コロナで団地封鎖、見ず知らずの男性3人が「同居」―中国

人民網日本語版    2021年8月11日(水) 13時50分

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四川省成都市で最近、男性3人組ユニット「三男帮」が“デビュー”。この3人、実はテレビでよく見る「アイドル」と違い、一般人だ。

四川省成都市で最近、男性3人組ユニット「三男帮」が“デビュー”。メンバーの平均年齢は約30歳で、3人とも四川省出身だ。同ユニットのモットーは「退屈を吹っ飛ばせ」。でもこの3人、実はテレビでよく見る「アイドル」と違い、一般人だ。

成都市のある団地に住む黄さんは、新型コロナウイルス対策の影響で、いずれも羅という名字の内装職人2人と11日間一緒に暮らしている。それまで、知り合いでもなかった3人は11日間、一緒に家事をし、ゲームをし、ホラー映画を鑑賞し、少しずつ打ち解けて、仲の良い友達となった。男同士はこんなふうに実に簡単に仲良くなれるのだ。

3人の「馴れ初め」を描いた動画がネット上にアップされると、ネットユーザーの間で大きな話題になり、8日早朝には、微博(ウェイボー)で「新型コロナがきっかけで内装職人と想定外の同居」が検索ランキングで急上昇した。

■想定外の「同居」、重い空気を変えた1本の電話

黄さんによると、内装職人に7月22日に暖房の設備を設置してもらうようかなり前から手配していた。そのため、その1週間前には、生まれてまだ3カ月の赤ちゃんと妻を雅安市にある実家へ送り届けていた。ところが、想定外なことに、内装職人が黄さんの家に来られる日は7月28日になってしまった。

28日当日、車ナンバーによる通行規制があるため、内装職人2人は早朝に家を出た。一方の黄さんは朝起きると、団地の住人が微信(WeChat)に立ち上げているグループに、「団地が封鎖された」というメッセージが来ているのを目にした。そして、内装職人に「日を改めて来るように」と連絡したものの、その時には2人はすでに黄さんの家の下まで来ていた。それが朝8時前の出来事だという。

団地から出られなくなったため、黄さんは寝室1室を片付けて、2人が泊まれるようにした。「よく知らない人と10日以上一緒に住むことになった。初めは心の準備ができていなかったし、2人もとても堅苦しかった。例えば、果物を買ってきても2人は食べなかった。みんな一生懸命話題を探して、気まずい空気にならないようにしていた」と振り返る。

「団地が封鎖されている間も、僕はずっと在宅勤務している。2人もスマホをいじったりしていて、あまりしゃべらなかった。夜は、2人は9時になると寝てしまっていた。そんな重苦しい空気を変えたきっかけは、ある『電話』だった」と黄さん。

「同居」して2日目、内装職人の1人が妻と電話していた。それを聞いた黄さんは初めてその内装職人には双子の子供がいて、黄さんの子供が生まれた3日後に生まれたことを知った。「赤ちゃん」という共通の話題が見つかり、世話をする経験などを話しているうちに、黄さんは2人が遂寧市出身のいとこどうしで、苗字は羅であることを知った。

ホラー映画も3人の仲を一気に縮めたという。

黄さんは、「ホラー映画で怖いシーンを見た時には、素の部分が出るものだ。誰かがあるシーンを見てあまりに怖がっている時には、残りの2人が『そこまで怖くないだろう』と笑いながら突っ込む。そんなやり取りをしているうちに、だんだん打ち解けていった」と話す。

■想定外の「お仕事」、近所の人が臨時アルバイト頼む

「コロナで団地が封鎖されている今、夏の天気よりも熱いのは人の心だ」と話す黄さんは、「団地の住人は微信のグループを通して僕たち3人のことを知り、毎日食事の時間になると、グループ内の人が『内装職人の2人はご飯食べた?』と聞いてくれる。また、団地が封鎖されて2人が内装の仕事ができないことを心配して、鏡や絵、浄水器を取り付けてほしいとか、給湯器を修理してほしいなどと連絡してきて、仕事をくれる住人もいる。ただ、みんなお金を渡したいと思っているものの、2人は受け取らない。だから、家にあるお菓子やアイスクリーム、ビールなどをもらって帰ってくる」と説明する。

10日以上一緒に暮らし、3人はすっかり仲の良い友達になっている。その仲の良さは、職人2人が寝る時間が夜9時から12時過ぎに変わったことからもよく分かる。

3人は一緒にゲームをして、映画を見て、さらに一緒に食材なども買ってきて、一緒に料理もしているという。「みんな料理上手で、それぞれに得意料理がある」と話す黄さんは、毎回料理をスマホで撮影している。「後で振り返ると、とても面白いと思う」と黄さんは語る。

■想定外の「人気者」に、「ネットでこんなに注目を浴びるとは」

「以前は、みんなが団地内で他の住人と交流することはあまりなかった。でも、新型コロナの影響で封鎖され、みんなよく行き来するようになり、近所の人との距離が縮まった。これも、成都の人々のポジティブで、団結している一面だ」と黄さん。

インターネット上で大きな話題となり、黄さんらを取材するメディアも登場。さらに、微博の検索ランキングで急上昇している様子をスクリーンショットして黄さんに送信する友人もおり、「不思議な感じ。こんなに注目を浴びるとは予想外」と黄さんは言う。

それでも、黄さんの生活パターンが変わることはなく、8日午前も朝早くに起きて、朝食を準備し、仕事をした。その後、職人2人と一緒に昼食を作った。

「しばらくすれば、封鎖は解除され、普通の日常が戻るだろう。でも、今回の特別な経験は、僕の『人生の日記』において忘れがたい1ページとなるだろう。そこには、2人の内装職人の名前も刻まれることになる」と黄さんは語っている。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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