人民網日本語版 2021年5月18日(火) 7時50分
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「ちょっとかざすだけで、すぐに支払いが終わった。とても便利だ」。男性の劉さん(60)は数日前に海南省ボアオを旅行した時、デジタル人民元の体験キャンペーンに参加した。
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「ちょっとかざすだけで、すぐに支払いが終わった。とても便利だ」。男性の劉さん(60)は数日前に海南省ボアオを旅行した時、デジタル人民元の体験キャンペーンに参加した。デジタル人民元の決済ができるウォッチをつけ、買い物をする時にこのウォッチを店側のPOS端末にかざすだけで、支払いが完了した。劉さんはウォッチを指さしながら、「この『サイフ』はとても便利だ。この新しい決済方法が1日も早く普及することを願う」と喜びの表情を見せた。
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上海の野菜市場で屋台を経営する女性の陳さんも、デジタル人民元がもたらす便利さに深い印象を受けたと言い、「日々の売上高は自動的に銀行口座に入る。デジタル人民元で卸売業者と家族への振り込みをすれば、リアルタイムで入金ができ、手数料は一切かからず、非常にお得だ」と話した。
デジタル人民元は本質的に国家の信用が価値を保証し、中国人民銀行(中央銀行)が発行する法定通貨で、デジタル化した現金でもあり、紙幣や硬貨と完全に等価だ。2019年末、深セン、蘇州、雄安新区、成都、将来の北京冬季五輪・パラリンピックの会場でテスト事業が行われ、20年10月にさらに上海、海南、長沙、西安、青島、大連の6カ所でもテストが行われ、テスト実施範囲が秩序よく拡大した。
専門家は、「デジタル人民元が広く注目されるのは、便利さと迅速さに大きな特徴があるからだ。決済で支払う側と受け取る側がいさえすれば、リアルタイムで入金ができる。オフラインの状況でも、現金と同じように支払いができる。より重要なことは、コントロール可能な匿名性を実現したことで、業者側と第三者プラットフォームには消費者の身元を示す情報と決済データを取得する権利がなく、プライバシーがよりしっかり保護される」と述べた。
中国人民銀行デジタル通貨研究所の穆長春所長は、「コントロール可能な匿名性はデジタル人民元の重要な特徴で、人々の合理的な匿名での取り引きと個人情報の安全性を保障する上でプラスになり、マネーロンダリング、テロ資金供与、脱税などの違法な犯罪行為を防止し取り締まる上でもプラスになり、金融の安全が保たれる」と述べた。
テスト実施都市では、複数の銀行がテスト事業に深く関わるようになるにつれ、デジタル人民元は飲食サービス、生活費支払い、ショッピング、交通・移動などへと利用シーンが広がった。専門家は、「デジタル人民元はこれからECやショート動画などのオンライン分野にも浸透し、企業の貿易取引、サプライチェーン・ファイナンスなどの実体経済でも大いに力を発揮する見込みだ」と予測した。
商務部国際貿易経済協力研究院の梅新育研究員は、「デジタル経済時代の中、デジタル通貨には非常に大きな発展のポテンシャルが備わり、経済の運営効率を向上させるだけでなく、新たな経済業態や経済モデルを生み出す可能性もある。中国はデジタル通貨の発展で多くの優位性をもつ。一方で、中国はデジタル通貨の発展に必要なインフラや決済システムが相対的に整っている。また一方で、中国の消費者や業者などは電子決済の受け入れレベルが他の国よりも高い」と述べた。
梅氏は、「新型コロナウイルス感染症は世界各地の消費者に新たな消費習慣と決済習慣を根付かせた。デジタル通貨はこれから国境を超えた決済の効率を向上させるだろう」と述べた。
中国人民銀行の李波副総裁はボアオアジアフォーラムの2021年年次総会で、「これから人民銀行は3つの取り組みを着実に進める。1つ目はテスト事業をしっかり行ない、テストの項目と範囲を拡大すること。2つ目はデジタル人民元のインフラ整備をさらに進め、システムの安全性と信頼性を一層高めること。3つ目はデジタル人民元に関わる法律と監督管理の枠組みを構築することだ」と述べた。
デジタル通貨が主流になると、紙幣や電子決済に取って代わるだろうか。穆氏は、「デジタル人民元の発行は行政の強制力によって実現するのではなく、市場化した方法で行われる。予見可能な将来には、紙幣、電子決済、デジタル人民元が同時に存在することになるだろう」と述べた。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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