5Gは中国企業が世界を圧倒、6Gは5Gを補完=「中国 ICT 企業のグローバル化」でZTE副社長が講演

Record China    2021年6月28日(月) 13時20分

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「ZTE から見る、中国 ICT 企業のグローバル化の道」と題した講演会がこのほど開催され、ZTEコーポレーション副社長を務める張林峰氏(元ZTEジャパン代表取締役社長)が基調講演した。

『デジタル時代、日中ものづくりの未来』フォーラムの一環として「ZTE から見る、中国 ICT 企業のグローバル化の道」と題した講演会がこのほど開催された。ZTEコーポレーション副社長を務める張林峰氏(元ZTEジャパン代表取締役社長)が基調講演し、中国IT大手の本音と試行錯誤、およびその方向性について語った。中日青年産学連合会が主催し、日本華人教授会議、埼玉県日中友好協会青年委員会が後援。日中両国の約200人がオンライン(Zoom)で参加した。

このフォーラムは、日中産業界、学界の若手エリート層に、日中両国の経済トレンド、産業変革、デジタルイノベーション等に関する研究発表と新しい動向紹介の舞台を提供することを目的としている。

このフォーラムの開催趣旨として以下が掲げられた。

米中貿易戦争が世界を揺らしており、コロナ禍も収束の見通しが立たない。第四次産業革命はそれに構いなく勃興している。このような内外環境に挟まれて、日本の製造企業は伝統的な強みを持ちながらも苦戦している。他方、中国の製造企業は改革開放政策の追い風を得て急成長し、デジタル技術の活用で相乗効果を見せているが、標準化、規範化、精密化生産への転身は依然大きな課題となっている。日中双方の相互学習・補完的発展は可能であろうか。

中国の通信機器大手「ZTE(中興通訊)」は2017年3月、トランプ政権から10億ドルの罰金を命じられ、米中貿易戦争の中で最初に標的になった中国IT企業である。5G標準必須特許の所有数は世界3位。今年3月、ファーウェイと並んで、米国内通信網から完全に排除された。

張林峰ZTEコーポレーション副社長の講演要旨は次の通り。

(1)セキュリティの問題について、中国も米国も参加する国際標準を作り、国際的な監視組織を作ることにより、どこの国の製品であっても安心して使える状況を作り出すことが最も望ましい。そのような仕組みを作ることは技術的に可能か?

米中などによる国際監視組織を作るのは望ましい。セキュリティルールを作る機運もあり、どのように作るかが課題。日米欧含めすべての関連企業にとって必須である。

(2)米国による半導体の供給停止が中国のICT産業に与えている影響について?

国際分業は合理的であり、米国の停止措置は中国企業だけでなく米国企業にも影響を与える。ZTEへの影響は当面大きいが、基地局や遅いレベルのスマホ製造には影響がなく、業容は拡大している。技術の進歩は人類のためであり一企業のためではない。(米国の対中制裁により)5~10年後には中国の半導体分野はさらに進歩し、米国の企業は厳しい状況に置かれるとビル・ゲイツ(マイクロソフト創設者)が言っている。

(3)日本、韓国、米国のICT企業と中国のICT産業に与えている影響について?

日本は3Gまでリードしていたが、5Gでは遅れ、中国が世界をリードしている。5Gの世界特許出願シェアは中国のファーウェイとZTEはじめ中国企業が圧倒している。中国は人口が多くマーケットも大きい。巨額の投資をしており、人材も豊富で毎年1万数千人の大学生がこの分野に投入されている。中国や米国企業はグローバル化を重視し世界での販売を目指すが日本企業は国内市場向けを出発点としているようだ。中国には英語ができる人材が多い。日本には国際人材が必要だと思う。韓国は国内市場が大きくないので外向きで中国、米国、日本との協力を志向している。

6Gは2028年に規格が決まり2030年にスタートする。基本的に5Gを補完するものであり、海や砂漠、室内で効果を発揮する。

(4)一帯一路地域でのZTEの活動の現状について?

一帯一路地域は政治の壁が低いので落ち着いてプロジェクトを進めやすい。ZTEにとって活動しやすいので積極的に進出している。

(5)デジタル時代、グローバル化時代における日中関係の理想像について?

日本企業と連携していきたい。ルール作りも進めたい。三村明夫日本商工会議所会頭ともセミナーを通じて話したが、中国企業は日本の中小企業のモノづくり技術の高さと中国の市場や資金連携出来ると思う。

この講演の最後に、閉会の挨拶をした山田周平・日経新聞編集ビジネス報道ユニット担当部長は「中国は、安全保障上日本の脅威ではあるが、経済発展が目覚ましく世界一のGDP(国内総生産)になるとの予測もある。この大きな市場を持つ中国との交流は善である。経済的な利益と安全保障についてどこかの中間点で妥協点を探すことが必要であり、このような率直な意見交換の場は有意義である」と締めくくった。(八牧浩行

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