無錫で34年間続く桜の植樹、春には3万本が満開に―中国

人民網日本語版    2021年4月10日(土) 5時20分

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春光うららかな3月になると、江蘇省無錫市にある太湖鼋頭渚景勝地に植えられたサクラ3万本の花が咲き誇る。

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春光うららかな3月になると、江蘇省無錫市にある太湖鼋頭渚景勝地に植えられたサクラ3万本の花が咲き誇る。ピンクの花が満開になったサクラの木がおだやかな春の色を演出し、春風が吹くと、桜吹雪が舞い、幻想的で息を吞むような景色となる。人民網が伝えた。

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■平和を願い植えられたサクラ

鼋頭渚のサクラは、日本と深い縁がある。1986年、長谷川清巳さんや坂本敬四郎さんなどの日本人が、「日本友誼林建設友好団体」を立ち上げ、その後、無錫市にサクラの苗木を贈呈し、日中両国の民間友好交流活動を展開。今では鼋頭渚に3万本のサクラが花咲くようになった。日中が共同で建設した「サクラ友誼林」の保存協会元会長である長谷川さんは、日本政府の徴兵令に従い、第二次世界大戦中、中国侵攻に参加した旧日本軍の元兵士だ。長谷川さんは戦後、帰国してアパレル関係のビジネスを始めた。そして、日中両国の国交が正常化した後、中国を訪問し、親切なもてなしを受けた。しかし、「長谷川さんは以前にも中国に来たことがありますか?」、「当時、中国ではどんな仕事をされていたのですか?」といった質問を受け、返答に困ったという。戦争が両国の国民にもたらした深い傷を思うと、長谷川さんは何とも言えない重い気分になった。中国の人々も長谷川さんのそんな気持ちを察し、「昔のことは忘れて、乾杯しましょう」と慰めてくれた。

戦争に対する反省、そして、中国の人々が示してくれた友好的で、心の広い態度に感謝を示すべく、長谷川さんは中国に「サクラ友誼林」を作り、中日友好と世界平和を呼び掛けることにした。太湖のほとりの街で、情緒あふれる景色が広がるほか、気候も日本と似ており、サクラの生育にも適していたため、無錫にサクラ友誼林を作ることにした。日中双方の十数回の話し合いを経て、1987年、中日サクラ友誼林の建設が始まった。そして、1988年2月、日本の第一陣のサクラ友誼林建設友好訪中団が無錫を訪問して以降、日本からは毎年、訪中団が無錫を訪れ、サクラの苗木を植えるようになった。1990年の時点で、鼋頭渚の中日サクラ友誼林には約3000本のサクラが植えられていた。

■34年にわたり友好を継承

2009年、長谷川さんが亡くなり、娘婿の新発田豊さんが、中日共同建設サクラ友誼林保存協会の会長に就任。長谷川さんの娘である喜代子さんと共に、この日中友好事業を続けている。喜代子さんは「たくさんの日本人が、無錫を何度も訪れて、友誼林建設活動に参加している。なかでも印象深いのは、群馬県に住む丸山知栄さんで、彼女は日本で、中国人留学生の世話をしていて、中国人留学生から親しみを込めて『日本のお母さん』と呼ばれている。1987年から2012年の間、丸山さんは毎年友好訪中団のメンバーとして中国を訪問していた。ある時、彼女は以前に世話をしたことがある中国人留学生の夫婦と再会し、一緒に無錫で植樹活動に参加した。また別の時には、帰国する時に、飛行機の隣の席に座っていたのが蘇州から来た中国人だった。その中国人に中国に行ってサクラの苗木を贈呈し、サクラ友誼林の建設に協力してきたという話をしたところ、とても感動し、その中国人は翌年、蘇州から家族4人で無錫を訪問し、友誼林の植樹活動に参加した」と話す。

この34年間、日中友好関係者は、鼋頭渚約3万本のサクラを植え、その品種は100種類以上となっている。そして、鼋頭渚は、中国でも規模の大きなサクラの名所として多くの人に知られるようになっている。喜代子さんは、「自分にできる小さな事から始めて、両国間の平和、友好に少しでも寄与したい。どの国の人でも、サクラを見ると、笑顔になれる。それこそが、みんなが望んでいる平和だと思う」と話す。

■海を隔てて互いに思いやる両国国民

2020年初め、中国で新型コロナウイルス感染が爆発的に拡大し、医療物資や衛生用品が不足した。そんな時、愛知県豊川市は、時を移さず物資を調達し、無錫市新呉区にマスク4500枚や防護服を寄贈し、人々を感動させた。その後、日本でも感染が拡大し、豊川市で衛生用品が不足していることを知った無錫市新呉区は、マスク5万枚を調達し、寄贈。マスクが入った段ボール箱には、「隔海相望、桜花満開、衆志成城、戦疫必勝(私たちは海を隔て互いに思いやっている、桜が満開となるように、みんなで心を合わせれば、どんな困難でも克服でき、必ず疫病に勝つ)」という応援メッセージが記されていた。

中国人民対外友好協会の林松添会長は、「これは、日中の国民が団結して助け合い、共に困難を克服する感動のエピソードだ。両国の国民が手を携えて努力を積み重ねれば、無錫の美しいサクラが少しずつ林となったように、日中友好もどんどん盛り上がっていくと確信している。そして、中国と日本、さらに世界の人々に『美』を享受してもらえるようになるだろう」と語った。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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