2021年8月3日、中国メディアの環球網は、韓国ボーイズグループ「EXO」の元メンバーで、中国系カナダ人の俳優兼歌手クリス（呉亦凡/ウー・イーファン）が、未成年女性に対する性的暴行容疑で北京市公安局に逮捕されたニュースについて、「中国政府に芸能界の取り締まり強化のきっかけを与えるかもしれない」と伝えた。

記事によると、中国版ツイッター・ウェイボー（微博）に約370万人のフォロワーを擁する現役女子大生のインフルエンサーの都美竹（ドゥ・メイジュウ）さんが、クリスからの強姦（ごうかん）被害について告発した7月19日以降、ネット上で同様に被害を名乗り出た女性は26人に及ぶという。「クリスが複数の未成年女性を誘ってお酒を飲ませた後、性的関係を持った後、対価として50万元（約850万円）を入金した」などの都さんの主張を当初クリス側は事実無根だと否定していたが、31日に北京市公安局・朝陽分局に強姦罪の疑いで逮捕された。

また、芸能関係者の話として「クリスは2016年にも交際相手を自称する女性から無料通話アプリの会話内容や写真などをネットで公開されるスキャンダルを起こしているが、芸能活動にダメージを受けなかったのは、巨大資本がクリスをバックアップしていたからだ」と紹介。また、専門家の話として、「クリスの事件が注目を浴びると当局は迅速に捜査し、内容を公開した。芸能界が倫理や道徳、法律の一線を越えるほど乱れているという強烈な警告を発している」「中国の芸能界は過去数十年にわたって、『流量経済（中国語でアテンションエコノミーのこと）』の動きに大きく依存し発展してきた。多くの『流量明星（中国語でネット上のアクセス数やクリック数が多い人気スターのこと）』」には大資本のバックアップがついている」「捜査当局が大資本のあやつるアイドルに手を下したということは、彼らがプライベートで法律に触れれば容赦はしないという流量経済と流量明星への警告だ」「クリスの事件で動いたのは法律部門だけで、金融関係を監視する部門はまだ動いていない。流量経済にメスを入れることはないだろう」と伝えた。

記事は最後に、上海市在住の中国人弁護士の話として「中国の刑法では、強姦罪には3年以上、10年以下の懲役刑と規定されており、被害者が複数の場合に10年以上の有期刑か無期懲役、死刑のいずれかが下されると規定されている。もし被害者の中に14歳以下の少女がいた場合や悪質な手口が見とめられる場合、クリスが極刑となる可能性も十分考えられる」と指摘した。（翻訳・編集/原邦之）