2021年9月3日、韓国・JTBCは「韓国で初めて、消防車が路上駐車された車を押しのけて出動するケースが確認された」と伝えた。

記事によると、ソウル市内のある住宅地下で今年4月11日、火事が発生した。すぐさま消防当局が出動したが、違法駐車された車のため狭い路地を通り抜けることができず、ドライバーとも連絡がつかない状況だったという。

現場指揮官は悩んだ末に「一刻も早く鎮火しなければならない」と判断し、消防車のサイドを当該車両に擦りつけて押しのけ、路地を通過した。現場には火災に気づかず寝ている住民もいたが、全員無事に救出することができたという。

今回の事例は、緊急時に駐停車車両を強制的に撤去させたり移動させたりできる「強制処分」条項が18年6月に消防基本法にできて以来、初めて適用されたものだという。「強制処分」は、緊急時に消防車の進入を妨げる違法駐車が何度も問題になったことから制定された条項で、特に17年の忠清北道（チュンチョンブクト）堤川（チェチョン）市のスポーツセンターの火災事故が大きなきっかけとなったという。当時、違法駐車車両により消防車が進入できず、29人の死亡者が発生していた。

しかし「強制処分」制定後も、苦情などの後続措置に関する懸念が出ていた。現場では「車両破損の補償などに負担を感じる」という意見もあり、「具体的な制度改善が必要だ」との声も出ていたという。

なお今回は韓国消防庁が後続措置を引き受けたという。

韓国のネット上では「痛快だ」「これが正しい」「いいね。これを機に違法駐車の車をみんな押しのけよう」「実行してこそ法律！。現場指揮官の素晴らしい判断だった」「当然のことができるようになってうれしい。車より人の命が優先。米国はパトカーだって押しのけて進むよ」など喜ぶ声が相次いでいる。

違法駐車車両の持ち主に対しては「違法駐車したのなら、少なくとも連絡には気を使うべき」「駐車料金も払えない人がなんで車を運転してるの？」と厳しい声が寄せられている。

その他「道路交通法に、違法駐車車両は緊急状況による車両破損に対する責任を問うことができないと追記しよう」「公務執行妨害で処罰し、消防車の修理費も科す必要がある」などと提案する声も上がっている。（翻訳・編集/松村）