キンモクセイラテに茅台コーヒー?中国式コーヒーの世界進出なるか―中国メディア

人民網日本語版    2022年1月3日(月) 23時0分

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上海人民広場にあるカフェ「follow嘿」は、オープンしてから現在までの4年間、世界最大のコーヒーチェーン店・スターバックスの影響を全く受けることなく、人気を保ち続けている。

上海人民広場にあるカフェ「follow嘿」は、オープンしてから現在までの4年間、直線距離にして20メートルもない場所にある世界最大のコーヒーチェーン店・スターバックスの影響を全く受けることなく、人気を保ち続けている。メニューを開くと、「芙蓉」と名付けられたオリジナルの煮出しコーヒーやヨーグルトコーヒー、弄堂ミルクコーヒーなど、中国ならではのムードがプンプン漂う100種類以上のコーヒーが名前を連ねている。上海では現在、コーヒーが庶民の生活に急速に溶け込んでいるほか、上海の海派文化や中国文化などとも深く融合し、新たなスタイルを打ち立てている。文匯報が伝えた。

上海市食品業界協会・コーヒー専門委員会がこのほど、口コミ投稿サイト・大衆点評と共同で発表した「上海2021スペシャルティーコーヒー消費観察」報告によると、上海の本格カフェの数は3244軒と、中国の都市で最も多く、ここ3年の累計増加幅は124%に達している。さらに、中国式煮出しコーヒーやキンモクセイラテ、茅台コーヒーといった中国らしさあふれる「中国式コーヒー」が、街の至る所で見かける本格カフェで大人気となっている。単に外国文化を取り入れるのではなく、それを地元の文化と融合させたり、イノベーションしたりするというもの、上海という国際大都市特有の生活感や人文の魅力を反映している。

■発展の黄金期に入った上海のスペシャルティーコーヒー

2018年以来、上海では本格カフェのオープンブームとなっており、ここ3年の増加幅は124%に達している。今年だけ見ても、新規オープンした本格カフェは前年比41.5%増の951軒で、カフェ全体に占める割合も2019年の25.2%から41.5%にまで上昇した。

報告によると、上海の本格カフェは主に市の中心部に集中している。商業圏を見ると、淮海路・陝西南路商業圏は、スペシャルティーコーヒーが最も集まっているエリアで、その他にも南京西路商業圏や虹橋古北商業圏、徐家匯商業圏なども多いエリアとなっている。通りだけに限って見てみると、本格カフェが最も多いのは瑞金二路で、道沿いに83軒あり、平均すると20メートルおきに1軒ある計算になる。

上海交通大学中国都市ガバナンス研究院の徐剣(シュー・ジエン)副院長は、「上海のカフェは、追走から並走し、そして、少しずつ先頭を走るようになっている。その過程は、経済の質の高い発展や市民の質の高い生活を映し出す鏡のようだ」との見方を示す。

■中国式コーヒーが新たなトレンドに

上海の本格カフェは数が増加の一途をたどるだけでなく、独特な中国テイストのコーヒーも作り出している。例えば、キンモクセイや柑橘類の皮を乾燥させた「陳皮」、米から作った発酵食品で天然の甘味料としても使われている「酒醸」といった中国の伝統的な飲食の要素をコーヒーに取り入れ、上海のスペシャルティーコーヒー消費市場で「国潮旋風」を巻き起こしている。

カフェ「follow嘿」では「上海ブラックコーヒー」や「黒糖ブラックコーヒー」、「上海ミルクコーヒー」といった上海シリーズのコーヒーが提供されている。オーナーの劉厚軍(リウ・ホウジュン)さんは1990年代に南開大学の国際経済学科を卒業。50を過ぎてから上海で「中国式コーヒー」の研究に没頭し、工業化的な思考に基づき中国式コーヒーを作るようになった。例えば、上海シリーズの弄堂ミルクコーヒーを、「中国式コーヒー」のベースと見なし、酒醸やあんこ、茶、ライスミルクなどをそれに加えていくことで、さまざまな風味のコーヒーを作り出している。

「中国式コーヒー」と定義つけるものは何かということを常に考えているという劉さんは、▽継承しつつイノベーションを加えていること▽独創的な技術や器具を使うこと▽ローカライズされた革新的な商品を作ること▽中国と西洋の折衷を実現し普及させるのに役立つこと、と総括している。「follow嘿」のメニューの一番目立つ位置で紹介されている「芙蓉コーヒー」と「無極コーヒー」について、劉さんは上記の4つの条件を満たしていると考えている。その2種類のコーヒーは、コーヒーサイフォンの代わりに高温で蒸す技術を使いコーヒーを抽出し、コーヒーの風味を保ちながら、口当たりがさらに滑らかになっている。

茂名南路にあるカフェ「NINE O NINE」では、90後(1990年代生まれ)のオーナー・杜さんが開発した茅台コーヒーが販売されている。一杯のコーヒーが数層になっており、まずたっぷりのミルクフロート、その下にちょっと酸っぱいレイシのジュース、最後に上品でまろやかな香りが特徴的な「醤香タイプ」の白酒(中国の蒸留酒)の味を味わうことができる。杜さんは「一番初めに就いたのが酒関係の仕事。その後、スターバックスで働くようになり、店長にもなった。それを辞めて起業した後に、中国の酒とコーヒーをコラボさせ、差別化を図ってはどうだろうかというアイデアをふと思いついた」と話した。

■若者は最高の「宣伝者」

オープンして4年になるカフェ「follow嘿」には、常連客もたくさんおり、その中には外資系企業の上級管理者も少なくない。自動車メーカー・フォード(中国)の電気自転車(EV)事業部のある上級管理者は2年前に上海に来て開発プロジェクトに携わった時に、同店で飲んだ「陳皮カプチーノ」の味が忘れられないという。そして、今年11月、再び上海に来た時、新型コロナウイルス対策の隔離期間が終わると同時に、同店に足を運び、「2年間、これを飲みたいとずっと思っていた。世界のどこでもこれを飲むことはできない」と話したという。

徐副院長は、「『中国式コーヒー』が上海から世界へと羽ばたけるかは、本質的には上海で生活している中国人や外国人に、上海のカフェや独特のコーヒーなしには過ごせないと感じてもらい、上海のライフスタイルを存分に満喫して、宣伝してもらえるかにかかっている」との見方を示す。

劉さんは、「『中国式コーヒー』が海外進出するためには、若者の心を捉えなければならない。今の世代の若者に飲んでもらい、『中国式コーヒー』が好きになってもらえると、若者は自然と自分の好みの基準を作り、『中国式コーヒー』の味やコンセプトを携えて世界と交流するようになる」との見方を示す。報告も前途明るい傾向を示しており、20~40歳の青年のグループが上海のスペシャルティーコーヒーの消費の主力となっている。うち、女性が6割を占め、学生が前年比17%増、2019年比で138%増となっている。劉さんは、「上海のカフェの数は世界最多で、今のローカライズ革新において、独特の風格を備えたコーヒー文化や商品の風味が作り出されている。『中国式コーヒー』は将来、必ず世界進出を果たす」と自信たっぷりに話した。(提供/人民網日本語版・編集/KN)

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