赤字でも巨額寄付をした企業、「非理性的消費」で人気者に―中国

人民網日本語版    2021年7月28日(水) 6時50分

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スポーツウェアブランドの鴻星爾克の人気に火がつき、多くの人が「鴻星爾克――To be NO.1」という言葉を改めて頭に思い浮かべた。

ライブコマースで商品がものすごい勢いで売れ、人気検索ワードに登場するとその情報がインターネットで拡散される。最近、スポーツウェアブランドの鴻星爾克(HONGXING ERKE)の人気に火がつき、多くの人が「鴻星爾克――To be NO.1」という言葉を改めて頭に思い浮かべた。中国新聞網が伝えた。

■「鴻星爾克の微博での話題を見て気の毒になった」

鴻星爾克は21日に公式微博(ウェイボー)で、「鄭州慈善総会と壹基金を通じて、(豪雨被害の出ている)河南省の被災地に5000万元(約8億5000万円)の緊急支援物資を送った」ことを明らかにした。

すると鴻星爾克も予想していなかったことだが、この寄付によって鴻星爾克がたちまち人気者になった。

ネットユーザーによると、「鴻星爾克は2020年に巨額の赤字を出しながら、5000万元の緊急支援を被災地に送った」という。メディアの報道では、鴻星爾克の18年の損失額は2億9800万元と巨額で、19年は295万8000元に減ったもののまだ損失は出ており、20年の決算はまだ発表されておらず、20年上半期の財務データしかないが、それも60万元の赤字だという。

こうした情報がインターネットで次々に伝えられると、ネットユーザーから、「鴻星爾克は倒産しそうなのにこんなにたくさん寄付している」「PRした方がいいんじゃないか、こっちが心配になる」「みんなで鴻星爾克を応援してネットの人気検索ランキングに入れよう」といったコメントが続々寄せられた。

ネットユーザーの願い通り、「鴻星爾克の微博での話題を見て気の毒になった」が微博の人気検索ランキングで1位になった。現在、この話題の閲覧件数は9億4000万件を超えている。同時に、関連の話題がショート動画共有アプリ「抖音(TikTok)」や「今日頭条」、「百度(バイドゥ)」などのネットプラットフォームでも大量に転載された。

原稿執筆時点で、鴻星爾克が明らかにした支援のニュースは微博で982万回転載され、トップクラスのスターにも匹敵する人気だ。ネットユーザーは、「別の微博の人気の話題からこのことを知った。企業としての鴻星が控えめ過ぎたので心配になる」とコメントした。

■鴻星爾克社長「理性的な消費をして」、消費者「非理性的な消費をする」

鴻星爾克を支援するため、鴻星の天猫(Tmall)旗艦店のライブコマースには買い物しようとする大勢の人がつめかけている。これまでの視聴者は1万人足らずだったのが、今月22日に延べ人数が200万人を超え、商品が紹介されるたびに売れていく状態だ。ネットユーザーが情報を次々転送し、「いいね」を送り、コメントをし、「一番高い商品をアップして」と呼びかける。現在、このライブコマースの登録者は1000万人に達したという。

鴻星爾克のTikTokなどのプラットフォームでのライブコマースもにも大勢のネットユーザーや消費者が集まる。23日のTikTokでのライブコマースでは、最大同時接続視聴者数が10万人を突破し、同日午後5時の時点で累計視聴者数は1400万人を超え、1回のライブコマースで集めた「いいね」は1億5千万個を超えた。

注目されるのは、ここ数日、鴻星爾克の各プラットフォームの配信パーソナリティーが「ネットユーザーの皆さん、理性的な消費を」「社長も理性的な消費をしてくださいと言っています」などと呼びかけていることだ。また、視聴者に「投げ銭」を送らないように、ハンガーマーケティングにならないようにとも呼びかけている。

しかしネットユーザーは意に介さない。「私たちに指図しないで」「私たちは非理性的に消費したいの」といった反論のコメントが次々に寄せられ、中には呉栄照(ウー・ロンジャオ)会長に突っ込みを入れて、「会長には好きなようにさせてあげて、ビジネスの頭脳がないんだから」という人もいる。「御社の工場のミシンが火を噴かなかったら私たちの負け」「夫に買った。はいてくれなかったら離婚する」という人すらいる。

■鴻星爾克の影響が業界の枠を超えて「控えめ」な企業に火を付けた

25日午前1時ごろ、鴻星爾克の淘宝(タオバオ)のライブコマースはアクティブな視聴者数が1900万人を超えた。ここ数日、鴻星爾克の影響は業界の枠を超えて広がり、「(河南省)鄭州で自分たちも被災したアイス・お茶ブランドの蜜雪氷城が寄付をした」、「同じくスポーツウェアの貴人鳥も寄付をした」といった話題が次々にネット人気検索ランキングに登場した。

22日、蜜雪氷城は2200万元を寄付すると発表した。23日にはさらに400万元を追加すると発表した。するとネットユーザーたちから気の毒だという声が次々上がり、「雪王(蜜雪氷城の雪だるまのイメージキャラクター)は自分が溶けそうなのに寄付をするなんて、愛情深い」「自分たちのためにお金は取っておいて」などのコメントが寄せられた。

鴻星爾克、蜜雪氷城よりもっと「控えめ」ながら密かに寄付をしたのが貴人鳥だ。メディアの報道によると、2000万元を寄付し、オフラインで2000万元の物資を寄付し、社長自らチームを率いて被災地の最前線で物資を配りながら、公式微博でも公式アカウントでもそのことを発信しなかった。しかしネットユーザーが偶然発見したという。

貴人鳥の公告によると、同社は21年6月に破産・再建計画を執行し終えたばかりだ。ネットユーザーが「自分たちが赤字を出しても、支援は忘れない。この会社の商品をたくさん買おう」と発信すると、今月24日には、貴人鳥の子供靴の京東での売り上げが23日の10倍以上増加した。

困難を抱えたり控えめだったりしながらも今回の災害支援のために寄付をした企業が少なくはない。100億元を超える負債を抱え、やむを得ず非上場化したが、100万元分の支援物資を送った匯源果汁。1億元を寄付し、1億元分の支援物資を送り、河南省へ支援に駆けつけたことを公表しなかった遼寧方大集団。20年の純利益が737万元しかないのに、3500万元を寄付した奇瑞汽車などがある。

しかしメディアの論説では、「鴻星爾克などの企業は、ネット人気検索ランキングでの上昇だけに頼ってはいけない。今は消費高度化の時代であり、消費者は商品のデザインやブランドの価値をより重視するようになった。企業はデザインをさらに工夫すると同時に、ライブコマースやコンテンツのECなどのマーケティング方法をしっかり運用すべきだ」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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