【観察眼】フロイドさんの死から1年 人種差別国家アメリカに変化は

CRI online    2021年5月27日(木) 10時50分

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アフリカ系米国人男性のジョージ・フロイドさんがミネソタ州ミネアポリスで白人警察官に9分以上首を圧迫され死亡する事件が発生した2020年5月25日から1年が経った。

アフリカ系米国人男性のジョージ・フロイドさんがミネソタ州ミネアポリスで白人警察官に9分以上首を圧迫され死亡する事件が発生した2020年5月25日から1年が経った。フロイドさんが「息が苦しい」と助けを求める動画が明るみに出たことで、全米で大規模なデモが発生し、警察による暴力と人種差別に反対する声があがったことは記憶に新しい。

今年4月20日、事件発生から11カ月後になって、フロイドさんを死亡させた元警察官のデレク・ショービン被告は第2級殺人などの罪に問われ、有罪判決が下された。この結果を受けて、フロイドさんの遺族と弁護士は当日声明を発表し、「判決の意義はこの都市を超えて、国家に、ひいては世界にも大きな影響を与えるだろう。米国にいるアフリカ系の人々の正義こそが米国の正義だ」と述べた。複数の米国メディアがこの声明を引用し、「米国史におけるターニングポイントだ」と報道した。

では、転換点を経て、米国社会は差別のない幸福な社会をみごとに掴み取ったのかというと、そうでもないようだ。米国社会には人種差別が根ざし続けている。

4月11日、米中西部オハイオ州の警察側の動画の中に、アフリカ系男性が警察官に粗暴に地面に押し倒された後、「呼吸ができない」と叫ぶ場面が見つかった。さらに4月29日、米カリフォルニア州警察側が発表した動画は、ラテン系男性マリオ・ゴンザレスさん(26歳)がフロイドさんと同様に警察の暴行を受けて死亡したことを示した。

米国社会には大きな波紋が広がっている。だが、根本的な変化はない。 フロイドさんの死からは、米国の警察改革の必要性が見えてくる。実際に、今年3月、民主党議員は警察官による暴力と人種差別に反対する法案を提案した。この法案には警察官の法執行プロセスにおいて首を膝で押さえつける行為や、人種や宗教を理由とする差別的な法執行、免責特権の禁止などが盛り込まれたほか、全国で共有できるデータベースに警察官の不当な行為が記録されるという内容も含まれた。大きな希望が託された法案だが、採択には至っていない。バイデン政権はフロイドさんの死から1周年に合わせてこの法案を採択するという実績作りを目指したが、結局は停滞状態のままだ。立法が難航している様子からは、人種差別主義を是正する改革への米指導層の迷いが分かる。

では、民衆は米国の変化をどう感じているのか。AP通信とシカゴ大学全国世論調査センターが共同で行った最近の世論調査の結果、米国人の約59%が、米国には人種差別主義が深刻な問題として存在するとの見方をしました。さらに、30%が「極端に深刻」、29%が「非常に深刻」と答えている。

このデータは前年の調査結果とほとんど変わっていない。大衆の目はごまかせない。事件から1年が過ぎても、民衆は何の変化も感じていないのだ。米国人の約半数は「デレク・ショービン被告には有罪判決が下ったが、司法への信頼が高まったとは言えない」と示している。

フロイドさんの遺族は2700万ドルの賠償金を得た。それはフロイドさんが一生かけても稼ぐことができなかったであろう莫大な金額だとの声もある。しかし、フロイドさんの遺族は永遠に彼を失った。

バイデン大統領はフロイドさんの死から1周年の日にホワイトハウスで彼の遺族と面会し、人種差別主義に反対する意を伝え、米国社会の調和を望むと示した。だが、補償金よりも政治家のパフォーマンスよりも、米国社会の着実な変化こそが、天国のフロイドさんの望みであろう。(CRI日本語部論説員)

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