オーストラリア産鉄鉱石への依存が中国の「戦略的弱点」に?―米華字メディア

Record China    2021年8月25日(水) 7時20分

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23日、米華字メディア・多維新聞は、オーストラリアとの対立が続く一方で同国からの鉄鉱石輸入依存から脱却できない中国が、新たな手を繰り出そうとしていると報じた。写真はオーストラリアの採鉱所。

2021年8月23日、米華字メディア・多維新聞は、オーストラリアとの対立が続く一方で同国からの鉄鉱石輸入依存から脱却できない中国が、新たな手を繰り出そうとしていると報じた。

記事は、中国が昨年オーストラリアに対して経済的な「懲罰」を与えて以降、オーストラリアの農作物対中輸出が激減した一方で、鉄鉱石の対中輸出は量、金額ともに増え続けており、同国からの全体的な対中輸出がかえって増加する事態になっていると紹介。豪メディアや米メディアからは「鉄鉱石の依存が、習近平(シー・ジンピン)氏の戦略的な弱点になっている」との見方が出ていると伝えた。

そして、オーストラリアにとって鉄鉱石輸出の増加だけでは農作物輸出激減の損失を補填するには不十分であるものの、中国の「懲罰」の効果は大幅に軽減されているとともに、中国はオーストラリアへの鉄鉱石依存により鉄鉱石価格を決定する上での発言権を十分に得られていない状況が露呈したと説明。「発言権を奪うためには、依存状態を脱却しなければならず、中国政府は鉄鉱石関連政策を打ち出すことが急務になっている」とした。

一方で、中国がこれほど大量の鉄鉱石を輸入しなければならない理由は、ここ数十年の急速な工業化、インフラの現代化による鉄鋼の需要が世界で最も旺盛であるのに対し、国内の鉄鉱石資源が不足しているためであると指摘。「つまり、中国の現代化需要が落ち着けば輸入は減ることになる。大規模なインフラ建設が一段落し、製造業のモデルチェンジが実現すれば鉄鋼の需要は早晩低下する。ただ、短期間のうちに需要をコントロールすることは難しく、中国にできるのは価格の発言権を得るべく努力することなのだ」と論じている。

その上で、中国は国内の鉄鋼業企業の再編に着手し、世界的な鉄鋼産業企業を複数つくって世界10大鉄鋼会社のうち7社を中国企業が占めるという状況を生み、価格の発言権を奪いにかかったと説明。確かにこの施策が奏功して世界の鉄鉱石価格は一時下落するとともに、中国企業による積極的な国外投資による資源確保によってオーストラリアへの依存から脱却の手がかりを掴んだものの、新型コロナの流行によって鉄鉱石の価格は今年に入って高騰、中国企業の利潤が増える以上に鉄鉱石企業が儲かる状況になってしまったと伝えた。

記事は、鉄鋼価格の高騰を抑えるために中国政府が4月と7月にそれぞれ鉄鋼製品の輸出関税を引き上げ、税還付を廃止する措置を講じたと紹介。さらに、熱間圧延鋼などの輸出関税を10〜25%引き上げることも検討しているとの報道も出ているとし、今年に入って増えている鉄鋼製品の輸出に規制をかけることで「国内市場における鉄鋼価格を下げられるとともに、鉄鉱石の輸入抑制にもつながる」と解説した。そして、中国が鉄鋼輸出を規制することによる国際的な鉄鋼価格上昇については「中国政府が考慮する問題の範囲外だ」とした。

「時代遅れな鋼鉄生産の淘汰、業界再編による世界クラスの鉄鋼企業出現、鉄鋼製品輸出制限、そしてアフリカの鉄鋼資源確保、さらには廃鋼の再利用というコンボに、中国の大規模なインフラ完成が加わることで、中国にとってのオーストラリアの鉄鉱石という『戦略的弱点』は克服されることになるだろう」と記事は結んでいる。(翻訳・編集/川尻

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