八牧浩行 2014年5月13日(火) 5時18分
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米国と中国の軍制服組トップの交流が活発化している。中国人民解放軍の房峰輝総参謀長が米国を訪問、15日に米デンプシー統合参謀本部議長と会談する。会談では、米中軍事交流の促進が話し合われる。写真はハルペリン元米大統領特別補佐官。
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米国と中国の軍制服組トップの交流が活発化している。中国人民解放軍の房峰輝総参謀長が米国を訪問、15日に米デンプシー統合参謀本部議長と会談する。会談では、米中軍事交流の促進が話し合われる。今週財務大臣会合も開かれ、今夏に北京で開催されるの戦略・経済対話について協議する。
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中国は西沙諸島付近で石油採掘作業を強行し、中国船とベトナム船が衝突するなど緊迫化している。米国は領有権問題には中立の立場を堅持しており、会談では中国に対話による解決を呼び掛けるものとみられる。
オバマ米大統領は4月末のアジア訪問で外交の軸足をアジアに移すリバランス(再均衡)政策の推進をアピールしたが、これは中国も含めた関係各国で地域の安定を図ろうというものだ。
米太平洋艦隊は、今年6月26日から8月1日にかけ米ハワイ諸島沖で行われる環太平洋合同演習(リムパック)に中国を初めて招待、同国は駆逐艦や病院船など4隻を派遣することになっている。
◆「米中日で新たな関係づくりを」元米高官が提言
米国の外交防衛政策に長年携わったモートン・ハルペリン元米大統領特別補佐官・国家安全保障会議メンバーは5月9日、日本記者クラブで記者会見し、「中国と協力していく方法を見いだすとか、新たな関係を持つ術(すべ)を見いだすことも考えられる。米中日に他の国も交えた新たな関係づくりも必要だ」と強調、中国と協力していく方法を見いだすべきだとの考えを示した。ハルペリン氏は外交・安保問題の専門家で、生き字引的な存在だけに、その発言は重い。
対中融和姿勢は現役の米軍幹部も同様である。今年2月、サルバトーレ・アンジェレラ在日米軍司令官は日本記者クラブで記者会見し、「中国は脅威をもたらす国ではなく、我々と地域の安全を共有、責任の一端を担うことが可能だ」と明言。その上で、「米国は中国とは常に対話しており、日本と中国ができるだけ胸きんを開いて対話できる時が来ることを望んでいる」と強調、日中が早期に対話のテーブルに着くよう求めた。
これら一連の発言にはオバマ大統領の考え方が反映されている。同大統領は4月に訪日した際の記者会見でも、「人口が多く、経済発展している中国はアジアだけでなく世界全体で貿易、経済、気候変動などの分野で大きな役割を担っている。国際的な秩序を重視、平和的に台頭し今後も成功してほしい」と言明。さらに、「米国としても積極的に中国と協調していく。日本と中国も平和的に話し合い協力していくことを望む」と語っている。
オバマ氏が中国との協調に腐心するのは、シリアの化学兵器問題やイランの核問題などを通じて、米国に相対的な力の陰りがみえる中、世界第2位の経済大国となった中国との協力が欠かせないためだ。
◆進展する「新たな大国関係」
米国にとって最大の課題は巨額の米政府債務と経常赤字の削減。経済の破綻を避けるためには軍事費の削減と、世界最大の中国消費市場のさらなる取り込みが不可欠だからだ。
なお、米中の閣僚同士の会談は頻繁に開かれ、今週もルー米財務長官が訪中しており、13日に楼継偉中国財務部長と会談。今夏北京で開催する米中戦略・経済対話の具体的な内容について協議する。
米中戦略・経済対話は米中両国の閣僚多数が政治や安全保障、経済、金融と、幅広い領域にわたる両国関係の諸課題を協議。昨年は6月にワシントンで開かれた。一見対立しているかに見える米中だが、実際はがっちりと手を握り合っているのが実情。軍トップが対話し合同演習を行うのも「戦火は絶対交えず何事も平和的に解決するため」という。米中首脳が合意した「新たな大国関係」に向け両国のパイプは太くなるばかりだ。(八牧浩行)
■筆者プロフィール:八牧浩行
1971年時事通信社入社。 編集局経済部記者、ロンドン特派員、経済部長、常務取締役編集局長等を歴任。この間、財界、大蔵省、日銀キャップを務めたほか、欧州、米国、アフリカ、中東、アジア諸国を取材。英国・サッチャー首相、中国・李鵬首相をはじめ多くの首脳と会見。東京都日中友好協会特任顧問。時事総合研究所客員研究員。著・共著に「中国危機ー巨大化するチャイナリスクに備えよ」「寡占支配」「外国為替ハンドブック」など。趣味はマラソン(フルマラソン12回完走=東京マラソン4回)、ヴァイオリン演奏。
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