中ロ海軍の艦隊が日本列島周回、海自元幹部「日本は単独で台湾海峡通航してよい」

亜洲週刊    2021年10月31日(日) 7時10分

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香港メディアの亜洲週刊は、中ロの合同艦隊が津軽海峡を通って太平洋に抜け、南下・西進して大隅海峡を抜けて東シナ海に航行したことについての自衛隊の元高級幹部の見方を紹介した。写真は中ロ艦隊の様子。

中国とロシアの軍艦10隻からなる艦隊が18日、津軽海峡を通って太平洋に抜けた。中ロの合同艦隊は本州沖を南下・西進して大隅海峡を西に進んで東シナ海に入った。香港メディアの亜洲週刊は同件についてこのほど、日本の海上自衛隊の高級元幹部が、日本は米軍とは別に単独で台湾海峡を通航してよいなどの考えを示したと紹介する記事を発表した。

18日に津軽海峡を抜けた中国のロシアの合同艦隊は、21日には伊豆半島沖に到達した。それまでに、艦載ヘリを飛ばすなどしたという。合同艦隊は22日には四国の足摺岬の南方約180キロの海上を通過した。艦隊はさらに西進し、九州本島と南西諸島の間の大隅海峡を通って東シナ海に入った。23日午前には、長崎県男女群島の南東約130キロで、中国の最新型ミサイル駆逐艦からヘリを発進させたことも確認されたという。

亜洲週刊記事は、日本の岸信夫防衛相が26日の記者会見で、中ロ海軍の艦隊の行動について、「極めて異例でまれ」と述べた上で、目的については「日本への威嚇」との考えを示したと紹介した。

海上自衛隊出身で統合幕僚長を務めた経験もある河野克俊氏は亜洲週刊の取材に対して、中ロ艦隊の行動は「日本にとって非常に不快で不安」と述べ、「中国は自国の軍事行動に慎重であらねばならない」とも主張した。一方の日本については「海上自衛隊の艦船が国際海域である台湾海峡をこれまで一度も通航したことがない。台湾問題についての中国大陸の立場に配慮してきたからだ」と述べたという。

河野氏は、日本・米国オーストラリア・インドによる戦略対話メカニズムのQuadなどについて、中国が海洋での軍事活動を急速に拡大していることが、4カ国の一体化を促進したと説明。河野氏が統合幕僚長を務めていた時期には「米やインドと日本、そしてオーストラリアは分散した状態だった」という。

さらに、台湾問題については「平和的な手段での解決を期待」と述べる一方で、「中国大陸が武力統一を試みて現状を変更すれば、日本の安全保障に影響が出るのは当然だ。日本が座視することはもちろんなく、必然的に対応せねばならない」と述べたという。

亜洲週刊記事はさらに、航空自衛隊教育集団司令官を務めた経験のある小野田治氏は、中ロ艦隊の行動について、日米など6カ国が最近になり沖縄南西で合同軍事演習をしたことへの不満を示したと述べたと紹介した。小野田氏によれば、中国と米国は「お前が一発殴るなら、オレは必ずお返しをする」という方法をとりがちだが、「日本は自制心が強く、争いの激化を避けようとする」という。小野田氏はその上で、日本に真の危機が迫れば反撃するのは当然であり、日本は中国に対して、そのことに注目させる重要なシグナルを発信して、日本の懸念をしっかりと伝える必要があると論じた。

海上自衛隊の自衛艦司令官を務めた経験のある香田洋二氏は、「国際法により、日本の自衛艦が台湾海峡を通過できることになっているのは明確」と述べた上で、日本は中国から挑発とみなされたくないから、その権利を行使していないと説明。中ロ合同艦隊のこのたびの行動は「台湾問題についての日本に対する不満」を示したものとの考えを述べた上で、「逆効果の可能性がある」と指摘したという。

香田氏によれば、日本は自衛艦を台湾海峡を通過させる可能性があり、技術面としてもいつでも可能だ。その場合には日米が共に行動するのか日本の単独行動かとの選択肢があるが、香田氏は「中国は日本を米国についていくしかない小さな従者と認識している」と述べた上で、日本の自衛艦は単独で台湾海峡を通過した方がよいとの考えを示したという。(翻訳・編集/如月隼人

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