

we`re

RecordChina

お問い合わせ

Record China・記事へのご意見・お問い合わせはこちら

お問い合わせ

業務提携

Record Chinaへの業務提携に関するお問い合わせはこちら

業務提携