米華字メディア・多維新聞は27日、来月4日に行われる北京冬季五輪の開会式をめぐり、韓国大統領欠席の裏には深い訳があるとする記事を掲載した。

記事はまず、韓国の朴炳錫（パク・ビョンソク）国会議長が来月3～6日の日程で中国を訪れ、開会式にも出席すると説明。文在寅（ムン・ジェイン）大統領が欠席を決めた理由については「表面的には対等の原則からかもしれない」と述べ、2018年の韓国・平昌冬季五輪に中国から韓正（ハン・ジョン）副首相が出席したことを紹介した。

そして「裏側にある本当の理由はそれほど簡単ではないはずだ」とし、現在の米中対立が文大統領の外交政策に確実に影響を及ぼしていると指摘した上で、米国が先月発表した北京冬季五輪の外交ボイコットに言及。英国など米国の盟友も同様の態度を表明しており、このことは米国の盟友である韓国に対中関係のより慎重な対応を迫ったと論じた。

記事は「米国のトランプ前大統領が中国に対抗する外交戦略を取らなければ文大統領は北京に行って中国に支持と友好を示せたかもしれない」とも述べ、「政治や経済、文化など各方面で密接なやり取りがある中国との友好関係を維持することは韓国の国家利益を守るために必要。文大統領の開会式出席は両国関係の発展に有利と言えるはずだが、米国の現政権の外交ボイコットが文大統領の北京行きの可能性を封じた」とする一方、「韓国の国家安全は米国の保護に頼る必要がある」と説明。さらに欠席を選んだより重要な理由として3月に行われる韓国大統領選を挙げ、「最大野党『国民の力』の尹錫悦（ユン・ソギョル）候補は比較的、米国寄りで、文政権の対中友好政策を批判し続けてきた」と指摘した。

記事はまた、「文大統領が開会式に出席すれば野党が騒ぎ立てる可能性が高く、与党『共に民主党』の李在明（イ・ジェミョン）候補の支持率に一定の衝撃を与えるかもしれない」と述べ、韓国の最近の世論調査で米国を信用している人は70％以上、中国を信用している人は7％との結果が出たと伝えた。（翻訳・編集/野谷）