小米の参入で中国“造車”ブーム最高潮、異業種から続々、国家EV戦略による市場拡大見込む

高野悠介    2021年5月4日(火) 5時40分

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小米が自動車業界参入を発表した。今、中国は“造車ブーム”である。その要因は自動車のEV化とAI化が進出のハードルを下げたことにある。

小米(シャオミ)が自動車業界参入を発表した。今、中国は“造車ブーム”である。その要因は、自動車のEV化とAI(自動運転の進展)化が進出のハードルを下げたことにある。さまざまな異業種企業が、進出を表明、または検討をしている。最新の報道から、近未来を見通してみよう。

■“造車新勢力”

中国メディアには“造車ブーム”とともに“造車新勢力”という言葉が頻出している。造車新勢力とは、「蔚来汽車」、「小鵬汽車」、「理想汽車」などの新EVメーカーを指し、「上海汽車」「広州汽車」「第一汽車」「東風汽車」「長城汽車」など従来型メーカーと対比させた言葉だ。業界内部で、地殻変動が起きている。

造車新勢力の登録台数(2021年1Q)は、蔚来2万60台、小鵬1万3340台、理想1万2579台で、3社合計4万5979台である。これに対し、テスラは18万5000台、4社が束になってもテスラの4分の1に過ぎず、将来性は高い。

トップの蔚来汽車とは何者だろうか。創業者・李斌は、「易車」というオンライン自動車サービス会社の経営者で、2014年、新たに蔚来(NIO)を創業した。出資者には、京東の劉強東、汽車之家の李想、テンセント百度レノボ、その他有名投資機構のほとんどが名を連ねた。すでにサンホセ、ロンドン、ミュンヘン、上海など世界13カ所に研究開発拠点を持つ。オールスターキャストの戦略企業である。2018年、ニューヨーク市場へ上場、そして2020年の株価は10倍となり、テスラを上回る大暴騰をした。

■他業種の参入…不動産、投資機構

“造車新勢力”に続き、他業種の参入が始まった。先行した不動産大手の「恒大集団」と投資機構「宝能集団」を見てみよう。

恒大は2019年6月、“造車”子会社を設立した。10月、世界のトップ自動車デザイナー15名と戦略提携を結んだ。さらに創業者・朱許印は、名古屋と東京を訪れ、デンソー、豊田紡織、日立などの部品サプライヤーに、増産を要請した。そして翌11月、広州で世界の有力企業206社を招き、「恒大新エネルギー車世界戦略パートナーサミット」を開催、EV産業への参入を華々しくぶち上げた。

その後「恒馳」ブランド名の6車種を発表している。2020年11月には、上海と広州の生産拠点が試験生産を開始。2021年2月には、内モンゴル自治区で厳冬期試験を実施。3月にはテンセントと合弁会社を設立、スマート操作システムの共同開発を発表。現在は量産のカウントダウンに入ったとみられる。

また深センの「宝能集団」という投資会社も進出した。プジョー・シトロエンと長城汽車の合弁工場を買収し、それを基礎に2020年末、「宝能汽車」の世界本社と“スーパー工場”を深センに建設すると発表した。こちらも本気のようだ。

■小米…IOTのラストピース

そして3月30日、小米がEV市場参戦を発表した。創業者・雷軍は、「小米の全パートナーと何度も検討した結果であり、私の人生最後の創業事業である」と述べた。新設するEV子会社のCEOに就き、陣頭指揮を執る。スマートEV車は、近未来10年、最も成長の見込まれる市場という認識で、今後10年間に100億ドルの投資を行う。

小米は単なるスマホメーカーではない。2013年9月のテレビから家電事業に本格参入し、その後、空気清浄機、浄水器、炊飯器、照明器具、電子ジャー、掃除ロボット、オーブントースター、扇風機、エアコン、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫と展開してきた。すべてスマホと連携している。今や小米は、総合IOT家電メーカーである。そのラストピースとして、EV車を生産することにした。

■百度、滴滴…基盤を生かし進出

小米より先、2021年1月には、百度が進出を発表した。3月に、吉利自動車を戦略パートナーとして、「集度汽車有限公司」を設立した。3年以内に量産を実現するという。百度は2017年、自動運転のApollo計画が、国家AIプロジェクトに選定された。これはオープンプラットフォームで、海外からも、ダイムラー、フォード、BMW、ホンダ、マイクロソフト、インテルなど有名企業が参加した。現在Waymo(グーグル)、Cruise(GM)、フォードと並ぶ、自動運転界のリーディングカンパニーとされている。進出は自然な展開だ。

現在、注目されているのは、配車アプリ最大手の「滴滴出行」である。事業基盤から見て、アドバンテージは大きい。契約ドライバーたちに、販売またはリースすればよいからだ。参入は確実とみられている。

またファーウェイやドローンのDJIも、制御システムの売り込みを目指している。市場は活性化する一方だ。

■コモディティ化加速、日本メーカーは?

まったく出自の異なる企業が、さまざまなアングルからEVと自動運転に群がっている。車体の生産は、遠からずコモディティ化していくのだろう。従来型自動車メーカーは、OEM(相手先ブランドの受託生産)企業になりかねない。

こうした中国の状況に対し、日本は、自動車メーカーが単独で、しかも相変わらずの自前主義で戦っている。家電、半導体衰退の悪夢をなぞるのではと危惧していた4月中旬、佐川急便の新EV軽貨物車のニュースが入った。日本のスタートアップが開発し、生産は中国の「広西汽車」に委託するという。商用車から変革が始まった。日本メーカーの虎の子、乗用車は大丈夫だろうか。もはや一刻も猶予はなさそうである。

■筆者プロフィール:高野悠介

1956年生まれ、早稲田大学教育学部卒。ユニー株(現パンパシフィック)青島事務所長、上海事務所長を歴任、中国貿易の経験は四半世紀以上。現在は中国人妻と愛知県駐在。最先端のOMO、共同購入、ライブEコマースなど、中国最新のB2Cビジネスと中国人家族について、ディ-プな情報を提供。著書:2001年「繊維王国上海」東京図書出版会、2004年「新・繊維王国青島」東京図書出版会、2007年「中国の人々の中で」新風舎、2014年「中国の一族の中で」Amazon Kindle。

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