人民網日本語版 2021年12月17日(金) 18時40分
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中国の大学生を対象とした調査で、約6割が「ステッカーなしにはチャットができない」と答え、「ステッカーがないと、チャットは生気を失ってしまう」との見方を示した。
牛小犇さんにとってSNSのステッカーは「防御シールド」のようなものなのだという。例えば、好きな女の子に思いを伝える時には、「友達になろう」という文字を「恋人になってください」に変えて、片手を誘うように伸ばすパトリック・スター(アニメ・スポンジ・ボブに登場するヒトデのキャラクター)のステッカーを送る。「そうすれば、万が一振られたとしても、またステッカーを送って、冗談にすることができ、二人が気まずい関係になることもない」と牛さん。中国青年報が伝えた。
呉亜坤さんのフォルダーには616種類のステッカーがずらりと並んでいる。コミュニケーションの調子をとったり、チャットのムードを盛り上げたりと、それぞれのステッカーには役割があり、これにより呉さんがいろんな状況に十分に対応できるようになっている。彼女にとって、ステッカーは自分の感情を表現するツールで、SNSを利用する際の必須アイテムとなっている。
インターネットにおいて、記号を使った「:-)」などの顔文字が使われるようになってから、ディズニーの新キャラクターのリーナ・ベルのステッカーが一世を風靡する現在に至るまで39年が経過した。1982年、米国のカーネギーメロン大学のスコット・ファールマン名誉教授が微笑む絵文字「:-)」を最初に使ったとされている。そして、文字と符合だけがずっと使われていたオンラインの交流の場に、想像力を発揮できる全く新しい空間ができた。その後、記号を横に並べる「顔文字」が登場し、ネット上で表情や気持ちを表す機能が大きく前進した。そして、1999年に絵文字がそのバトンを引き継ぎ、記号を組み合わせて表情を作る方法から、表情の画像化へと大きく舵が切られた。さらに、2006年、中国伝媒大学アニメーション学部の王卯卯さんが作成したウサギのキャラクター「Tuzki」シリーズのステッカーが大ヒットし、ステッカーは「動く」時代に突入した。
各種自作のステッカーがSNSで利用できるようになると、ステッカーは、オンライン上の社交の場において不可欠なツールになっていった。中国青年報・中青校媒が中国全土の大学生4351人を対象に実施したアンケート調査の結果によると、回答者の87.41%が「ステッカーをよく使う」、10.25%が「時々使う」と答え、「あまり使わない」は1.79%、「全く使わない」は0.55%にとどまった。また、約6割が「ステッカーなしにはチャットができない」と答え、「ステッカーがないと、チャットは生気を失ってしまう」との見方を示した。
■画像で気持ちを表せるステッカーがネット上のパラ言語に
学者の李瑋氏は「中国ネット用語発展研究報告」の中で、「ステッカーはインターネット時代のソーシャルメディア分野におけるパラ言語で、その登場と流行は、表情といった他の動物にはない人間特有のコミュニケーションのツールで、それがオフラインからオンラインへと移行されたことを示している」と分析する。
デスクトップパソコンからスマートフォンに至るまで、ステッカーを至る所で目にすることができる。調査によると、回答者の15.88%が「子供の頃からステッカーを使っている」、45.16%が「中学生の時から使っている」、29.97%は「ステッカーが高校生の時に登場した」、8.09%が「大学生になって使うようになった」と答えた。ステッカーはいろんな社交のシーンで活躍している。調査では、回答者の72.72%が「ステッカーを使って自分の気持ちを表現する」、63.57%が「ステッカーを使って友好的な気持ちを表す」、60.49%が「ステッカーを使って気まずい空気を変える」と答えた。
画像の作成技術のハードルが低くなるにつれて、自分でステッカーを作る人も増えている。調査では、回答者の76.21%が「ステッカーを作ったことがある」と答えた。
牛さんのあるクラスメイトはクラスの「ステッカーメーカー」だといい、「彼は細かな点を観察することに長けていて、パンダの顔を友達の顔に変えて、その口癖を添えたステッカーなど、突っ込み系のステッカーを作ることもある。そのようなステッカーはクラスのみんなが保存して使っている」という。
■会話の「潤滑油」や特定のグループ内の「暗号」などオールマイティーなステッカー
先輩やクラスメイトに何かを頼むとき、牛さんは「苦手なので、助けて」と自嘲するセリフが入ったステッカーを送る。牛さんは、よく知っている人とチャットする時は、あまりかしこまったニュアンスになるのは良くないという考えで、ステッカーをうまく活用すると、かしこまった会話を、仲の良い友人同士の気軽な会話に変えることができるのだという。
調査では、回答者の54.79%が「ステッカーを熱心に共有、保存している」と答え、78.05%が「文字よりステッカーのほうが気持ちを表現しやすい」、64.49%が「ステッカーを通して、熱意や善意を表現し、相手との距離を縮めることができる」、62.58%が「ステッカーは自分のハッピーの源」と答えた。
中国人民大学新聞学院の彭蘭教授は、「雰囲気を和ませたり、大げさだったり、何かのふりをしていたり、はぐらかしたりするステッカーの演技をよく目にする。雰囲気を和ませる演技とは、相手の気持ちを軟化させ、見る人に親しみを感じさせ、フレンドリーにするステッカーのことだ。ほとんどのステッカーはアニメチックで、それ自体がその場の雰囲気を変える機能を備えており、相手との交流の距離を縮め、交流がフレンドリーになり、ムードが和む」と分析する。調査では、回答者の73.16%が「かわいい系のステッカーが好き」と答えた。
ステッカーを活用した交流は、文化的な「誘い玉」であり、きっかけともなる。そして、双方が共通の「ツボ」があることを知った時、意気投合することができる。牛さんのフォルダーの中には、アニメが好きな人が集まるグループで使う専用のステッカーもある。そのステッカーは、内輪だけが知る「暗号」のようなもので、小さな範囲だけで使われている。
彭教授は研究を通して、ステッカーは若者全体の文化的属性を反映する以外に、各種サブグループの文化を反映している可能性のあるステッカーもあると分析。そして、「特定のコミュニティーやグループ内で生まれ、共有されているステッカーも多い。そのようなステッカーは特定のグループの趣味を表している可能性があるほか、特定のグループの共通の思い出と関係がある可能性もある。そのため、ステッカーにはサブグループ文化の『暗号』が隠されている」との見方を示す。(提供/人民網日本語版・編集/KN)
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