人民網日本語版 2021年10月23日(土) 6時30分
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国際的な生産・サプライチェーンは引き続き新型コロナウイルス感染症の打撃を受けている。資料写真。
「店に行っても欲しい商品が見つからないことはないか。そんな人はあなただけではない」。米紙USAトゥデイはこのほど、米国の複数の地域で最近起きている品不足の問題を報道した。それによると、クリスマスや年末のショッピングシーズンの訪れが近づくが、国際的な生産・サプライチェーンは引き続き新型コロナウイルス感染症の打撃を受けており、多くの米国民が例年のように思い通りのホリデーシーズンのギフトを買うことができない可能性があるという。中国青年報が伝えた。
このような年の瀬を迎えそうなのは米国だけではない。欧州では英国やドイツなどの多くのスーパー、日用品店、ホームセンターで棚ががらんとした情景が見られる。アジアでは日本が食品、タバコ、サービスの一斉値上げを行い、長年続いたデフレ局面が変化する可能性がある。韓国のファストフードチェーン店で出される冷凍フライドポテトは米国からの輸入の割合が高く、多くの店舗で長期にわたり仕入れ不足や仕入れ停止の状態が続いている。ベトナム、マレーシア、タイなどの国は多くの工場が操業を停止し、東南アジアから世界に運ばれるアップルのスマートフォンやナイキのスニーカーなどはいずれも供給が停滞するリスクに直面する。また、サプライチェーンで起きた問題に今年の冬は「厳冬」の予想が加わって、世界の天然ガス、石炭、電力など原油を補完する製品の価格が高騰するとみられ、このことが原油価格の高騰を招いている。
一部の見方によると、世界は今、ばらばらになった経済システム、新型コロナによるサプライチェーンへの打撃、国家間の不信感に直面し、各国は自給自足の道を進もうとしている。しかし中国現代国際関係研究院世界経済研究所の倪建軍(ニー・ジエンジュン)副所長は、「複数の国のサプライチェーンの末端が同時に苦境に陥ったことは、グローバル市場が相互につながっていることをありありと証明した。一部の国があの手この手を使って閉鎖的で排他的な『小集団』を作ろうとしても、グローバル市場が1つの大きな市場であることに変わりはない。サプライチェーンのどの部分に問題が起きても、必ず全体の物流の流れに影響する」と指摘した。
■「サプライの苦境」は短期間での解消は難しい
倪氏は、「このたびのサプライチェーン危機の発生と広がりは、従来の先進国の生産・供給が効率を重視しすぎており、長期的な強靭性をおろそかにした結果、感染症でサプライチェーンの弱い部分が急速に明らかになったことを物語っている。自分の判断では、短期間でニーズの大きさ、労働力不足、輸送の遅延、輸送費用の高騰といった一連の問題を処理しようとしても容易ではなく、急速に回復する消費ニーズと停滞したサプライとの間の矛盾は、短期間で徹底的に解決することは難しく、中長期的な流れがどうなるかしばらく様子を見る必要がある」とした。
サプライチェーンの混乱した状況がこれから緩和されるかどうか、国際社会の見方は一致していない。格付け会社のムーディーズは、「各国の感染症対策の措置と効果には差があり、世界はグローバル物流・輸送ネットワークの安定した運営を確保するために一致協力しようと努力する姿勢を欠き、サプライチェーンの中断問題はさらに『激化する可能性』がある」とした。英紙フィナンシャル・タイムズはJPモルガン・チェースのジェームズ・ダイモン最高経営責任者(CEO)の発言を引用して、「今は最悪の時期で、巨大な市場システムはこれから自律的に調整されていくだろう」と予想した。しかしバンク・オブ・アメリカとウェルス・ファーゴの上層部は、「われわれは最初、労働力と原材料の不足の影響を過小評価している」と指摘した。
現在のサプライチェーンの危機に対処するため、複数の国が行動を取っているが効果はあまり上がっていない。シンガポール紙・聯合早報は、「供給チェーン全体の生態圏の協同する力を再構築するのは優しいことではない。複雑で変化に富んだリスク要因と制約要因をよりよく分析しなければ、グローバルサプライチェーンが大混乱に陥った状況を早急に緩和することはできない。今回の教訓を受けて、各国政府はサプライチェーンの再編と管理を加速するべきで、企業もリスク分散の議論と計画を真剣に進めなければならない」と分析した。
■中国がグローバルサプライチェーンで果たす役割が顕在化
グローバルサプライチェーンが「閉塞」する中で、中国の対外貿易が力強い強靱性を見せている。税関総署が13日に発表したデータを見ると、第1-3四半期(1-9月)の中国物品貿易輸出入額は前年同期比22.7%増の28兆3300億元に上り、2019年同期と比較すると、輸出入は23.4%増、輸出は24.5%増、輸入は22%増だった。中国と欧州連合(EU)、米国、日本、韓国との輸出入はいずれも2けたの増加をキープした。
ロイター通信の分析によると、常態化した感染症対策が効果的に行われ、工業体系が整ったことが、中国の輸出にとって力強い支えになったという。
世界の製造業の中心地とグローバルサプライチェーンのハブとしての中国は、このほど第130回中国輸出入商品交易会(広交会)を成功裏に終えたばかりで、中国内外の企業約2万6000社が参加した。
分析によると、中国は今、グローバルサプライチェーンシステムに積極的に溶け込むとともに、グローバルサプライチェーンの参加者からグローバルサプライチェーンの推進者へと徐々になっているという。
前出の倪氏は、「中国の産業チェーンの完全性、強靱性、柔軟性は新型コロナの試練に耐え抜き、中国がグローバルサプライチェーンで果たしたチェーンを安定させる役割はますます他国では代替不能なものになっている。これからは、自国のサプライチェーンのセキュリティーレベルを引き上げ、サプライチェーン末端における短期的な不足がもたらした影響を緩和するために、国内の大きな循環を主体としつつ、国内と国際的な2つの循環『双循環』が相互に促進し合う新たな発展構造を早急に構築し、国際貿易サービスの業態と生態システムを整備し、企業が海外でより多くの販売ルートとサービスネットワークを構築するよう奨励し、越境EC、海外倉庫、貿易デジタル化などの新業態と新スタイルをバックアップする必要がある」と述べた。
中国商務部の束珏婷(シュウ・ジュエティン)報道官は9月2日、「現在、中国の海外倉庫は1900カ所を上回り、総面積は1350万平方メートルを超え、業務の範囲は世界中に広がり、うち北米、欧州、アジアなどのエリアにある海外倉庫が90%近くを占めている」と説明した。倪氏は、「中国の対外貿易と物流の強靱性向上における経験は、多くの国にとって非常に参考になるものであり、世界での推進に値するものだ」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)
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