Record China 2021年10月11日(月) 8時0分
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香港誌「亜洲習慣」は経団連の有力会員でもある日本の巨大企業を率いる経済人5人による、岸田首相に対する期待や日中関係の展望を紹介する記事を発表した。写真は東京都内の風景。
香港誌「亜洲週刊」はこのほど、ANA、JR東日本、日本製鉄、富士通、みずほフィナンシャルグループといった、経団連の有力会員でもある日本の巨大企業を率いる経済人5人を取材し、岸田新首相に対する期待や日中関係の展望などを紹介する毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。「亜洲週刊」は1987年の創刊で、中華圏をはじめとする世界各地の時事問題を幅広く取り扱っている。大きな関心を集める記事も、これまで数多く発表してきた。
記事によると、ANAホールディングスの片野坂真哉代表取締役社長は岸田首相について、4年間の外相経験もあり経済に精通する政策通と評価。さらに、「米国であれ中国であれ、いずれも日本にとって重要なパートナーであることを極めてよく理解している」との認識を示した。さらに、アジア地区及び中国、韓国、東南アジア諸国などとの一部の外交問題を、成熟した外交手段で解決することは、外相としての経験が豊富な岸田新首相の使命との考えを示したという。
片野社長はさらに、ANAは(1960年代から日中の関係構築に尽力した)岡崎嘉平太元社長らのように、日中の友好交流では歴史の積み重ねがあると説明。「中国は私どもにとって非常に重要なパートナーです」と論じた上で、コロナ禍を早期に脱して、中国人観光客が来日し、日本人ビジネス関係者や観光客が訪中する状況を実現させたいと述べた。そのためには、外交ルートを通じて、日本で感染症が抑制されたとの情報を伝え、日中間の航空便を復活させる必要があると論じたという。
JR東日本の冨田哲郎取締役会長は、日本では経済全体の閉塞感が強いと説明。岸田新政権には、政策を転換して将来に期待できる新たな社会のモデルを作ってほしいとの期待を示したという。
冨田会長は、JR東日本は鉄道分野で中国と多くの交流をしてきたと説明。現在の交流はかつてほどではないが、それでも日中両国が鉄道分野で切磋琢磨して、アジアの鉄道の世界における比重を大きくし、互いに研究を重ねることで発展を促進し、世界に貢献していきたいとの関係を示したという。冨田会長はさらに、中国人観光客が来日して交流することは非常に重要と述べ、今後もさらに日中間の交流を増やし理解を含めることは、日中両国にとってだけでなく、世界に対して有益との考えを示したという。
記事は日本製鉄について、中国の改革開放の初期に上海宝山製鉄所の建設を積極的に支援した企業と紹介。同社の橋本英二代表取締役社長は、日中の経済関係は疑う余地なく強まっており、岸田新政権は政治や防衛などで従来とは異なる政策を打ち出すかもしれないが、経済面ではこれまで以上に中国との協力が深まっていくとの考えを示したという。
橋本社長はさらに、技術分野において日中間の競争があることは当然として、中国は知的財産権の分野でより厳格な管理が必要との考えを示した。橋本社長はまた、過去にはいくつかの技術流出があったと論じた上で、今後は相互の知的財産権についての位置づけを確定した上で、より深く幅広い経済交流を展開すべきと主張したという。
橋本社長は、中国なしでは世界のサプライチェーンが失われるとの考えも示した。その上で、米中間には貿易についての対立があるが、米中間の貿易が増加していることも現実であると指摘したという。
製鉄分野における日中関係について橋本社長は、日本は常に、中国にはない新技術を打ち出していく必要があると指摘。中国は日本程度の人口規模の市場を必要としていないが、日本にとっては中国市場が必要と論じた上で「中国が必要とする技術をわれわれが持っていなければ、日中間の経済交流を拡大することはできない」と述べたという。
富士通の時田隆仁代表取締役社長は取材に対して、繁栄して光輝く未来の社会にむけて、今最も重要なことは、感染症からいかに回復し、いかに共存し、社会と経済に活力をもたらしていくかということと説明。「この難関を突破し、デジタル化された持続可能な社会を構築するために、全力を尽くします」と述べたという。
富士通は2017年に中国のレノボと戦略パートナーの関係を構築しており、パソコンについて全世界における両者の競争力を向上させてきた。記事によると時田社長は中日関係について、消極的な態度で見ていてはならず、積極的な態度によって未来志向の考えを持たねばならないと表明。経済分野においては特に、(日中が)さらに深く協力を展開すべきと考えており、岸田首相が国のかじ取りとして、経団連との連携をさらに進め、産業界の力を結集する役割を果たすことを考えているという。
記事はみずほフィナンシャルグループについて、日本の銀行金融界の三大巨頭の一つと紹介。同グループの佐藤康博取締役会長は、岸田首相の新たな経済政策や社会政策、安全保障はこれまでの流れを継承するもので非常に安定しており、「経済界の本音として、非常に安心している」と述べたという。
佐藤会長は、日本は少子高齢化やデジタル化の推進など多くの課題を抱えており、岸田首相が真のリーダーとしての役割を果たせるのか、問題を解決する決断力を持っているかどうかが最大のポイントとの考えを示した上で、「全体として、岸田首相が見ている方向感覚は経済界と同じであり、歓迎したい」と述べたという。
佐藤会長は、中国という巨大市場は今後も発展していくとの考えを示し、自分は日中投資促進機構の会長も務めていると紹介した上で「中国市場に進出する企業は毎年増えており、現時点で1万数千社に達した。毎年増加する基調は変わっていない」と述べたと言う。
佐藤会長は米中貿易摩擦や、さらに自由で開かれたインド・太平洋戦略、さらに日米豪印戦略対話(Quad)の問題については「両面配慮」が必要と述べ、「政治、防衛、技術(機密)などの面で米国の意見を聞く必要があるのはやむを得ない現実」と論じた上で、日中協力の基調は変わらず、中国の市場は極めて重要であり、中国とは今後も良好な関係を維持していく必要があるとの考えを示したという。(翻訳・編集/如月隼人)
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