韓国の最大野党「国民の力」の新代表に李俊錫（イ・ジュンソク）氏が選出された。韓国憲政史上初めて36歳の若者が有力政党の代表に就任した“一大事件”だ。政治問題をめぐってはとかく見解が対立する韓国各紙も今回は「政界の世代交代と刷新の起爆剤になれば」などとこぞって歓迎した。

李俊錫氏は68歳の文在寅大統領とは32歳の年齢差がある。文大統領の長男（39）より3歳若い。58歳の与党「共に民主党」の宋永吉代表は22歳も年上だ。

保守系の中央日報は社説で「そんな彼が既存の政治文法と政治常識を破って急浮上した。その推進力の要諦は『変化への強い熱望と期待』だった」と指摘。「4月の補選・再選挙を通じて政治的な声を発見したMZ世代（1980～2000年代生まれ）が加勢した。彼らは1987年体制で強固に続いてきた産業化・民主化勢力の既得権政治と年功序列中心の社会・経済体制に対する強い拒否感を表出してきた」と続けた。

さらに「李俊錫代表体制のスタートは共に民主党にも少なくない影響を及ぼす見通しだ」と論評。「民主化勢力としての道徳的優位が摩耗し、いまはダブルスタンダードの代名詞といわれる共に民主党は追い掛ける境遇になった。今は与野党間で誰がもっと多く、まともに変わるかの競争が始まった。韓国政治のためには幸いなことだ」と期待感を示した。

同じく保守系の東亜日報は「与野党の高コスト政治文化を一新する契機に」との社説を掲載。「今回の党代表選挙運動でも李俊錫氏は既存の政治家とは全く異なる姿を見せた。まず選挙を支援する人員を5人ほどにし、大規模な陣営事務所を設置しなかった。候補を支援する車両もなく、電車や地下鉄などの公共交通を利用する選挙運動を展開した。発送のたびに数百万ウォンかかる広報用メールもほとんど送らなかった。政党選挙運動で必須項目とされる陣営事務所、車両、メールのない『三無』選挙運動をしたのだ」と紹介した。

そして「李俊錫現象は世代交代を超えて時代交代を望む民心が投影されたものだ。時代交代は政界の古く旧態依然の形態を清算することから始めなければならない。その第一歩は高コスト政治構造を改善することでなければならない」と強調した。

保守勢力とは対立する革新系のハンギョレ新聞も社説で「若い政治リーダーシップの出現が韓国政治全般に新しい変化の波をつくりだしていくことを期待する」と言及。「政府と与党との関係も誤りに対しては激しく批判しても、国民の生活や外交・安全保障などでは国民と国益を最優先にして生産的な代案を探る協力政治の道を模索してほしい」と訴えた。（編集/日向）