ソロモン諸島の大暴動は中国に責任? 中央政府は親中で地方政府は親台湾―独メディア

Record China    2021年11月28日(日) 16時0分

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ドイツメディアのドイチェ・ベレは26日、南太平洋の島国であるソロモン諸島で発生した大規模な暴動について「中国に責任があるのか」と考察する記事を発表した。写真はソロモン諸島の国旗。

ドイツメディアのドイチェ・ベレは26日、南太平洋の島国であるソロモン諸島で発生した大規模な暴動について「中国に責任があるのか」と考察する記事を発表した。ソロモン諸島のホニアラでは、中国人が経営する商店が略奪されたり放火される事件も発生しているという。

暴動は24日に始まり、26日にも一部地域で発生した。ソロモンと安全保障条約を結ぶオーストラリアは26日までに、要請を受けて治安維持のため100人以上の軍や警察の要員を派遣した。

暴動は、ソガバレ首相の退陣を求めるデモの参加者が暴徒化することで発生した。中国寄りの外交方針への不満が背景にあると報じたメディアもある。

ソロモン諸島は1900年に全域が英国の植民地になったが、第二次世界大戦中には日本軍が占領した。日米両軍の激戦の地になったガダルカナル島も、ソロモン諸島を構成する主要5島の一つだ。ソロモン諸島は戦後、英連邦などの加盟国として78年に独立した。

独立後は中華民国(台湾)と外交関係を結んでいたが、2019年にはソガバレ首相が対外関係の全面見直しを表明。その結果として同年9月に中国(中華人民共和国)と国交を樹立し、台湾とは断交した。

同国ガダルカナル島では1990年代、隣のマライタ島からの移住者が増加していた。その結果、元からいた住人と移住者との間で、暴力的衝突が多発するようになった。移住者側は自衛のためとして、武装組織であるマライタ・イーグル・フォース(MEF)を結成した。

MEF は2000年、当時のバーソロミュー・ウルファアル首相を誘拐した。ウルファアル首相はマライタ島出身だったが、MEFはその政策は不十分として、納得しなかったという。ウルファアル首相は首相辞任と引き換えに解放された。

現在もソロモン諸島社会は分裂と対立が続いている。たとえば中央政府は「親中国」だが、マライタ州現地政府は台湾支持であることなどだ。

ドイチェ・ベレによると、オーストラリアに本部を置く国際政治などについてのシンクタンクであるローニー・インスティテュートに所属する太平洋諸国の専門家であるジョナサン・プライク氏は、ソロモン諸島の混乱の根本的な原因は、過去数十年間で社会構造が崩壊したことであるとの考えを示した。島と島、民族と民族の緊張関係が高まったことだ。

例えばガダルカナルとマライタ島では資源の共有が実現しておらず、貧困が一般化し、若者の失業率は高いという。マライタ島住人に親台湾感情が存在するのは事実だが、実際には中央政府への不満から生じた感情という。

プライク氏によると、ソロモン諸島が19年に中国と国交を結んだことが、自国の利益に結び付くかどうかは、まだ結論を出せない。というのは、20年に新型コロナウイルス感染症の流行が始まったことで、中国企業の対ソロモン諸島投資や、現地での経済活動が大きく制限されているからだ。(翻訳・編集/如月隼人

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