呂 厳 2021年8月21日(土) 10時20分
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24日にあるイベントがあり、昨日はカメラマンと電話で話をすることになっていたが、一向に連絡を取ることができなかった。夜になってやっと分かったのは彼が新型コロナウイルスに感染したということだ。
24日にあるイベントがあり、昨日はカメラマンと電話で話をすることになっていたが、一向に連絡を取ることができなかった。夜になってやっと分かったのは彼が新型コロナウイルスに感染して入院中だということだ。連絡をくれた彼の整然としない様子から、状態がどれだけひどいのか知ることができた。
詳しい状況は彼の家族に連絡を取って初めて分かった。それによると彼は先週木曜日の帰宅時に疲労困憊で倒れるように眠り込み、翌日はベッドから起き上がれなかった。病院で受けた検査の結果は陽性で、自宅療養中に容体は悪化。呼吸はますます困難になり、慌てて救急車を呼んだものの豊島区の病院に受け入れられるまで6時間以上かかったそうだ。日本の医療システム崩壊の中、入院できたことは奇跡に近いだろう。
彼の妻は専業主婦で、夫婦には小学校に通う2人の子どもがいる。彼以外の3人もPCR検査で陽性が判明し、現在は保健所の指導の下、自宅で隔離生活を送っている。彼の家では予約が取れなかったため誰もワクチンを接種していなかったそうだ。この一家に起きたことは一つの縮図であり、同様の事態は日本の2万を超える家庭でも見られた。新型コロナに感染した妊婦が受け入れ先となる病院を見つけられなかったため自宅で早産し、直ちに手当てを受けられなかった赤ちゃんが亡くなるという悲劇すら起きている。
感染の予防・封じ込めは、日本社会全体が団結して初めて乗り越えられる課題だということは疑いようがない。だが、記者をしているある友人は私に「今後しばらくの間、感染対策が日本の政治家の最重要事項でないことは明らかだ。9月に衆議院の解散はあるか、11月の総選挙で自民党は勝てるか、菅義偉首相は続投できるのか。これらこそが重点だ」と告げた。もちろん、3日後に東京パラリンピックは予定通り開催される。
1人の在日外国人として、私は現地の事情について自分の考えをあまり述べたくない。ただ、感染拡大を成り行きに任せることは国民に受け取れない球を投げることだということを日本の政治家に分かってもらいたい。
■筆者プロフィール:呂 厳
4人家族の長男として文化大革命終了直前の中国江蘇省に生まれる。大学卒業まで日本と全く縁のない生活を過ごす。23歳の時に急な事情で来日し、日本の大学院を出たあと、そのまま日本企業に就職。メインはコンサルティング業だが、さまざまな業者の中国事業展開のコーディネートも行っている。1年のうち半分は中国に滞在するほど、日本と中国を行き来している。興味は映画鑑賞。好きな日本映画は小津安二郎監督の『晩春』、今村昌平監督の『楢山節考』など。
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