ライトミールが「新たな社交スタイル」に、食べているのは何?―中国

人民網日本語版    2021年7月26日(月) 20時50分

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平日の昼休みになると、北京のオフィスビル・盈科センターの地下1階にある「スーパー碗健康ライトミール」の店には長い行列ができる。資料写真。

平日の昼休みになると、北京のオフィスビル・盈科センターの地下1階にある「スーパー碗健康ライトミール」の店には長い行列ができる。ここでは炭水化物、タンパク質、食物繊維、トッピングから飲み物、ミニデザートまで、日常の食卓に並ぶ米や肉、野菜に違う名前を与えられている。近くで働く若者は、「こういう見た目がよくて栄養バランスのいいライトミールのランチの写真をSNSに投稿するのが好き。『いいね』がもらえる上に、『同好の士』も見つかる」と話す。糖質ゼロ、脂肪ゼロのコンセプトが一世を風靡する今、「ライトミールを通じた社交」が若者に好まれる新しいスタイルになった。中国青年報が伝えた。

中国に上陸して10数年の「舶来品」のライトミールは、今やますます多くの若者におなじみの、いつもの選択肢になっている。新しい物好きの若者がライトミールを選ぶ時、食べているのは一体何だろうか。

■若者がけん引するライトミールの新たなトレンド

北京の金融企業で働く「90後(1990年代生まれ)」の女性の魯さんは、「夏に可愛いスカートをはきたい」の一念で、同僚たちと一緒に複数のライトミールの店を訪れている。「よくどの店のライトミールがおいしいか情報を交換している。低カロリーセットが一番好き。野菜や肉、雑穀のご飯も入っていて、食べても体に負担がかからない。周りの友だちもライトミールを食べている人が多い。時間の節約になるし、おいしいし、痩せられるから」という。

見た目においしそうで、食べれば栄養があり、油分が少なく塩分控えめで雑穀を使用しているというのが、人々がライトミール業界に対して抱く直感的な印象だ。冗談で「草を食べている」などと言われるライトミールだが、実際には単なる野菜だけ、あるいはサラダばかりではなく、ある特定の食べ物を指すのでもなく、新しい飲食スタイルのことを言う。

中国農業大学食品科学・栄養工程学院食品栄養・安全学部の范志紅(ファン・ジーホン)准教授は以前に公式アカウントで発表した文章の中で、「ライトミールの『ライト』の部分が現代の若者の心の隙間にするりと入り込んだ。女性は体が軽くなりたい、スタイルがよくなりたいと願い、男性も爽やかな、『油ギッシュ』とは無縁の人になりたいと思う。ライトミールだと台所の熱い火や煙、ベタベタする油から開放され、食事を作る面倒くささを忘れることができ、生活がより楽で身軽なものになる。ライトミールは健康の概念さえ変えてしまった」と述べた。

消費の高度化と人々の健康意識の高まりに伴って、特に新型コロナウイルス感染症の中で、健康業界が人気を集め、ライトミールは徐々に若者たちの新たな「食のトレンド」になり、次々に登場する各種のライトミールの店やデリバリーは若者の「行くべき場所」、新しい「おすすめスポット」になった。ここ数年、北京大学清華大学、四川大学、揚州大学、雲南師範大学など多くの大学の食堂が、このブームに狙いを定め、相次いでライトミールのカウンターを設置した。

かつてはニッチ市場の飲食スタイルだったライトミールだが、低カロリーで顔面偏差値が高くそしてその背後に健康の理念があることから、若者の中でどんどん存在感を増している。「最近の新スタイルの茶飲料のように、若い人は顔面偏差値の高いミルクティーを買うとSNSに写真をアップして交流するのが、一種の習慣になっている」と指摘する華旦天使投資の創業者でCEO(最高経営責任者)の張潔(ジャン・ジエ)氏は、自身もライトミールの愛好者だ。「最近気づいたのは、SNSで自分の食べたライトミールセットの写真をアップすると、男性も女性もたくさんコメントを残してくれることだ。おいしいのかとたずねてくる人がいれば、自分の経験を書いてくれる人もいる。ライトミールはある種の社交的な属性を与えられており、これも若者を引きつける原因の1つだ」という。

■ライトミールはどうやって若者の胃袋をつかんだか

ユーロモニターのデータによると、2022年には中国のライトミール・食事代替品市場の規模は1200億元(約2兆435億円)に達するという。

広大な市場が広がるが競争も激しいライトミール業界は、どうやって若者の胃袋をつかんだのか。

浙江省杭州市で単品メニューから予約制デリバリーへと5年にわたりライトミールを手がけてきた檬悦軽食は、現地の若いホワイトカラーの中に大勢の「忠実なファン」を抱えている。創業者の劉宸(リウ・チェン)さんは、「最初は若いホワイトカラーをターゲットにしていた。お客様は女性が中心なので、うちの栄養士が中国人女性の体質的特徴に合わせて、炭水化物、野菜や食物繊維、肉類のバランスを考え、カロリーを厳しくコントロールしている。新鮮な食材、安全な食品が基本ラインだ。お客様は1回の注文で1週間から20日間分のセットを注文できるけれど、私たちは当日に調理して、正午前にお客様のところへ届ける。今は繁忙期で、1週間に200人から300人分の注文がある。利用者は累計で4万~5万人に達した」と話した。

デリバリー中心の檬悦軽食とは異なり、ネットで人気の北京のライトミールブランドの蔬小盒はすでに直営店を11店舗構え、最近また5店舗を開設する契約を結んだという。創業者の張笑松(ジャン・シャオソン)さんは、「スパイスや料理法を独自に開発してから、季節ごとに異なる飲食習慣に合わせて、秋から冬のシーズンには低カロリーセットを開発して打ち出す。これは穀物主体で、野菜と肉も入っていて、満腹感と同時に健康面の付加価値を得られる。サラダ類は春夏シーズンの売り上げの約60%を占めるが、秋冬シーズンは低カロリーセットが60%を占める」と話した。

劉さんは、「去年の感染症対策の期間中に、経済活動が再開された最初の週の注文数は50%近く増加した。その頃交流したお客様から健康をより重視するようになったということを聞いた。チームと一緒にずっと考えてきたのは、この流れの中で競争力がどこにあるかつかまえることだった。商品は絶えずバージョンアップして、目新しさを保たなければならない。そこで開発能力と裏方の厨房の能力を高めてきた。ライトミール産業は実のところ中華料理と鶏の唐揚げには永遠に及ばないが、うちの店は、ライトミールを冷たい野菜ばかりの料理にするのではなく、できるだけ『中華料理化』している」と話した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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