〈私が見た新疆ウイグル自治区7〉新疆の資源と産業は?

小島康誉    2021年12月18日(土) 16時30分

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石油基地を視察する伊藤忠商事の中澤忠義副社長一行(赤シャツ左が中澤副社長、赤シャツ右が李東輝新疆政府副主席。撮影:筆者)

各分野で強国化を進める中国の重要な「資源」のひとつが広大な国土であるように、新疆ウイグル自治区にとっても広い土地(約166万平方km=中国の約6分の1、日本の約4.4倍)は基本資源であり、下記のような各種資源も広い大地のたまものである。

水資源:新疆はユーラシア大陸の腹部に位置し、海洋からはるかに隔たっているため、典型的な乾燥・半乾燥地帯。年間降雨量は北部100~500ミリ、南部25~100ミリにすぎず、新疆の経済発展を制約している。アルタイ・天山・クンルン山脈の氷雪が溶け流れ出る水は貴重である。筆者は「訪恵聚」プロジェクトに協力して農業用井戸を阿瓦提・英吉沙などで掘削したが、水資源保護のため厳しく制限されていた。

気候資源:典型的な乾燥・半乾燥地帯であるため風力・太陽光は豊富であり、発電などに活用されている。新疆紹介で必ずと言ってよいほど登場するウルムチ郊外の巨大風力発電所の写真を見られた方は多いだろう。

鉱物資源:ヒマラヤ造山活動などにより新疆では各種鉱物が豊富に産出する。アルタイ山脈の「アルタイ」は「金山」を意味するほどである。またアルタイ山脈は「天然鉱物陳列館」と例えられ、ベリリウム・リチウム・ニオブ・セシウム・ルビジウムなど希少金属を産出する。天山・クンルン山脈にも分布している。クロム鉄鉱は広く分布している。また塩類・石綿・白雲母・膨潤土鉱・玉なども貴重である。石油・石炭・天然ガスは中国全体から見ても特に重要。

動植物資源:話題になっている綿・ブドウ・トマトはじめハミ瓜・リンゴ・クルミ・梨など種類も豊富。薬用にもなる甘草・雪蓮・党参・麻黄・枸杞などもある。羊・牛・馬・ヤク・駱駝などが食用などに活用されている。

森林資源:アルタイ・天山山脈の原生林の多くはシベリアカラマツ・雪嶺トウヒ・針葉柏であり、タリム河流域など方々に「活きて千年、枯れて千年、倒れて千年」といわれる胡楊の森が広がっている。ポプラ・白樺・沙棗・桑なども活用されている。

観光資源:各地に野生動植物を保護し生態環境を維持するため広大な「自然保護区」が設けられている。聳え立つ山々、広大な沙漠、美しい高山湖、シルクロードの名所旧跡、多民族の多彩な風俗と文化などが、内外の人々を引き寄せている。天地・カナス湖・セリム湖・バインブルグ草原・魔鬼城・ヤルダン・交河故城・キジル千仏洞・国際大バザール…など数えきれない。

以上のような資源により各種産業が発展中。農業:小麦・米・トウモロコシ・甜菜・果物などがあり、アブラナ・ヒマワリ・ゴマ・ベニバナなど搾油用作物も豊富。生産量が急増している綿などにともなう紡績業などは重要な位置を占めている。牧畜業:羊・牛を中心に豚・ヤク・馬など。なお、宗教上の理由でウイグル族は豚を食しない。運輸業:広大な新疆では車両・鉄道・航空による運送が欠かせない。鉱業:豊富な各種鉱物の採掘・製錬などが盛ん。鉱物系燃料関連業:新疆のほぼ全域で石炭・石油・天然ガスの開発が行われており、沿海部などへ送られている。商業・貿易:上記のような産品が中国各地や世界各国へ。筆者仲介で伊藤忠商事が事務所を設置したことも。観光業:内外の観光客であふれている。

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
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