Record China 2022年1月6日(木) 20時20分
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中国のニュースサイト・観察者網は5日、「2021年10大ACG事件」と題する記事を掲載した。
中国では、アニメ、コミック、ゲームの総称として「ACG」という言葉が使われている。中国のニュースサイト・観察者網は5日、「2021年10大ACG事件」と題する記事を掲載。日本のアニメをめぐる騒動も選出されている。
■「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が興行収入1位に
まずは「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が興行収入102億8000万円を記録して日本の2021年の年間興収ランキング1位となったことだ。記事は「エヴァンゲリオンは最も偉大なACG作品の1つとして認められている」と説明。「その出現は人々のACGへの印象を一変させるもので、アニメの中に心理、哲学、意識など多くの要素を盛り込み、アニメ作品でも深いテーマを持たせることが可能だということを印象付けた」とした。
また、「ストーリーにおいても日本の人々の強い共感を呼んだほか、海外における影響力も誰もが認めるところであり、2000年に中国本土で放映された中国語翻訳版の『新世紀天鷹戦士』(後に『新世紀福音戦士』)は同シリーズの中国市場でのファンが増えるきっかけとなった」と評した。さらに、「コンテンツだけでなく業界への影響も大きく、その制作モデルは日本のアニメ業界に受け継がれている」とし、「物語は結末を迎えたが作品の影響力はまだ続いていくだろう」と述べた。
■「進撃の巨人」の完結めぐる論争
2021年4月9日に人気漫画「進撃の巨人」の連載が完結した。記事は最終話について「作者の諫山創氏がストーリーの伏線や論理を無視して従来の設定を覆したこと、連載が長年作り上げてきたキャラクターのイメージを覆したことなどが、ファンに大きな心理的落差をもたらした」と説明。伏線が未回収のままで終わったことに納得がいかないファンも多く、論争が起きたことを伝えた。
そして、「漫画業界では市場のニーズがコンテンツ制作の方向性を決めることはよくある」とし、「作品が生み出す経済的価値を最大化するためにクリエイターが妥協せざるを得ないことも多い」と指摘。「いかにして自分の考えと市場のニーズを結びつけるかが、多くのクリエイターが模索する重要なテーマとなっている」と解説した。
■「ウルトラマンティガ」削除の謎
9月、「ウルトラマンティガ」を含む複数のアニメ作品がプラットフォームから削除された。しばらくして再掲載されたものの、一部の放送回が削除されたままだった。
ネットユーザーの間では削除された原因について、江蘇省消費者権益保護委員会が4月に公表した「調査報告」の中で、「ウルトラマンティガ」には暴力など43の「暗黒要素」が存在すると指摘されたことが関係しているとの見方が浮上した。しかし、同委員会は削除はコンテンツ配信元の自主的な行為だとして関連性を否定した。
この件をめぐり、中国のコンテンツを管轄する国家広播電視総局は「暴力や血なまぐささ、低俗やポルノなどのよろしくないエピソードや場面を含むアニメのインターネット放送を断固としてボイコットし、優れたアニメの放送を大いに支持する」との通知を発表。ただ、ネットユーザーからは「作品が暴力的かどうかについての明確な基準が欠けている」など反発の声が上がったと記事は紹介している。
■「リーグ・オブ・レジェンド」が社会現象級のアニメに
11月、プレイヤーが1億人を超えると言われる人気ゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」のアニメシリーズ「アーケイン」(全9話)が公開された。
記事によると、同作は世界52カ国・地域で1位を獲得、中国でも情報サイト・豆瓣(douban)での評価が9.1点(10点満点)と高い数字を記録した。同作はわずか9話であるにもかかわらず制作に6年を要したとされ、その美しい映像とキャラクターデザイン、アニメーションは「(中国共産党機関紙)人民日報でさえも肯定的に報じたほど」だという。
記事はまた、同作が第49回アニー賞で9部門にノミネートされていることを紹介。これは10部門にノミネートされた「ドラゴンクエスト」に次ぐ記録で、「アニー賞の勝者になるかもしれない」としている。
■キズナアイの活動無期限休止
バーチャルYouTuberのキズナアイが12月4日の「5周年記念配信」で、2022年2月26日のライブをもって、無期限で活動を休止することを発表した。
記事は、2016年末に活動を開始したキズナアイについて「1年半の間に200万人のファンを獲得し、自らの冠番組を持ち、有名声優が司会を務める番組にゲスト出演するだけでなく、日本政府観光局から観光PR大使に任命された」と紹介。「バーチャル配信者の市場は当時まだ勃興したばかりで、キズナアイのスタイルは二次元ファンとの距離を縮めファンの粘着度を強めた」とした。
また、「厳密にはバーチャルスター配信者は初めてではないかもしれないが、彼女の成功はこの市場の潜在力を多くの人に見せただけでなく、その後のバーチャル配信者の運営への道を切り開いた」と評した。
■中国アニメーション映画「雄獅少年」の「細目」事件
12月17日に公開となった中国のアニメ映画「雄獅少年」をめぐり、登場キャラクターの目が細いことが一部のネットユーザーから問題視された。
映画の制作側は「異なる審美への探求。ネットユーザーたちは目が細いことに過剰に反応しており、自信が欠如している」と主張したが、これに対しても賛否が割れた。中国では最近、食品メーカーが宣伝ポスターに目の細いモデルを起用し批判を浴びる騒動が起きており、似た問題に敏感になっているようだ。
この問題について中国共産党機関紙・人民日報は「広告にしろ芸術作品にしろ、見る人を十分に尊重してこそ初めて市場を勝ち取れる」とする一方、「細目は客観的に存在する容姿の特徴であり、人々は健康的な審美眼をはぐくむ必要がある。多様な美を鑑賞し、受け入れるべき。愛国は本能だが(細目は中国人侮辱だとの)レッテルを貼ってはならず、騒動には理性的に対応すべきだ」と呼び掛けた。
記事はこのほか、「動画共有サイト・Bilibili(ビリビリ動画)がオリジナルウェブ漫画サイト・有妖気を6億元(約110億円)で買収したこと」、「動画配信プラットフォーム・愛奇芸(アイチーイー/iQiyi)、Youku(優酷)、テンセントビデオ(騰訊視頻)が先行オンデマンド配信を取りやめたこと」、「テンセントがアニメ『斗羅大陸』の映像のユーザーによる無断使用をめぐって中国版TikTok(抖音)に8億元(約145億円)の賠償を請求したこと」、「2021年にVR(仮想現実)、AR(各超現実)、AI(人工知能)、NFT(非代替性トークン)などが資本市場の人気を集め『メタバース元年』と呼ばれたこと」を10大事件の一つに挙げている。(翻訳・編集/北田)
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