中国の「人工太陽」、新たな実験を開始―中国メディア

人民網日本語版    2021年12月23日(木) 17時50分

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安徽省合肥市の西の郊外に位置する董鋪ダムの近くにあるサイエンスアイランドである中国科学院合肥物質科学研究院で、「人工太陽」と呼ばれる全超伝導トカマク核融合実験装置が再び稼働開始した。

2021年最後の1カ月、安徽省合肥市の西の郊外に位置する董鋪ダムの近くにあるサイエンスアイランドである中国科学院合肥物質科学研究院で、「人工太陽」と呼ばれる全超伝導トカマク核融合実験装置(EAST)が再び稼働開始した。新華社が伝えた。

今月上旬、新たな実験が始まった。中国科学院合肥物質科学研究院副院長を務めるプラズマ物理研究所の宋雲濤(ソン・ユンタオ)所長は、「今回の実験は前回の実験結果の総括及びEAST加熱アシストなどのシステムのアップグレード・改造を踏まえて行われる。人工太陽をより熱く、より長く持続することを目標としている」と述べた。

万物が太陽によって生存する。地球上に人工太陽を作り、人類にクリーンエネルギーを尽きることなく供給する夢を叶えることはできるだろうか。人類は20世紀中ごろより核融合エネルギーの研究を開始した。1970年代に中国科学院はトカマクの研究チームを設立し、徐々に合肥などの地域に拠点を設置した。

高さ約11メートル、直径約8メートル、重さ400トン余り。見た目は巨大な「缶」に見えるのがEASTだ。「超高温」「超低温」「超高真空」「超強磁場」「超大電流」などの先端技術を一体化しており、太陽の核融合反応メカニズムのシミュレーションに用いられる。

完成から10数年にわたり、中国内外の延べ1万人以上の科学研究者がこのビッグサイエンス装置を利用し、人工太陽という夢に向かって協力してきた。安定長パルスHモードプラズマを101.2秒維持し、電子温度が摂氏1億度のプラズマを20秒維持するなどの国際的な重要ブレイクスルーを実現した。

EAST制御ホールでは、一定時間ごとに警報灯が点滅し、中央の巨大ディスプレイで時間のカウントが始まる。カウントが終わると、左上の数字が増える。このほど取材した際に、人工太陽の実験放電回数は「105689」と表示されていた。今年5月28日の早朝の段階ではこの数字はまだ「98958」だった。まさにその時、EASTは摂氏1億2000万度のプラズマを101秒維持し、世界記録を更新した。

宋氏は、「研究所は以前、科学研究者を海外の研究に派遣していたが、今やますます多くの外国の学者がサイエンスアイランドを訪れ学ぶようになっている。プラズマ物理研究所は自身を中心とする国際協力を展開し、国際核融合共同研究センターを設立した。すでに30数カ国・地域と協力・交流関係を結んでいる。向こう5年間で世界各地の少なくとも300人の科学者がEASTを使い研究活動を展開する」と述べた。

探索に終わりはない。人工太陽の潜在力は無限で、核融合の研究から派生した技術は密かに、私たちの生活を変えつつある。合肥の地下鉄はプラズマ空気清浄機を使っている。陽子線治療は重要ながん治療の手段になりつつある。また、テラヘルツ、リニア列車、核磁気共鳴などの面における応用が展開されている。宋氏によると、宋氏らが先頭に立ち設立した合肥総合的国家科学センターエネルギー研究院は、一部の高エネルギー消費企業と協力し、二酸化炭素排出量ピークアウトとカーボンニュートラルの成果の転化を共同で展開している。(提供/人民網日本語版・編集/YF)

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