新疆ニヤ遺跡が中国考古学「百年百大考古発見」に選出された

小島康誉    2021年10月30日(土) 18時0分

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ニヤ遺跡はタクラマカン沙漠南縁の民豊から約100km北上した一帯に所在している。1988年、中古トラックで1日、ラクダで3日を要して遺跡に到達した。

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先週、在日中国人と会食した。よもやま話がひと段落したあと彼らのスマホを通じて、その父親と話した。彼も親友である。「小島隊長おめでとう!貴方が心血をそそぎ中日隊員が奮戦したニヤ遺跡調査が『百年百大考古発見』に選ばれた。人民日報などに載っている。習近平国家主席も祝辞を寄せている」と数千キロ彼方から笑顔で吉報を届けてくれた。コロナ禍で外出へり髭面だった。

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帰宅し「百度」で検索。10月18日、中国河南省三門峡市で第3回「中国考古学大会」が開催され、国家文物局(文化庁相当)・中国考古学会など主催により、中国考古学100年を記念し「百年百大考古発見」が発表された。北京原人が発見された北京周口店遺跡や始皇帝陵・敦煌莫高窟などとともに、日中隊が「五星出東方利中国」錦を発掘した「新疆ニヤ遺跡」も選出されたと。中国側隊長へ祝意を伝えた。昨今の日中関係にあって、日中が協力した考古調査が評価されたことは明るいニュースと喜んでいる。

「1995年中国十大考古新発見」「20世紀中国考古大発見100」「出国展覧禁止文物指定」につづく栄誉である。ニヤ調査を発起した一人として、そして日本側隊長として、感謝するばかり。日中共同ニヤ遺跡学術調査(中国国家文物局批准・日本文科省助成)は1988~97年、佛教大学・龍谷大学・京都造形芸術大学・京都大学・早稲田大学・北京大学・中国科学院・中国社会科学院・新疆文物局・新疆文物考古学研究所などの日中専門家多数の尽力でタクラマカン沙漠で大規模調査を敢行。その後も研究・報告書・国際シンポジウム・Webなどを通じて成果を発表し続けている。拙著『21世紀は共生・国際協力の世紀 一帯一路実践談』(レコードチャイナ)でも紹介している。


ニヤ(尼雅)遺跡はタクラマカン沙漠南縁の民豊から約100km北上した一帯に所在している。1988年、中古トラックで1日、ラクダで3日を要して遺跡に到達した。


ニヤ遺跡は『漢書・西域伝』に登場する「西域36国」の「精絶国」。前1世紀頃から5世紀頃まで、都市国家として交易で栄えた。東西約7km・南北約25km(周辺ふくむ)の広大な範囲に寺院・役場・住居・生産工房などの遺構が200以上残存している。


日中共同ニヤ遺跡学術調査は1988年から1997年にわたり大規模調査を敢行した。日中双方の考古学・仏教学・地質学・建築学・木質科学・保存科学など多領域の専門家多数が参加した。


計画から始まり契約・中国政府許可を経て現地調査開始。調査は分布調査から始め撮影・測量・発掘へと進んだ。1995年調査で「五星出東方利中国」錦を発掘。当時の新疆と中原王朝が政治・経済・文化面で密接な関係であったことを物語る国宝。


大沙漠での調査は過酷。明け方は零下10度、昼間は40度近い。朝は前夜の残りの羊肉を御粥にぶっかけ、昼は硬いナンとソーセージを水で流し込み、夜は羊丼、テントで雑魚寝の3週間。


ニヤ遺跡中心に位置する仏塔、世界平和と調査の安全を願い礼拝する筆者。(以上6点写真提供:佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構)

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■筆者プロフィール:小島康誉 1942年名古屋市生まれ。佛教大学卒。浄土宗僧侶、日中理解実践家。66年宝石専門店を起業し上場企業に育て上げ、96年創業30周年を機に退任。1982年より中国新疆を150回以上訪問し、世界的文化遺産保護研究・人材育成など国際協力を多数実践。佛教大学客員教授を歴任し現在、佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表、新疆ウイグル自治区政府文化顧問。編著『新疆世界文化遺産図鑑』『中国新疆36年国際協力実録』など。日本「外務大臣表彰」・中国文化部「文化交流貢献賞」・中国人民対外友好協会「人民友好使者」ほか受賞多数。 ブログ「国献男子ほんわか日記」 書籍はこちら(amazon)

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