宇宙関連企業トップが推薦断られて研究者に暴行、85歳女性研究者も重傷―中国

Record China    2021年7月5日(月) 9時40分

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中国の宇宙関連企業トップが、研究者2人に自分を国際組織の会員に推薦するよう求め、断られると2人を殴るけるして重傷を負わせた。写真は監視カメラによる記録から。

中国航天投資控股有限公司内に設けられた共産党同公司委員会のトップである張陶書記が、中国の宇宙開発において大きな実績を持つ研究者2人に、平和的宇宙活動の発展推進などを目的に設立された国際宇宙航行アカデミー(IAA)の会員に推進するように求め、断られると殴るけるなどして2人に重傷を負わせていたことが分かった。被害者の1人は85歳の女性だった。米国の華字メディアの多維新聞や、一部の中国メディアが伝えた。

中国では多くの企業の内部に、共産党の「支部」である「共産党委員会」が設立されている。「書記」は委員会トップの役職。

中国航天投資控股有限公司は、中国の保険会社や銀行など多くの企業が出資して設立された企業であり、宇宙開発を担う企業である中国航天科技集団によって投資の管理を行う企業として承認されている。本社所在地は北京市内。

これまで伝えられた情報によると、張陶書記は6月6日午後に、中国の宇宙開発に大きな実績を持つ呉美蓉氏を自社に招いた。

呉氏は1936年生まれで、中国資源衛星応用センター設立の責任者になり、同センター発足後には主任を務めた。2001年にはIAAの会員に選ばれた。IAAは14年、呉氏にフォン・カルマン賞を授与した。同賞は、IAAが宇宙航行に関する科学技術の諸分野において顕著な貢献をした人物を顕彰するために、組織の創設者の名を冠して設けた賞だ。

張書記は呉氏に、自分をIAA会員に推薦するよう求めた。呉氏は、張書記をもっと理解する必要があるとして、比較的若い王晋年氏(55歳男性)も参加させるよう主張した。

王氏は、衛星から土地利用状況を観測・分析するリモートセンシングに長年にわたり携わってきた専門家。中国科学院リモートセンシングおよびデジタル地球科学研究所副所長や、中科リモートセンシング技術集団の会長を務めたこともある。王氏も16年にIAAの会員に選ばれている。

張書記は王氏も呼び寄せることに同意し、2人を外食に招待することにした。張書記は飲食店で改めて、自分をIAAの会員に推薦するよう求めた。王氏は、張書記とは初対面であり、今までの仕事についても知らないとして、推薦の件については、張書記に対する自分の理解が深まってから改めて話し合いたいと表明したという。

すると張書記は突然に激怒して、王氏と激しい口論になった。張書記は身を伸ばして、王氏を殴った。呉氏は状況を恐れて、その場から引き上げることを求めた。

張書記と会社の部下が、王氏と呉氏を自宅に送ることになった。一行は午後10時半ごろ、王氏が住む建物に到着した。王氏がエレベーターを待っていると、張書記は背後から王氏をけり、次に呉氏をけった。呉氏は床に倒れた。王氏はエレベーターのドアが開いたので中に入ったが、張書記はさらに追いかけて殴るけるなどの暴行を続けた。

監視カメラの映像では、張書記が王氏の首を絞める動作も記録されているという。王氏と呉氏が治療を受けた病院の診断報告によると、呉氏は胸椎に軽度の圧迫骨折があり、腰椎の骨がずれる腰椎すべり症も見られる。王氏は全身に多くの骨折や軟部組織損傷がある。

中国航天科技集団は同件について、「事件の全容の理解を進めており、その後には事実に基づき、規則に依拠して処理する」などとする、グループ内向けの声明を発表した。(翻訳・編集/如月隼人

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