〈私が見た新疆ウイグル自治区9〉新疆の発展ぶりは?

小島康誉    2022年1月1日(土) 17時30分

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ウルムチ地下鉄1号線(三屯碑~国際空港・21駅・28km)は2018年10月開通した(撮影:筆者)。他に3路線60kmが工事中、さらに6路線が計画されている。乗客の和らいだ日常が見てとれる。

21年7月1日、中国共産党の結成100周年記念式典で習近平国家主席は「小康(ややゆとりのある)社会を全面的に実現した」と演説。筆者が初めて中国を訪れた1972年、人々は豊かとはいえない生活ぶりで交通手段は自転車が主であった。広州交易会に参加する一方で、北京・上海天津などへも順次出かけたが、ほぼ同様であった。そして1982年、初めて新疆を訪問したが高いビルは殆どなく、道端で羊が放牧され、ラクダが荷物を運んでいた。人々の生活は北京などより一段と貧しかった。

それが今では「天地がひっくり返るほど」の大発展である。

衣服:男性は紺か灰色の人民服が殆ど、女性も数点しか所有していなかった。奥地では継接ぎの服を着ている子供もいた40年前。今では沿海部と変わらないほどである。食生活:まさに一汁一菜だった40年前。今では家族そろっての外食も盛んなほどである。住環境:薄暗い住居に裸電灯ひとつだった40年前。今では高層マンションが立ち並び電化製品があふれ、殆どの人がスマホで楽しんでいる。自家用車を持つ家庭も少なくない。田舎での移動は徒歩かロバ車だったが、オートバイやタクシ―に変わった。

分かりやすい事例を紹介。筆者が人材育成の一環で1986年に設立した「新疆大学小島奨学金」、1人150元は学生の半年分以上の生活費として十分で金額が評価された。順次増額して数年前からは3000元だが「小島奨学金は額は少ないが、名誉は最高」とお金より賞が評価されている。また1999年に新疆政府外事弁公室・新疆文化庁と設立した「小島文化文物事業優秀賞」、賞金1人5000元は生活が助かると大歓迎された。数年前より10000元に増額しているが、家に帰るまでに「友人らとの祝宴で足がでた」と。

ウルムチ空港の便数は一日237便、年間旅客は延べ2000万人。新疆内には21空港、国際線が24路線。新疆内の高速道路は4578km。新疆経由する中央アジアや欧州への列車は17ヵ国・24都市につながっている。新疆と周辺諸国との友好都市は47に及んでいる(『邁進新時代』)。ウルムチは高層ビルが林立し、地下鉄が走っている。

「死の海」と恐れられたタクラマカン沙漠(面積は日本の約85%)には縦断道路がすでに3路線(輪台~民豊・阿拉尓~和田・尉犁~且末)開通し、阿拉尓~且末も計画されている。タクラマカン沙漠を一周できる鉄道はすでに庫尓勒~阿克蘇~喀什~和田、庫尓勒~若羌が営業中。和田~若羌も急ピッチで工事中、予定どおり22年6月営業開始すれば同沙漠一周鉄道網が完成する(「新疆網」)。「希望の海」一周約2700km乗ってみたいものだ。

新疆ウイグル自治区トップの党書記が陳全国氏から馬興瑞氏へ交代:2021年12月25日、中国共産党中央は「新疆ウイグル自治区党委員会書記の陳全国同志を自治区党書記に再任せず、馬興瑞同志を自治区党書記に任命」と決定。同日、新疆ウルムチで開催された「領導幹部会議」で、中央組織部の姜信治副部長より伝達された。陳全国、馬興瑞両氏と艾尓肯・吐尼亜孜新疆ウイグル自治区政府主席が挨拶した。

陳全国氏はチベット自治区書記から2016年に新疆ウイグル自治区書記となり、その直後の大宴会でお会いした。馬興瑞氏は1959年山東省生まれ。88年中国共産党入党。ハルピン工業大学卒、工学博士、国際宇宙航行アカデミー院士。ハルピン工業大学副学長・中国航天科技集団公司総経理・国家航天局局長・国務院中央軍事委員会委員・広東省副書記・広東省省長などを歴任した方。新疆は更に発展するだろう。新疆訪問時に是非お会いしたい。

ご参考:新疆各地の発展を新旧の写真で見るには拙編『紀念改革開放30年間 見証新疆変遷』(第二巻・新疆美術撮影出版社2009)、楊新才主編『邁進新時代』(新疆文化出版社2019)をお勧めします。蛇足:筆者の名を短縮すれば「小康」、これも縁であろうか…

■筆者プロフィール:小島康誉


浄土宗僧侶・佛教大学内ニヤ遺跡学術研究機構代表・新疆ウイグル自治区政府文化顧問。1982年から新疆を150回以上訪問し、多民族諸氏と各種国際協力を実施中の日中理解実践家。
ブログ「国献男子ほんわか日記」
<新疆は良いところ>小島康誉 挨拶―<新疆是个好地方>
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