中国は黄土平原の農業文明、ギリシャ・ローマは地中海の交易文明、そもそもの出自からして水と油に等しいと考える人は多い。しかし、実際はそうではない。紀元前500年から紀元後1000年までのギリシャ・ローマは農業社会で、商業〔交易〕は些細なオプションに過ぎないというのが1960年代以降、西洋史学会の定説になっている。英国の著名な歴史学者モーゼス・フィンリー(Moses Finley)は著書『Politics in the ancient world〔古代世界の政治〕』で次のように書いている。「土地は最も重要な財産で、家族が社会組織の最上位に位置し、ほとんどの人は自給自足を目指していた。財産の大部分は土地の賃貸料と地租に由来した」。これは秦漢と酷似している。
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