【中国キーワード】夏もますます人気のライトミール、健康ブームに沸く「巨大市場」

人民網日本語版    2021年5月29日(土) 20時20分

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「ライトミール」が登場してからというもの、たくさんの健康志向の人々がこれを追い求めている。

「ライトミール」が登場してからというもの、たくさんの健康志向の人々がこれを追い求めている。今年も夏がやって来て、大勢の人が健康プランにダイエットを組み込んだため、低脂肪、低カロリーなのに満腹感が続くライトミールが若者の間で飛ぶ鳥を落とす勢いの人気食品になった。

一体、「ライトミール」とは何か。これを食べればやせるのか。今後、消費モデルにどんな変化をもたらすのか。

■「ライトミール」とは何か?

実は「ライトミール」は特定の食べ物を指すのではなく、飲食の形態の一種だ。中国農業大学食品科学・栄養工程学院栄養・食品安全学部の范志紅(ファン・ジーホン)准教授(食品科学博士)は、「『ライトミール』は正確な概念ではなく、欧州のアフタヌーンティーが変化したものだ。豊富で量も多い正式な食事に対し、軽めの食事である『ライトミール』は食べる物の種類がシンプルで、量が少なく、食べる時間も比較的短い。基本的には、空腹感を抑え、元気を出すために食べるものだ」と説明した。

以前は「ライトミール」という言葉はなかったが、生活水準が向上し、健康的な食生活を追求するようになる中で、これまで存在していた飲食スタイルに少しずつ改良が加えられ、やがて「ライトミール」という飲食スタイルが登場した。

「ライトミール」のスタイルは国によって異なる。米国ではバターとチーズが少なめのハンバーガー、日本では弁当か軽食、英国なら油で揚げる代わりにオーブンで焼いたフィッシュアンドチップスといった具合だ。

では、各地方ごとの料理体系が複雑で多様な中国では、「ライトミール」はどんな状況なのだろうか。たとえば最近話題になった雲南大学呈貢キャンパスが打ち出した「ライトミール」は、トリのムネ肉と季節の野菜のサラダ、牛肉とキヌアのサラダ、野菜とマッシュポテトと卵などとなっているが、これはどうも雲南ならではの「ライトミール」メニューとは言えないだろう。というのも、中国国内の多くの地域で食べられている「ライトミール」にはほとんど地方の特色がなく、どこも同じようなものとなっているからだ。

■中国式「ライトミール」はどんなものであるべきか?

中国式「ライトミール」の基準を決めるのは難しい。多くのレストランがそれぞれ独自の「ライトミール」を販売しているが、その内容となると実はばらばらだ。日本風の海苔巻きもあれば、西洋風のサンドイッチや野菜サラダもあり、さらには中国風の軽食もある。全体として言えることは、各店舗が強調するのは作り方の「ライト」さだ。あんかけにする、炒める、焼く、揚げるといった工程がなく、分量も正式な食事より少ない。

分量は少なめだが、値段はそれほど安くない。では売れ行きはどうなのか。

浙江省湖州市長興県太湖街道にある「ライトミール」レストランのオーナーは、「店を開いて2カ月ほどだが、商売は『望外の喜び』という言葉で形容できるほど順調で、1カ月の売上高が10万元(約170万円)に迫り、1日平均約120食の注文がある」と話した。

グルメたちも、「今は人々の飲食に対する観念が以前とは変わり、栄養のバランスをより重視するようになった。『ライトミール』の材料はヘルシーなものが多い」と話した。

■「ライトミール」消費が爆発、健康ブームに沸く「巨大市場」

ここ数年、「ライトミール」が徐々に中国の食卓の「新たなトレンド」になってきた。ますます多くの「ライトミール」レストランが四線都市や五線都市でオープンし、西南財経大学、雲南大学、長春中医薬大学等の学生食堂にも「ライトミール」専用カウンターが新設されたほどだ。雨後の筍のように次々現れる「ライトミール」レストランが、消費者の選択肢を極めて豊富にしている。

「ライトミール」健康ブームに乗る形で、大勢のスターたちも「食べても太らない人」というイメージ作りに励んだり、極端なダイエット方法を宣伝したりすることはしなくなった。ここ数カ月間でショッピング・交流プラットフォーム「小紅書」で一番の人気者になった尹正(イン・ジョン)は、毎日アップする低脂肪メニューがネットユーザーたちに人気だ。オフラインで「尹正風煮込み料理」を正式なメニューとして打ち出すレストランも現れたほどだ。微博(ウェイボー)では、「関暁●(グァン・シャオトン、●は丹へんに彡)の2カ月間ランチメニュー」の閲覧件数がすでに7億回を超えた。

英ユーロモニターのデータによると、2022年に中国の「ライトミール」と食事代替品の市場は1200億元(約2兆440億円)に達するとみられる。「ライトミール」と食事代替品の急速な発展の背景には、中国人の飲食観が「お腹いっぱい食べる」、「おいしいものを食べる」から「健康的に食べる」へと変わりつつあることがある。19年に発表された「中国の穀物安全保障」白書によると、1996年と比較すると、中国人の1人あたり平均穀物消費量が減少した一方で、動物性食品、根菜類、野菜、果物といった穀物以外の消費量が増加しており、食べる物がより多様化し、飲食がより健康的になったという。

西南財経大学工商管理学院の王禕(ワン・イー)教授は、「『ライトミール』は健康主義による大衆消費モデルの変化を代表するもの。今では、伝統的な外食産業の企業も『ライトミール』に特化した店舗も、こうした消費ニーズに積極的に応えている。他の消費トレンドと異なるのは、SNSやネットの人気者の効果で、『ライトミール』が『ファッショナブルな輝き』を放つ商品になり、健康的なライフスタイルを示すシンボルとして多くの人から支持されていることだ。今後定着して安定した消費の形態になるかどうかは、しばらく様子を見る必要がある」と述べた。

■「ライトミール」は万能食ではない

「ライトミール」は人々に受け入れられる過程で、徐々に健康の概念へと変わっていった。しかし、どのような健康の観念も万能ではない。そのため、これで健康の問題をすべて解決できると安易に信じ込んではならない。

「ライトミール」はそれ自体がいくつかの問題を抱えている。たとえば、中国ではまだ外食産業に対し食品のカロリー表示が義務づけられておらず、一見よい感じに見える「ライトミール」プレートに、実はたくさんの脂肪分が含まれているということがある。自分で作るヘルシーなドリンクやスイーツは、果物や野菜、芋類などで作っていたとしても、実際には糖質がかなり含まれており、カロリーは低くない。「ライトミール」のサラダは野菜がたっぷり入っているように見えるが、実際の量はそれほどでもなく、成人の1日の必要量には満たない。半調理品の「ライトミール」は保存をきちんとしなければ、安全性の問題が起きる。

■「ライトミール」でダイエットできるか?

ダイエットをするには前提となる要求がある。まず、摂取カロリーが消費カロリーを超えていなければいけないということ。そうしなければ体に必要なエネルギーが得られないからだ。次に、人体は食べ物から十分な栄養を取る必要があること。栄養が足りないと代謝が落ち、カロリー消費のペースが低下し、かえって太りやすくなるからだ。

ダイエット中に人にとって、「ライトミール」ではお腹が空きやすい。1日2日なら意志の力でなんとかなるかもしれないが、何日も「ライトミール」ばかり食べ続ければ、突然、暴飲暴食してリバウンドするかもしれない。

したがって、「ライトミール」ダイエットについてはこう断言できる。「ライトミール」で食習慣が完全に変わったという人でもない限り、最初のうちは熱心に頑張れるが、長続きはしないだろう。(提供/人民網日本語版

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