デジタル人民元、国際金融競争の新たな先端分野に―中国メディア

人民網日本語版    2021年11月5日(金) 6時40分

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ここ1年ほどで最もトレンディーな決済方法と言えば、デジタル人民元に及ぶものはないだろう。

ここ1年ほどで最もトレンディーな決済方法と言えば、デジタル人民元に及ぶものはないだろう。2020年10月、デジタル人民元の外部コントロール可能なテストが深セン市羅湖区で初めて行われ、中国のデジタル人民元の大規模な公開テストの幕が開いた。その後、テストの取り組みは全国の複数の都市で勢いよく進められ、多彩な応用シーンがさまざまな場所で花開いた。人民元国際化というチャンスの追い風を受けて、今後のデジタル人民元の国境を越えた応用に期待が広がる。北京日報が伝えた。

■複数のシーンでテスト、交通分野では低炭素の交通移動をサポート

北京ではこのほど第3期デジタル人民元テスト活動がスタートし、交通移動シーンに焦点を当て、北京在住の消費者が対応する銀行でデジタル人民元ウォレットを開通すれば、決済における優遇サービスを受けられ、1分(1元の100分の1、1元は約17.8円)の支払いから使えるようにした。普通のキャッシュカードほどの大きさで、デジタルインクの表示窓が付いた「情報が見えるハードウォレット」を使えば、シェア自転車の鍵にかざすだけでロックを解除できる。これはデジタル人民元の最新の応用シーンだ。北京の交通移動分野では、デジタル人民元は発展のタイミングを迎えており、地下鉄や路線バスに乗車する、シェア自転車を利用する、北京首都国際空港で買い物をするなどのシーンで、北京市民はデジタル人民元による決済を利用できる。

中国銀行業協会がこのほど発表した「2021年度中国銀行業発展報告」によると、21年6月末現在、デジタル人民元テストシーンは132万カ所を超え、暮らしの各種料金支払い、飲食サービス、交通移動、ショッピング消費、公共サービスなどの分野をカバーした。ネットワークに接続しなくても、スマートフォンを開いてコードをスキャンしなくても、スマホやカードなどのハードウォレットを端末にかざすだけで、無人スーパーで買い物し、無人の路線バスにテスト乗車し、複数の外貨と直接交換し、複数の公共サービスを体験することができる……全国各地で、デジタル人民元テストの新たな利用シーンがどんどん増えている。

■多くの企業が進出、暮らしへの応用の可能性をさらに開拓

デジタル人民元テストが深く推進されるその背後では、多くの銀行、プロバイダー、テクノロジー企業がこの分野に続々参入し、複数の分野でイノベーションを達成している。

このほど開催された金融街フォーラム年次総会2021では、複数の銀行がブースを設置し、来場者はさまざまなデジタル人民元ハードウォレットの最新の応用をいち早く体験することができた。中国銀行が展示したスキーグローブは実はデジタル人民元ハードウォレットで、北京冬季五輪・パラリンピックの期間中、これを着用した選手は端末にかざすだけで決済が完了する。展示会場で、来場者はデジタル人民元アプリ「ソフトウォレット」をダウンロードすることができ、こうしたデジタル人民元の新規ユーザーは大手商業銀行があの手この手で新規顧客を獲得するための重点になっており、各行ともさまざまな形態の「ハードウォレット」を設計して、デジタル人民元を暮らしの中により一層溶け込ませようと力を入れている。

中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行、中国郵貯銀行の6大国有銀行と網商銀行、微衆銀行の2つの民間銀行は、すでに複数タイプのハードウォレットの媒体を開発した。中国電信(チャイナ・テレコム)と中国移動(チャイナ・モバイル)の通信キャリア2社もそれぞれデジタル人民元ウォレットを打ち出した。

「ダブル11」(11月11日のネット通販イベント)が近づき、京東はデジタル人民元による決済に対応するようにし、ユーザーにはデジタル人民元の「紅包(ラッキーマネー)」やクーポン券が当たるチャンスがあると発表した。華為(ファーウェイ)技術有限公司はこのほど工商銀行との協力を発表し、デジタル人民元ウェアラブルデバイスによる決済プロジェクトをスタートすることを明らかにした。美団のシェア自転車事業はすでにデジタル人民元の追い風に乗り、北京、上海、海南、深セン、蘇州などのテストエリアで働き、生活するすべての人を対象に、デジタル人民元のラッキーマネーが当たればグリーンなサイクリングができるキャンペーンを実施し、キャンペーンがオンラインでスタートしてから1カ月で100万人を超えるユーザーが抽選に参加したという。

■複数の地域がデジタル人民元のテスト参加を申請

中国人民銀行(中央銀行)の発表によると、20年10月末現在、デジタル人民元のテストエリアに上海、海南、長沙西安青島、大連の6カ所が加わった。これまでの深セン、蘇州、雄安新区成都、北京冬季五輪・パラ会場を加えれば、デジタル人民元テストは「10+1」の局面が形成された。最近は天津市、広州市、義烏自由貿易試験区、湖南省なども、テストへの参加申請を推進すると相次いで明らかにしている。

中国人民銀行調査統計司の阮健弘司長(報道官)が先に述べたところによると、これまでに行われたテストの状況から考えて、中国のデジタル人民元テスト施行範囲が秩序立てて拡大し、応用スタイルが持続的に刷新され、システムの運営状況は全体的に安定しているという。

デジタル人民元のテスト応用にはこれからさらに、どのような新たなブレークスルーがあるだろうか。フィンテック専門家の蘇莜芮氏によると、今後のデジタル人民元はコミュニティーサービス、社会保障や医療、企業のビジネスや貿易など、より細分化された特色あるシーンでさらに応用の開拓が進むだろうという。

現在、世界の中央銀行はデジタル通貨分野で激しい競争を展開しており、デジタル通貨は未来の国際金融競争における究極の場になりつつある。中国インターネット金融協会ブロックチェーン研究チームの李礼輝チーム長(中国銀行元頭取)はこのほど公開の場で、「デジタル人民元を世界で最も優れた中央銀行のデジタル通貨にしたい。これは金融包摂の推進にプラスになるだけでなく、デジタル経済時代にグローバル通貨金融システムのバランスと協調を促進し、中国の通貨主権を守り、中国の金融の安全を守り、中国の国家としての実力をさらに高める上でもプラスになる」との見方を示した。(提供/人民網日本語版・編集/KS)

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